いよいよ本日17日に最終回を迎えるTBS系連続ドラマ『最愛』(毎週金曜22:00~)。「犯人は誰か?」というサスペンス的な要素がありつつも、重厚な人間ドラマが展開し、登場人物それぞれの“最愛”が多くの視聴者を惹きつける。そんな作品の指揮をとる新井順子プロデューサーが、最終回を目前に迫ったなか、ネタバレギリギリのトークを展開した。

  • 吉高由里子主演『最愛』最終回の場面写真

■タイトルの意味「みんな愛のために動いている」

回が進むたびに『最愛』というシンプルなタイトルの意味が、グッと胸に迫る本作。企画書の段階では別タイトルだったというが、脚本を担当する奥寺佐渡子氏、清水友佳子氏との話し合いのなか「違うな」と思い始めたという。

「登場人物がそれぞれ怪しくて、秘密を抱えながらいろいろな行動をとるじゃないですか。なんでこんな行動をするんだろうと考えたとき、その源となっているのが愛だなと思ったんです。みんな愛のために動いている。そんなとき『最愛』という言葉があがってきました。もう『これしかない』と思ったんです」

作品を観ると「まさに!」と感じるタイトルだが、作品プロモーションをするうえで、SNSが大きな役割を果たす昨今、不安な点もあった。「すごくいいタイトルだと思ったのですが、ハッシュタグがトレンドに上がらない可能性が高いという話が出てひらがなにしようかな……なんて考えたりもしたんですけれどね」。

「実際『#最愛』はトレンドに上がらないのが分かって、『#最愛ドラマ』を公式ハッシュタグにしたんですが、このハッシュタグをトレンドに上げるのに苦労しました」と新井プロデューサーは笑うが「でも物語に登場するすべての人に関わるキーワード。1話の冒頭でもナレーションで『最愛』について語っていますが、やっぱりこれしかないと思って、脚本を執筆してもらう前には決定しました」と経緯を説明した。

■梨央&大輝の“最愛”「とにかく切なく」

そんな新井プロデューサーの心配をよそに、作品はSNSでも大いに盛り上がりを見せている。特に吉高由里子扮する真田梨央と、松下洸平演じる宮崎大輝の“最愛”に胸を熱くしている人は多い。

「2人に話したのは『とにかく切なく』ということぐらい。いわゆるロミジュリ(『ロミオとジュリエット』)感ですよね。まあ、いまやロミジュリではないじゃないか……という声も聞こえてきそうですが。でも大輝が捜査一課を外されるというのは最初から決めていたことなので、そこで2人の距離が近づき、また引き裂かれ……みたいな」

こうした2人の関係は“ジリキュン”という言葉で表現されている。

「本当に2人が良い空気感を出してくれています。これまで以上に業界内視聴率が良いようで、普通は1,2話ぐらいまではオンエア後に感想を送ってくれる人がいるのですが、『最愛』に関しては毎話終了後に送ってくださる人が多い。吉高さんの良さは言うまでもないのですが、松下さんのイメージが大きく変わりました。SNSでも『もう結婚しちゃいなよ!』みたいなコメント多いですが、そう言われる空気感を作れているのは素晴らしいですね」

一方、梨央の弟・優を演じる高橋文哉の演技にも多くの賞賛が寄せられている。新井プロデューサーは「透明感」と高橋の魅力をあげると「たまたま局内でお会いした時に“売れそうな匂い”がしたんです。お芝居は分からないけれど、面白そうだなと思いました」とオファーした理由を明かす。

現場で高橋は「何度も何度も演技指導をされて、いろいろと悩まれていましたが、それでも吉高さんや松下さんの芝居を受けて成長しています。『着飾る恋には理由があって』のときにもご一緒しましたが、格段に良くなっています」と評価。特に「吉高さんとのバランスがいいですよね。男女のラブではなく、姉弟のラブに見えるので絶妙な2人だと思います」とポイントをあげていた。

■挑戦的な最終回「物語の先を想像してもらいたい」

物語も終盤に差し掛かり、SNS上での考察も大きな賑わいを見せている。新井プロデューサーは「たまにYouTubeの考察動画を見たりします」と笑うと「まったくこちらの意図していない考察が出ることもあって。例えば(光石研演じる梨央の父親の)達雄さんの死因を自殺だとか、殺されたと言われていましたが、あれは完全に病死なので、ダイジェストにセリフとして説明を入れたり……『そこにはなにもありません、深読みしないでください』ということは伝えようとしています」と語った。

いよいよ最終回。新井プロデューサーは「企画書の段階では『犯人はこの人です』までしか書いていなかった。最終的にどんな思いで犯行をしてしまったのか……それをどう見せるのかは難しい。なにを言ってもネタバレになってしまうのですが、一つ言えるのは、挑戦的な最終回になると思います。どんな反響になるのかドキドキです。物語の先を視聴者に想像してもらいたいですね」と言葉を選びながら見どころを語ってくれた。 

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