多くの大学生が利用している「奨学金」。奨学金というと、入学してすぐに申し込むイメージがありますが、実は、そこから約半年経った秋にも二次採用募集を行っているのです。そこで本稿では、日本学生支援機構奨学金の秋募集について、応募条件や申込方法などをまとめました。

■奨学金の秋募集とは

<春募集と秋募集の違い>

日本学生支援機構(JASSO)奨学金には、入学後すぐに行われる「春募集(一次採用)」と、秋に行われる「秋募集(二次採用)」があります。春募集と秋募集は、時期だけでなく、応募できる奨学金の種類が異なります。

春募集では「貸与奨学金(第一種)」と「給付奨学金」が、秋募集では「貸与奨学金(第二種)」と「給付奨学金」が募集されます。ちなみに、秋募集の貸与奨学金(第二種)は、毎年必ず募集があるとは限らないとされていますが、ここ数年は毎年募集が行われています。

奨学金の秋募集は、たとえば、「春募集で採用され、すでに第一種奨学金をもらっているが、さらに第二種も借りたい」「第一種奨学金をやめて、第二種に変更したい(貸与月額を増やしたい)」などの場合に利用することができます。

特に、新型コロナウイルスの影響で家計に変化があり、「春には奨学金を申し込まなかったが、やはり必要になった」「増額しなければならなくなった」という事情を抱える学生も増えているようです。

<秋募集の応募条件>

秋募集では、第二種奨学金と給付奨学金の募集があります。応募するには、学部生であること(休学や留年をしていないこと)や日本国籍を有すること(第二種奨学金の場合)などが求められますが、それ以外にも、応募に必要となる基準が設けられています。それぞれ、どのようなものか見てみましょう。

・第二種奨学金

貸与奨学金は、経済的理由により修学に困難があると認められる人に申込資格があります。このうち第二種奨学金を借りるには、学力基準として以下の(1)~(4)のいずれかを満たしている必要があります。

(1)出身学校又は在籍する学校における成績が平均水準以上と認められること
(2)特定の分野で特に優れた資質能力を有すると認められること
(3)学修に意欲があり学業を確実に修了できる見込みがあると認められること
(4)高等学校卒業程度認定試験合格者で、上記(1)~(3)のいずれかに準ずると認められること

また、学力基準のほか家計基準もあります。家計基準は、「申込時の生計維持者(原則父母)の年収(給与収入の場合)・所得金額(給与以外の収入の場合)から特別控除額等を差し引いた金額(認定所得金額という)が、世帯人数ごとに設定された収入基準額以下であること」と定められています。たとえば、私立大学に自宅から通い、世帯人数が4人であるとき、第二種の家計基準は、年収1,147万円以下が目安です(給与所得者の世帯の場合)。

・給付奨学金

一方、原則として返還義務のない給付奨学金は、貸与奨学金と比べて応募できる条件が厳しくなっています。支援要件および選考基準は、(1)大学等への入学時期等に関する要件(2)学業成績等に係る基準(3)家計に係る基準(4)在留資格等に関する要件(日本国籍でない場合)のいずれにも該当する人と定められています。

なお、秋募集は、2020年分の収入を元に選考が行われます。そのため、過去に家計基準を理由に不採用となった場合でも、今回の募集に申し込めば採用になることもあります。

■秋募集の申込方法

秋募集の詳細は各大学によって異なりますが、いずれも「資料請求→出願→選考、採用→振込」という流れで選考等が行われます。ここでは、大まかな募集時期や申請方法、振込時期をまとめました。

<募集時期>

多くの大学では、秋募集の資料請求や出願の時期を9月~11月上旬に設定しているようです。ただし、大学によって締め切り日は違います。秋募集を検討している方は、在学している大学のホームページで確認してみましょう。

<申込方法>

・資料請求

秋募集に申し込むには、まず、各大学のホームページにある「申込の手引き」等に目を通します。次に、日本学生支援機構の「進学資金シミュレーター」を使い、自身の家計状況が奨学金の採用条件に当てはまるかどうか確認してみましょう(ただし、シミュレーターの結果は試算であり、実際に申し込んだ場合の結果と一致しないこともある)。最後に、請求フォームに必要事項を入力し、出願資料の請求を行います。資料は郵送で届きます。

・出願

出願資料が届いたら、そこに記載されている必要書類を揃えます。書類の作成ができたら、大学へ郵送で提出します。その後、日本学生支援機構へマイナンバー関係書類の郵送などを行います。

<振込時期>

秋募集で採用された場合、申込の時期などにより、12月中旬~翌1月中旬頃に振り込まれるようです。ただし、これも大学により異なります。通っている大学のホームページでしっかり確認してみましょう。

■必要に応じて秋募集の活用を

本年度の秋募集は、すでに終了したという大学もありますが、現在募集中、もしくは追加で募集されるところもあるかもしれません。家計状況が厳しくなったなどの理由で奨学金の貸与、給付を考えているなら、大学のホームページをこまめにチェックし、秋募集の詳細について確認してみてください。