JR東日本横浜支社は、「JRE MALL」横浜支社の第1弾商品として販売されたイベント「相模線新旧車両撮影会 in 国府津車両センター」を9月25日に開催した。相模線の現在を担う205系500番台、これからを担う新型車両E131系500番台が並び、公開された。

  • 「相模線新旧車両撮影会 in 国府津車両センター」にて、相模線の既存車両205系500番台と新型車両E131系500番台が公開された

「相模線新旧車両撮影会 in 国府津車両センター」は現場の社員の発案で企画され、JR東日本のECサイト「JRE MALL」にて、午前の部・午後の部それぞれ15名ずつ、9月10日12時から参加者募集を行った。撮影開始前の冒頭説明によると、すぐに売り切れてしまったとのことで、相模線の新旧車両に対する関心の高さが垣間見える。

イベント参加者らは安全ベストとヘルメットを着用の上、留置線に移動し、撮影会がスタート。まずは1号車(相模線走行時の茅ケ崎先頭車)側から撮影した。相模線のE131系500番台は4両編成で、ラインカラーに「湘南の海」をイメージしたという青の濃淡2色があしらわれている。前面の水玉模様は「湘南の海の水しぶき」をイメージしたデザインに。色合いが鮮やかで、参加者たちも積極的にカメラを向けていた様子だった。

E131系500番台の種別・行先表示器はフルカラーLEDとなり、撮影会の途中、何度か表示を切り替えていた。相模線は朝夕の一部列車において、橋本駅から横浜線に乗り入れ、八王子駅まで運転される。E131系500番台の行先表示も横浜線への直通運転に対応し、駅ナンバリングも表示できるようになっていた。

  • 205系500番台と並ぶE131系500番台。青の濃淡2色をあしらい、前面には波しぶきを表現したという水玉模様も

一方の205系500番台は、相模線が電化された1991(平成3)年から活躍している車両。それまで他の路線で投入されていた205系とは大きく異なる前面デザインを特徴としており、歴代の205系の中でも異彩を放っている。後に南武線や鶴見線、仙石線などで中間車を先頭車化改造した205系も投入されたが、相模線の205系500番台は現在に至るまで元の編成・外観を維持している。

ラインカラーは相模川をイメージした濃い水色。E131系500番台と比較すると、205系500番台のほうがより淡い色合いに見える。行先表示はいまも方向幕が維持されており、撮影会の間に何度か表示が切り替わる場面があった。相模線内で日常的に表示される「茅ケ崎」「橋本」「海老名」に加え、現在は使用されていない「厚木」「南橋本」「原当麻」の表示も。中央本線の「豊田」「四方津」「大月」も見られた。

  • 相模線電化から現在に至るまで活躍してきた205系500番台。珍しい行先表示も見られた

15分ほどで場所を移動し、次は4号車(橋本・八王子方先頭車)側から撮影。1号車側での撮影時と同じく、行先表示を切り替えつつ撮影が行われた。その際、E131系500番台はLED表示なのですぐに切り替わるのだが、205系500番台は方向幕のため、設定した行先に変わるまで他の行先も流れていくところが印象的。参加者たちの様子を見ていると、最初に205系の方向幕を撮影した後、E131系の行先表示を撮る人が多かったようだった。

4号車側の撮影場所は線路上だったため、姿勢を低くし、車両を見上げるようにして撮影するなど、普段はできない撮り方を試す人もいた。有料のイベントとして開催され、人数制限を設けている分、参加者たちは間隔に余裕を持った上で撮影を進めていた。

  • 4号車側から撮影。参加者たちはさまざまな視点から撮影していた

外観を撮影した後は、両形式の車内を見学できる時間に。E131系500番台の車内は、房総地区で運行されているE131系とは異なり、全号車をロングシートで統一している。座席は座面・背もたれともに青の濃淡となっており、205系の緑色の座席と比べてさわやかな雰囲気になったように感じられる。トイレは設置されていないが、車端部の優先席・フリースペースは赤・ピンクの配色で、識別しやすくなった。

E131系500番台では、安全性向上のために防犯カメラが設置されたほか、非常通報装置が1両あたり4か所に増えている。ドア上部には、17インチのディスプレイを千鳥配置で1両あたり4カ所設置。LEDおよびディスプレイでの案内表示は205系500番台にはなかったため、さらにわかりやすい案内になることと思う。

  • E131系500番台の車内(9月22日の報道公開にて、編集部撮影)

一方、205系500番台の車内は壁面が白、床面がライトグレー。座席は緑の濃淡によるチェック柄。座席両端の仕切りが淡い青緑色になっていることから、どちらかというと寒色系を多く用いた内装だった。たとえば鶴見線の205系の場合、床面と仕切りにブラウンを用いているので、それに比べると印象が異なる。

205系500番台では、相模線での運行に合わせ、ドアボタンを設置している。首都圏の路線でありながら、乗降時に乗客がボタンでドアを開閉する乗り方は、慣れていない人からすれば「電車が到着したのにドアが開かない」と戸惑うことがあるかもしれない。E131系500番台もドアボタンを設置しており、運行開始した後もドアボタン方式は続くと思われるので、この機会に覚えておきたい。

  • 相模線で営業運転を行う205系500番台。間もなくE131系500番台も加わる

相模線は1921(大正10)年の茅ケ崎~寒川間開業に始まり、今年で開業100周年を迎えた。新型車両となるE131系500番台は11月18日から運行開始する予定。新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されるものの、それでも100年の節目にふさわしい新型車両ということに変わりはないだろう。運行開始したあかつきには、他線区の新型車両と同水準の内装や、波しぶきをイメージした前面の水玉模様など、さまざまな部分に注目してほしい。