先日クランクアップを迎えた大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で徳川慶喜を好演している草なぎ剛。江戸幕府最後の将軍であり、渋沢栄一と終生にわたる信頼関係で結ばれる重要な役どころを演じ切り、本作が自身にとってどのような経験になったのだろうか。草なぎは、渋沢栄一役の吉沢亮との共演が活力になり、俳優として次のステップに進むことができたと言い、「僕もう一度頑張るよ、亮くん」と笑顔でメッセージ。2017年放送の『嘘の戦争』(フジテレビ)以来約4年ぶりの連続ドラマへの出演となり、「人生のターニングポイントになっている感覚がある」とも話した。

  • 『青天を衝け』で徳川慶喜を演じている草なぎ剛

――『青天を衝け』への出演はご自身にとってどういうものになりましたか?

初めてのレギュラー出演の大河ドラマということで、いい思い出がたくさんできました。規模も時間も大がかりで、すごいドラマに出演できてとてもうれしかったです。

――慶喜を演じたことでご自身に変化や影響はありましたか?

スタッフや出演者の皆さんなど、すごいエネルギーで現場を進めていく『青天を衝け』に関わっているすべての方から元気をもらい、僕もまだまだ頑張らないといけないんだなと思いました。

――慶喜のシーンで特に印象に残っている場面を教えてください。

1年以上同じ役を演じることはなかったので、たくさん印象深いことがありましたが、馬のシーンは時代劇ならではだったので、第1回の冒頭のシーンはすごく印象深かったです。放送ではあまり長い尺で使われてなかったんですけど(笑)、それにしては練習したなと。撮影の間が空いたときに練習したり……とにかく馬ですかね(笑)

――最も楽しかったことは?

吉沢亮くんという素晴らしい役者さんと長くお芝居できたことかな。彼は主演として、渋沢栄一という大変な役を最後まで妥協することなく自分の命をかけて演じているという、その近くにいられたことが僕にとってすごく活力になり、自分の次のステップに亮くんがもっていってくれました。だから亮くんといられたことが一番楽しかったです。

――最もつらかったことは?

夜中の2時くらいに起きて、4時くらいに東京の少し離れた現場に行って、馬に乗って、使われたのは実際12秒くらい(笑)。吹き替えでもいいんじゃないかなと思ったんですけど、そういうわけにはいかないと。大変でしたけど楽しかったですし、そこが大河のいいところだと思います。

――吉沢さんが次のステップにもっていってくれたというお話がありましたが、具体的にどのような変化がご自身にあったのでしょうか。

亮くんの今回の役は、セリフ量も多くすごく大変。たまにしか出ていない僕でもあたふたしているのに、毎回出ていてあんなにしゃべっていて、ずっと1年間、台本を手放さずにやっていたんだなと思います。そういう彼の努力、そして本番での瞬発力を目の当たりにしてすごく刺激を受けて、お芝居ってもっともっと可能性があるんだなと。「僕もう一度頑張るよ、亮くん」って(笑)。亮くんのおかげで、もうちょっと頑張ろうと思いました。

――吉沢さんはインタビューで、草なぎさんは「小学生の頃から見てきた大スター」であり、「栄一の慶喜に対する尊敬と、吉沢亮が草なぎさんに感じている尊敬がリンクしている部分がある」と語っていました。草なぎさんは吉沢さんとはどのような視線でお芝居されていましたか?

亮くんにはいろんなところで褒めていただいて、ありがたい限りです。僕のほうが長く生きていて一応先輩ですが、役になるとそういうのは全く関係なく、亮くんから伝わってくるもの……栄一にかける思いとかに僕も感化されて、まっすぐな亮くんの眼差しが素晴らしいなと思いながら演じました。余計なことは考えず、栄一のおかげで僕もピュアなお芝居ができました。