JR東日本が3月12日に実施するダイヤ改正で、相模線の運行体系変更も話題のひとつになった。筆者は2月の平日を利用し、引退の近づく205系と新型車両のE131系を乗り比べた。205系は2月末まで運行されていたが、現在はすでに定期運用から外れているという。

  • 相模線を走る205系。この日は快晴で、富士山が美しかった

2月の平日、朝7時前。筆者はまず、横浜線の相原駅に降り立った。

相模線の車両に関することなのに、なぜ横浜線の駅で降りたのか、不思議に思う人もいるかもしれない。3月12日のダイヤ改正で、相模線では新型車両への置換え完了とともに、朝夕ラッシュ時に運転されていた横浜線(橋本~八王子間)直通列車の運転取りやめも発表されている。横浜線内で相模線の車両を見られる期間も残りわずか。その様子を確認するため、横浜線の駅で下車することにした。

相模線から205系が引退することはもちろんだが、横浜線を走行するE131系も、将来貴重なものになる可能性がある。ちなみに今回、相原駅付近で列車の撮影も行ったが、横浜線の下り列車は北に向かって走行するため、朝方の光線状態は決して良好とは言えなかった。気になる人は、曇りの日を選ぶと良いだろう。

  • 横浜線内を走行する相模線E131系。行先表示に横浜線八王子駅の駅ナンバリングが表示されている

  • 横浜線を走る相模線205系。八王子行の混み具合は、車外からだとわからない

相模線から横浜線への直通列車は、朝夕ラッシュ時に約30分間隔で3往復ずつ設定されている。調べてみると、他の2本はどちらも205系が充当されているようだった。場所を変え、30分後にやって来た205系も撮影する。

相原駅へ戻ったところで、せっかくなので折り返してくる相模線直通列車に乗ってみようと思い立った。筆者は横浜線沿線在住で、八王子に勤めていた経験もあるが、思えば相模線直通列車に乗ったことがなかった。

  • 八王子駅から折り返してきた相模線205系。朝ラッシュ時間帯のため、比較的すぐ折り返してくる

朝ラッシュ時における最後の相模線直通列車が相原駅に到着。205系に乗り込むと、車内は少し混雑している。座席には座れないが、立っている乗客が余裕を持ってスマートフォンの操作ができる程度の混み具合だった。乗車率で言えば100%前後だろうか。乗客の様子に目を移すと、学生やスーツ姿の若者が目立つ。加えて、駅のホーム端や車内に鉄道ファンらの姿が見られた。

橋本駅の手前でポイントを渡り、列車は相模線ホームに到着。8時39分、茅ケ崎駅へ向けて定刻に発車した。上溝駅や原当麻駅で、学生たちが降りていく。座席に座ってみると、バネを感じる座り心地だった。

相模線内では、ドアが半自動扱いであるため、降車する人は車内の「開」ボタンを押して降りていく。一方、乗車する人は乗ってすぐに「閉」ボタンを押し、ドアを閉めていた。半自動ドアに関して、「開けたらすぐ閉める」という暗黙のルールが確立されている様子だった。

相模線の205系は1991(平成3)年、同線が全線電化された際に投入された。205系としては後期の投入にあたることから、設計上の変更点が多い。外観においては、前面形状が従来の205系と大きく異なるほか、車体側面のJRマークは緑色。内装に目を移すと、床がグレーに塗装されている。他路線の205系で見られた座席端へのアクリル板設置は行われていない。

単線の相模線は途中で幾度も列車交換が行われるが、すれ違う車両はすべてE131系だった。運転席を見ると、編成札がラミネートされた紙に交換されていることに気づく。

  • 相模線を走るE131系。カーブを低速で通過する

  • 相模線を走る205系。前面帯の痛みが目立つ

筆者は厚木駅で下車。海老名駅から厚木駅まで相鉄厚木線と並走するが、相鉄線の車両はいなかった。厚木~海老名間を走るE131系の外観を改めて見ると、波をイメージしたという前面の水玉模様が目を引く。ワンマン運転を想定し、各ドアに配置したカメラも目立った。厚木駅へ戻り、今度はE131系に乗車することにした。

やって来たE131系の茅ケ崎行に乗り込むと、まず滑らかな発車に驚いた。205系は発車時に「ガクッ」と揺れるが、E131系ではそれをほとんど感じない。走行中の音は非常に静かで、揺れも少ない印象を受けた。

座席に腰掛けてみると、腰部分のフィット感が心地良い。ドア上の液晶パネルは次駅案内や運行情報を表示する1枚のみで、左右で千鳥配置となっている。ドアに目を移すと、半自動スイッチのボタン類に凹凸がついていて、わかりやすい。205系のスイッチにも点字シールが貼り付けてあるが、視覚に障害がある人への配慮を感じた。

  • 相模線の新型車両E131系の車内(2021年9月の報道公開にて、編集部撮影)

  • 快晴の中、走行するE131系。富士山が美しい

茅ケ崎駅へ向かう途中で下車し、筆者は富士山と相模線の列車を眺められる場所へ。この日は快晴で、富士山もよく見えた。暖かい陽気だったからだろう、てんとう虫が飛んでいるのを発見。春が近づいていることも感じられた。その後は再び205系の列車に乗り、茅ケ崎駅へ向かった。

今回、相模線の列車に乗車する中で、各駅で「相模線が変わります」という内容のポスター掲示を多数見かけた。それだけ新型車両に対する期待が大きいということなのだろう。205系からE131系への置換えが完了し、大きな変化を迎える相模線。今後、どのような発展を遂げていくだろうか。