感心するという言葉は、ポジティブな意味で使われる場合とネガティブな意味で使われる場合があります。「上司や目上の人に使ってもいいのかな」「そもそもどういう意味で、どういう使い方をするのが正しいの?」と疑問を感じている人もいるでしょう。

本記事では、「感心する」という言葉の意味や使い方を紹介します。職場でのコミュニケーションでも実際に使いやすいように、例文をまじえながら解説していきます。

  • 「感心する」の意味とは?

    感心するという言葉の意味や使い方を紹介していきます

「感心する」の意味とは?

感心は「かんしん」と読み、立派で優れた行為や技術に心を動かされたり、心に深く感じたりすることという意味があります。

いい意味の「感心する」

感心するという言葉には、いい意味で使う場合と悪い意味で使う場合があります。いい意味での「感心する」は、人の優れた行いや素晴らしい行為に対して心を動かされるという意味で、誰かの行動に「すごい」と思った時などに使われます。

相手をほめたり感動したりした場合に、ポジティブなニュアンスを表現する言葉です。

悪い意味の「感心する」

感心するという言葉は、「相手の言動に心を動かされる」という意味を逆説的に表現し「あきれた」「びっくりした」いう意味で使われることもあります。

「くだらなくて感心したよ」など、ネガティブな表現として使われます。

「関心」との違い

「感心」と同じ読み方で漢字が異なる同音異義語に「関心」があります。「関心」は「興味を持って注意を向ける」「ある物事に心をひかれ、注意を向ける」という意味です。

「感心」が相手の言動などに心を動かされたときに使うのに対し、「関心」は主に理性面・感情面から人や動物、物事などに興味を持った場合に使われます。

意味合いは全く異なるので、混同しないように注意してください。

関連記事: 「関心」と「感心」の違いは? 意味と文章に活かせる例文を解説

  • 「感心する」の意味とは?

    「感心する」には行為に対して感動したという意味と、あきれたりびっくりしたりするという2つの意味があります

「感心する」の使い方・例文

感心するという言葉の例文や使い方を紹介します。

「感心する」「感心させられる」で使われることが多い

感心という言葉は、「感心する」「感心させられる」という形で使われることが多いです。語尾が変化して「感心した」「感心させられた」などの使い方もあります。

【例文】
・君はいつも遅くまで練習していて、感心しているよ
・誰かに指示されたわけでもないのに、いつも率先して作業していて感心した
・彼は人一倍作業が早く、部長も感心していた

「感心する」という表現だけでなく、否定形で「感心しない」とい表現する場合もあります。意味としては「いいことだと思わないこと」ですが、相手の行動などを遠回しに非難して悪くいう意味あいで使われます。

【例文】
・そのやり方は人をだましているようで感心しないな

感動するという意味の「感心する」の例文

人の行為や技量に対し感動するという意味での「感心する」の例文を紹介します。

【例文】
・彼はいつも営業成績が優れており、経営陣も感心していた
・巧みな技術を前に、感心せずにはいられなかった
・毎日欠かさず記録をつけている几帳面さに感心させられた

優れた行為、業績、技術などに対して、「感心する」を使うことで、その行為などに対して感動したこと、心を動かされたことを表現できます。

よくない意味での「感心する」の例文

逆説的な意味で、あきれたりびっくりしたりすることという意味での「感心する」の例文を紹介します。

【例文】
・あまりの図々しい態度に、思わず感心してしまったよ
・上司から何度注意されても態度を改めない頑固さには、感心せずにはいられない
・彼の話のくだらなさは、感心するほどだった

「図々しい態度」「頑固さ」「話のくだらなさ」に対して、あきれたりびっくりしたりしている状態を表現しており、行動や態度に皮肉を込めた表現となります。

  • 「感心する」の例文・使い方

    「感心する」の使い方を覚えて、使いこなせるようになりましょう

「感心する」は敬語? 目上の人に使える?

「感心する」は敬語ではありません。「感心する」という表現は目上の人に対しては使わない表現です。「感心する」には相手の行為を評価するような意味あいがあるため、上司など目上の人を評価するというのは僭越な態度ととらえられかねません。

相手の行為に感動して、いい意味で使う場合であったとしても、目上の人に「感心する」を使うのはやめておきましょう。「感服しました」などの類語や言い換え表現を使うのがおすすめです。

  • 「感心する」は敬語? 目上の人に使える?

    「感心する」は目上の人には使わない方がよい表現です

「感心する」の類語・言い換え表現

「感心する」の類語や言い換え表現を紹介します。

「感動する」という意味の類語

感動したり、心が動かされたりしたという意味での「感心する」の類語・言い換え表現には以下のようなものがあります。

感動
強く心を動かされること、何かに対して深く感銘を受けること。

感銘(かんめい)
忘れられないくらいに何かを深く感じること。

敬服(けいふく)
心を動かされて尊敬の感情を抱くこと。

感服(かんぷく)
深く心を動かされて、尊敬や尊重の気持ちを感じること。

また、「感心する(した)」気持ちを表現するには以下のような言い換え表現もあります。

・感動しました
・すごいですね
・素晴らしいですね

簡単ないいまわしでも、感心したという気持ちを表現することは可能です。

関連記事: 「感服」の意味とは? 目上の人に使えるのか、正しい使い方や類語を解説

皮肉を込めた意味での「感心する」の類語

皮肉を込めた表現として「感心する」を使った場合の言い換え表現としては「あきれる」「驚く」などがあります。

【言い換え表現の例】
・君の図々しさには感心したよ
→君の図々しさにはあきれたよ
→君の図々しさには驚いてしまったよ

いずれも「図々しさ」に対しての驚きやあっけにとられたというニュアンスが込められています。

  • 「感心する」の類語・言い換え表現

    「感動」「感銘」など「感心する」の類語や言い換え表現も覚えておきましょう

「感心する」の英語表現

「感心する」の英語表現について紹介します。

「感心する」という意味の英単語・熟語

「感心する」の英語表現には、「admire」「impress」「admiration for」などがあります。これらは、ポジティブなニュアンスを表現する際に使われる単語です。

【「感心する」の英語表現の例文】

・I was impressed with Tom's skills
・I was filled with admiration for Tom's skill
・I was admiring Tom's skills
 私はトムの技術に感心しました

・Edward always takes responsibility for his work, and I am impressed with him
 エドワードはいつも自分の仕事に責任をもってこなしていて、感心させられる

「感心する」をビジネスで使う際は注意!

感心するという言葉には、深く心が動かされるという意味と、あきれて驚くといった2つの意味があります。

感心するという表現は、目上の人には使わない方がいい言葉であり、もし上司や先輩に対して感動を伝えたい時には、感動、感銘、敬服といった類語に言い換えるのがおすすめです。

ビジネスシーンにおいて相手に失礼がないよう、言葉の意味を理解して正しく使用しましょう。