俳優の岡田将生が12月11日、東京・日比谷シアタークリエで行われた舞台『ガラスの動物園』フォトコール&囲み取材に倉科カナ、竪山隼太、麻実れいらとともに来場、舞台に立ち続ける理由として、故・蜷川幸雄さんの言葉があったことを明かした。

  • 左から竪山隼太 、倉科カナ、岡田将生、麻実れい

    左から竪山隼太 、倉科カナ、岡田将生、麻実れい

同作は劇作家テネシー・ウィリアムズの出世作であり、アメリカ文学最高峰の名作戯曲を、数々の受賞歴を持つ上村聡史の演出によって現代によみがえらせたドラマ。作者の投影とも言われるトムを演じる岡田をはじめ、実力派が集結している。

いよいよ初日を間近に控えた心境を「およそ1カ月半弱、この4人で物語を紡いでやってきたんですが、いよいよ初日。お客さまが入っていただけてやっとこの劇は完成するんだろうなと思いながらやってきたので、やっとここまできたかと。純粋にうれしいです」と語る岡田。「上村さんとはシアタークリエでやった『ブラッケン・ムーア~荒地の亡霊~』に続いて2回目ですが、僕の俳優としての力量がバレているので。稽古初日から自分がやりたいトムと、上村さんが求めるトムをすり合わせながら、ここまで来ました。皆さんに初日を観ていただけたら、それでトムもまた違う階段に登れるんじゃないかなと思います」と意気込みを語った。

ドラマや映画などの映像作品に出演する一方で、舞台にもコンスタントに出演する岡田。そんな彼が舞台に立つ理由には、2016年に逝去した演出家・蜷川幸雄さんの言葉があったという。「僕の初舞台が蜷川(幸雄)さんだったんです。蜷川さんに『舞台に立ち続けなさい』と言われたので、そのお言葉通り舞台をやらせていただいています」とのことで、「自分自身、舞台に対する敬意もありますし、舞台は自分を試す場所でもあるので。日々みんなで作ってきた作品を、100%の状態で観ていただくために一生懸命稽古をしています。そういう時間も好きなので、皆さんとの作品作りは楽しい時間です」としみじみ。

今回、岡田と倉科は初共演。岡田の印象について質問された倉科は、「すごくお芝居に誠実な方だなという印象があったんですが、実際にやはりそうで。読み合わせの時から、見えないところで努力されているなと。この作品ってもの悲しいところがありますけど、座長の岡田さんの人柄がとても穏やかであたたかい方なので、それがこの世界観に浸透しているよう。トムが岡田さんで良かったなと思います」と振り返る。

一方、倉科の印象について質問された岡田は「カナさまは本当にすてきな女優さん。ローラという役はとても繊細で、チャーミングな部分もある役なのですが、そこを絶妙に演じられていて、すばらしいなと思っております」と絶賛。この“カナさま”という呼び方は、今回の稽古の場で生まれたものだそうで、岡田が「ある日、上村さんから全体的なダメ出しをされている時に突然生まれたあだ名というか。カンパニーともども敬意を込めて、“カナさま”と言わせていただいております」とその由来を明かした。

そして最後のコメントを求められた岡田は「不朽の名作と言われたこの作品を楽しみに待っている方もいらっしゃると思います。たくさんの方がやってきた中で、僕たち4人が作る『ガラスの動物園』はとても優しい空間になると思います。悲劇的なことはありますが、でも希望がある作品じゃないかなと思います。ぜひたくさんの方に観ていただきたいです」とメッセージを送った。

東京公演は日比谷・シアタークリエにて12月12日〜30日。全国ツアー公演は福岡、愛知、大阪にて2022年1月に行われる。

撮影:壬生智裕