俳優の間宮祥太朗が、元プロ野球選手・横田慎太郎氏の自伝的エッセイをドキュメンタリードラマ化する『奇跡のバックホーム』(3月13日13:55~ ABCテレビ・テレビ朝日系)で主演を務めることが分かった。

  • 間宮祥太朗(C)ABCテレビ

ドラフト2位指名で阪神タイガースに入団し、将来を嘱望されながらも病魔に襲われ、24歳という若さで引退した横田氏。ボールが二重に見えるという症状から脳腫瘍が発覚し、18時間に及ぶ手術の後には苦しく辛い闘病生活を送る。リハビリの末に現役復帰するも視力が回復せず、2019年に引退を決意。2019年9月26日、鳴尾浜球場で行われた2軍戦が横田さんの引退試合となった。1096日ぶりの試合出場、そしてプロ野球人生最後のラストプレーで見せた“奇跡のバックホーム”はプロ野球ファンのみならず多くの人々に感動を与え続けている。

横田氏を演じる間宮は阪神タイガースファンを公言し、中学校3年生まで野球に打ち込んでいた経験が。2019年に甲子園球場で開催された阪神タイガース対横浜DeNAベイスターズ戦のファーストピッチセレモニーでは139キロの速球を投げ込み話題となった。今回は横田氏から当時の心情を直接聞き、バッティングフォームのチェックを受けて役に臨む。

病魔におかされた横田氏を支え続ける母・まなみ役には石田ひかりが、阪神タイガースのスカウト・田中秀太役には丸山智己が、横田氏の姉・真子役には村瀬紗英が、横田氏の父・真之役には三浦景虎が決定した。

出演者らのコメントは以下の通り。

■間宮祥太朗

――今作のオファーを受けたときのお気持ちからお聞かせください。

最初にお話を頂いたときは、正直すごく悩みました。野球経験者ですし、阪神タイガースファンでもありますが、それだけでお受けするには責任感が重すぎるんじゃないか、と。ファンの方々やご家族、球団関係者のみなさん、そして何よりもご本人の思いを、僕が背負えるかどうか……重たく考えてしまいました。

ただ、このオファーが数年遅れていたら、きっと僕ではなかった。そう考えると、今この時期に他の誰でもない、この僕に役を任せてもらえたということを大切に考えようと思ったんです。

――阪神タイガースの選手を演じてみていかがでしたか。

入団会見シーンはいちファンとして舞い上がりました。横田さんと同期選手の名前がテーブルの前に並んでいて感激しました。横田さんの隣は梅野選手だったんだな、とか(笑)。

――野球のプレーシーンについては。

役を演じる前に横田さんにお会いしてスイングを見ていただいたり、選手時代や闘病生活当時のことを伺ったりしました。バッティングのお話も横田さんに聞くことができましたし、役を演じる上ですごく貴重な時間を過ごせました。お話をしていて心の透明度が高くてすごくピュアな方というのが伝わってきました。ただ、横田さんが左投げ左打ちなのですが、僕は右投げ右打ちだったので、なかなか大変でしたね(笑)。

――印象に残っているお話は。

バックホームを投げたときのお気持ちを聞いた時に“嘘っぽく聞こえるかも知れないですが、あのとき本当に何かに背中を押されたんです”とおっしゃっていて。ボールが二重に見える怖さから捕球の際には後ろに下がるクセがついていたそうなのですが、あのときだけは、一歩目を前に踏み出せた。あの一歩がなければ捕殺できていなかった。“まるで自分じゃない感じ”だったそうですが、まさにファンやチームメイト、ご家族……いろんな方々の思いを乗せたプレーだったんだなと思います。

――視聴者の皆さまへメッセージを。

こんなにも人生を懸けたことがあるということ、それだけ懸けたことを失うということ、そして、失った後に前に進んでいくということの尊さが伝わる作品だと感じています。横田さんのバックホームに至るまでの思いや葛藤、そしていま現在もあのバックホームの時に踏み出した一歩と同じように前に進んでいる今の姿。すべてを含めて奇跡と呼べるものだと感じています。横田さんの半生を通して、きっと熱く伝わるものがあると思いますので、ぜひご覧ください。

■石田ひかり

――脚本(原作)を読まれた印象は。

夫が骨の髄まで阪神ファンなので、このオファーを伝えたところ、さぞ喜ぶだろうなと思いました。実際、夫の口から横田選手への熱い思いや引退試合で起きたことを聞き、ご著書も読ませていただき、「これは大変なことになった!」と思いました。大変な思いをされた横田選手やご家族、そして野球ファンの皆さまにも喜んでいただける良い作品にしなければと思いました。

――演じられた役の魅力は。

横田選手が、特にお母さまへ感謝の言葉をおっしゃっている事が全てだと思います。お母さまのまなみさんは、本当に生きた心地のしない日々だったと思いますが、どんな時も明るく横田選手を励まし共に闘っている姿は、同じ母親として尊敬すべき姿だと思いました。

――印象に残っているシーンは。

やはりキャッチボールのシーンです。きらきらと瞳を輝かせていた少年時代の息子には「どこ投げてんの」と怒られて、闘病中の息子には「ちゃんとお母さんが取れるように投げて!」と言いながらのキャッチボールは、母親のわたしにしか味わえない幸福感がありました。

――視聴者の皆さまへメッセージを。

誰からも愛される横田選手の笑顔の裏側にあった、あまりにも残酷で過酷な時間を経て、新しい世界に歩き出した横田選手に心からのエールを送りたいと思います!

■丸山智己

――脚本(原作)を読んだ印象は。

こんなドラマのような奇跡が実際にあるということにびっくりしたと同時に、身が引き締まる思いで臨みました。

――演じられた役の魅力は。

私の演じる田中秀太さんは自身もプロ野球選手を引退してスカウトになられた方なので、誰よりも痛みのわかる選手愛の深い方。独自の美学を持つ野球人として、とても演じ甲斐がありました。

――印象に残っているシーンは。

横田選手が田中スカウトに引退の意思を伝えるシーンです。短いやり取りの中でお互いのこれまでの想いが溢れる熱のこもったシーンでした。

――視聴者の皆さまへメッセージを。

残酷な現実の先に待っていたのは信じられないほど美しい瞬間でした。神様がくれた奇跡の瞬間を、ぜひご覧いただけたら幸いです。

■横田慎太郎氏

ドラマ化のお話をいただいた時は「まさか」と信じられなかったのですが、すぐに大変嬉しい、ありがたいという気持ちに変わりました。

これまで何度も何度も苦しい事、辛い事がありました。これからを考えると、不安と恐怖で眠れない夜が何日もありました。それでも自分に大丈夫、大丈夫と言い聞かせて、自分を信じて目標を持ってやって来て、本当に野球人生の最後の最後に想像もしていない事が起こりました。一人でも多くの方に観ていただき、 勇気と希望を持ってもらえたらと思っています。

  • 横田慎太郎『奇跡のバックホーム』(幻冬舎)