韓国にも押されっぱなしの日本の実写エンタメ。だが、馬場監督は「次の層が出てくるはず」と期待を寄せる。

「今の若い人たちに何が面白いかと聞くと、大抵はアニメと答える。例えば『ワンピース』の尾田栄一郎さんは名匠・マキノ雅弘監督の『次郎長三国志』シリーズという超名作が大好きで『ワンピース』はそこから多大なインスパイアを受けている。そこから『次郎長三国志』を見ようとか、過去の名作エンタメを見て取り入れるクリエイターが出始めたら、娯楽映画もテレビドラマももっと面白くなっていくかもしれない。また漫画がさらに頑張っていけば日本のエンタメ自体なんとかなっていくかもしれない」

漫画の強さの理由は、厳しい競争の中にあることも分析。読者アンケートが非常にシビアであり、面白くなければすぐに打ち切られる。実写界は、漫画に比べるとぬるま湯かもしれないと馬場監督は危惧する。

「ただ90年代はテレビドラマも良かったですね。君塚良一、三谷幸喜、北川悦吏子、岡田恵和といった方がすごく意欲作を持ってきていた。フジテレビも『すてきな片想い』『東京ラブストーリー』あたりからトレンディドラマを脱却して意欲作を増やしていった。過去の名作を掘り起こすことが増えれば、またあの花の時代が復活するかもしれない。ちなみに今年の秋クールで好きだったのは『二月の勝者』(日本テレビ系)。思えば、それも漫画原作ですね」

馬場監督の新作『潜水艦カッペリーニ号の冒険』も、『男はつらいよ』など過去の名作のオマージュが盛り込まれている。

「とても面白い作品に仕上がったと思います。もし皆が面白いと思わなかったら…もう馬場も焼きが回ったと思ってください(笑)」と、独特の言い回しでアピールした。

  • 『潜水艦カッペリーニ号の冒険』 (C)フジテレビ

●馬場康夫
1954年、東京生まれ。大学卒業後、同級生たちと設立したホイチョイ・プロダクションズで制作活動を行う。日立製作所に勤務していた81年に「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載『気まぐれコンセプト』を開始。以降、『カノッサの屈辱』『マーケティング天国』(フジテレビ)などの深夜番組を企画、著書に『東京いい店やれる店』(94年)などがある。また、87年の『私をスキーに連れてって』で映画監督デビュー。その後『彼女が水着にきがえたら』(89年)、『波の数だけ抱きしめて』(91年)、『メッセンジャー』(99年)、『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』(07年)でメガホンをとり、『潜水艦カッペリーニ号の冒険』でテレビドラマ初演出。