俳優の滝藤賢一が主演するNHK Eテレのドラマ『オリガミの魔女と博士の四角い時間』が、1月に6本放送される。

  • 風間俊介=NHK提供

オリガミの天才博士と彼をとりまく風変わりなキャラたちがオリガミの楽しさを伝える同番組。2017年の初回放送以来、毎年数本ずつ不定期放送され、博士役の滝藤のオリガミへの情熱とコミカルな演技、尾上菊之助が声を担当するいたずら好きな魔女、意表を突く訪問者たち、独創的なオリガミなど、様々なキャラクターが登場してきた。今回は、21年2月以来、約1年ぶりに新作を放送する。

1月3日(11:00~11:30)は、「白い象の願い」(オリガミ:ゾウ、ゲスト:尾上菊之助 ※魔女の声と二役)。博士がオリガミに奮闘していると、真っ白な衣装に身をくるみ後光を放つ男が立ち現れる。男は人々の願いをかなえる「白い象」だと称し、博士の願いをかなえようとするが、博士は願いというものは自分でかなえるもので、他人に頼むような願いは自分にはないと答える。無欲で利他的な博士に感動した象は、逆に自分の悩みを聞いてほしいと博士に迫り…。

続いて、「ふしぎの牧場(まきば)の少年」(オリガミ:ヒツジ、ゲスト:風間俊介)。最近夜眠ることができない博士が喫茶店でうつらうつらしていると羊飼い風の少年が現れた。少年は博士が一晩で7,000匹も羊を数えたせいで、博士の牧場から羊がいなくなってしまった!と怒っている。羊が戻らないと博士は一生眠れなくなるという。その大ピンチを2人はオリガミでどう切り抜けるのか…。

1月15日(16:00~16:30)は、「くちびるに微笑みを」(オリガミ:つかえるくちびる、ゲスト:伊藤修子)。喫茶店に現れたのは口をスカーフで覆った女性。博士がオリガミで箱を折っていると、それが「くちびる」に見えると怖がる。ついキツイことを言ってしまう癖がある彼女にとってくちびるは災いのもとでしかなく、その形を見ることさえ怖いのだと言う。しかし博士の提言で一緒にくちびるのオリガミを折ってみると…。

続いて、「情熱のJOMON」(オリガミ:土偶、ゲスト:厚切りジェイソン)。デイヴィッドはたまたま旅行で訪れた日本の博物館で遭遇した土偶の魅力に取りつかれ、大学院で研究をしているアメリカ人。しかし発掘に取り組んでもなかなか成果が出ず落ち込んでいた。博士はデイヴィッドを励ますために、一緒に土偶のオリガミを折ることを提案する。そこで2人が味わった太古の情熱とは…。

1月22日(16:00~16:30)は、「注文の多い喫茶店」(オリガミ:四角メガネ、ゲスト:岩井ジョニ男)。今から7年前、当時のマスターは柄物スーツやスカーフでキメキメのフランスかぶれで、とても客に愛想のよいマスターではなかった。魔女のいたずらが災いして博士はマスターの眼鏡を壊してしまう。それはマスターが祖父から受け継いだ眼鏡だった。二人は魔女の指令でオリガミで眼鏡を折ることに。そのオリガミの眼鏡をかけたマスターが見たものは…。

続いて、「バナナ★ショック」(オリガミ:むきむきバナナ、ゲスト:小手伸也)。怪しい男がバナナをむさぼっている。それはマスターがバナナシェイク用に買っておいたバナナだった。男は100年先の未来から来たという。100年後の世界ではバナナは病原菌のために絶滅。男は子どものころに食べたバナナの味が忘れがたくはるばる時空を超えてバナナのある現代にやってきたのだ。そんな男のバナナを魔女が黄色い紙に変えてしまい…。

出演者のコメントは、以下の通り。

■滝藤賢一
「オリガミの魔女…」の撮影は毎回けっこうハードで、終わらないんじゃないか…?と思うのですが、今年もやらせてもらえる幸せを噛み締めながら楽しんでやっております。ハートフルでファンタジックな脚本にイメージを膨らませて臨みました。
ただの紙からこんなに世界が広がるなんてオリガミはマジックですね。
今回は菊之助さんとも相対して演ずることができ、独特の佇まいに間近に触れ、素晴らしい時間でした。僕が歌舞伎の舞台に立つことは出来ないですから(笑)、貴重な体験でした。僕の夢は日本のオリガミを世界の子供たちに伝える旅にいつか出ることです。大人も子供も楽しめるオリガミの世界を堪能してください。

■尾上菊之助
魔女の声のお仕事はもう足掛け 5 年にもなり、長く続く番組に携われて光栄です。
女方の発声方法を生かしたり、滝藤さん演じる博士のことが好きでしょうがないもどかしさを意地悪な発声などを交えながら演じてきました。魔女を演じてきたおかげで折り紙が好きになり、時々子供とヤッコさんを作って遊んでいます。
今回演じさせていただいた象の神様は、3000 年もの間、様々な人々の願いを聞いてきたという役どころです。そんな神様の心情をどう表現すべきか計り知れないものがありました。衣裳部さんの協力も得て神様を作り上げることが出来ました。
CG で象の鼻が伸びると聞いたので、どのように仕上がっているのか楽しみです!

■風間俊介
脚本を初めて読んだときはすごく温かみがあってオシャレなお話だと思いました。
オリガミのちょっとアカデミックな部分とファンタジックな物語が相まって、センスを感じました。撮影に入る前に特に演技プランはたてません。滝藤さんと一緒の現場の空気感の中で柔らかい感じに演じることができたと思います。
滝藤さんは多様な引出しを持っていて、こちらが何かすると想像以上に返していただき幸せな時間でした。この作品は完全なフィクションではなく、オリガミというリアルともつながった話なので、生活に生かして楽しんでいただければと思います。