いよいよ26日に最終回を迎える大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)。吉沢亮演じる“日本資本主義の父”渋沢栄一の物語がついに幕を閉じる。本作では、幕末から明治への大きな時代の変化の中で、栄一とともに奮闘した人物が多く登場した。ディーン・フジオカが演じた五代友厚もその一人だ。脚本を担当した大森美香氏は、連続テレビ小説『あさが来た』(15)の脚本も手掛け、同じくディーンが五代を演じた。今回また新たな五代の一面が描かれたが、大森氏はどのような意識で描いたのか、また、ディーンの演技をどのように見ていたのか話を聞いた。

  • 『青天を衝け』で五代友厚を演じたディーン・フジオカ

大森氏は、『あさが来た』の五代について「主人公のあささんから見た“五代様”であり、人生の先輩という存在で、教えてもらうべき人。いいところで現れて、また去っていくという役割でした」と振り返り、「五代さん自身、実際はすごく面白い不思議な人生を送った方で、機会があったらもう1回描きたいと思っていました」と言う。

そして、「もう一度」という思いが叶った『青天を衝け』での五代について、「栄一さん目線で調べてみると、パリでの栄一さんの活躍と相反する活躍をしていたことがわかり、『あさが来た』で見せなかった幕末の志士としての顔を見せることができると思いました」と述べ、「栄一さんにとっては良いライバルであり商売の友でもあるという面を描きたいと思っていたので楽しみにしていました」とうれしそうに話した。

さらに、「『青天を衝け』の五代さんは、甘い顔ではない顔が魅力。渋沢栄一さんと同じ時代を駆け抜けた五代友厚さんの魅力が見せられたらと思って書きました」と説明。「経済人としての魅力は、より描くことができたかもしれません」と満足そうな表情を見せつつ、「もっと描きたかったところではあるんですけど」と、まだまだ描きたい一面があるようだ。

演じたディーンも、2度目の五代役に「時空を超えた不思議な縁を改めて感じました。また偉大な先輩を演じさせていただけることはすごく光栄です」と喜んでいた。そして、一から役を構築し直し、今回はワイルドさを意識。その理由について「五代がどれだけ先見の明があったかということが、より具体的に描かれますが、見る立場によっては、したたかに見えたり、頼もしいという印象にもなったりと、表裏一体な点も魅力につながっていくのではないかと。競争相手からすると、ひと筋縄ではいかない存在だと思います」と語っていた。