日本を代表する声優として数々の作品で美しい声の演技を披露している津田健次郎。一方で、舞台やドラマ、映画など俳優としての活動も行っているが、現在放送中のTBS金曜ドラマ『最愛』(毎週金曜22:00~)では、殺人事件の重要参考人となった吉高由里子演じる主人公・真田梨央を追う刑事・宮崎大輝(松下洸平)の上司である警視庁捜査一課係長・山尾敦を演じている。無精ひげに渋い声で部下たちに指示を出す山尾だが、津田には監督やプロデューサーから意外なオーダーがあったという。

  • TBS金曜ドラマ『最愛』で警視庁捜査一課係長・山尾敦を演じている津田健次郎

本作を手掛ける新井順子プロデューサーから出演のオファーを受けた際、「映像作品でガッツリとレギュラーをやらせていただくのが久しぶりだったので、僕にやらせていただけるんですか?」という驚きがあったという津田。そのときは刑事という役柄を演じてほしいということは聞いていたものの、キャラクターの詳細については、まだ理解していなかったという。

そんななか、刑事という役について、さまざまな想像を巡らせて撮影に臨んだというが、衣装合わせで塚原あゆ子監督と、新井プロデューサーから「シリアスなドラマのなか、作品の緩くてほんわかした部分を担えるのは(津田演じる)山尾と(佐久間由衣演じる宮崎の後輩刑事)桑田ぐらいしかないんですよね」という話を聞いた。

殺人事件を追う警視庁捜査一課の係長という立場。実際、宮崎と対峙するシーンでは、かなりシリアスなセリフが飛び交うなど、緊張感がいっぱいだ。そんななか「ほんわかした部分を担ってほしい」というオーダーに、津田は「すごく意外だったのですが、メチャクチャ面白い!」とワクワクしたと同時に、「山尾は可愛らしいサブバックを持っているんです。その他にも、自分で可愛いらしいペンを用意したり、いろいろなこと考えながら、ちょっとほんわかした部分を担えたらと思って演じています」と自身も積極的に役を立体化するアイデアを出しているという。

「ほんわか緩い」パートを担う佐久間との芝居。第1話では、山尾が桑田の名前を忘れてしまい「くわ……」と口ごもるシーンがコミカルに映った。津田は「あのシーンは台本では、普通に名前を呼んでいるのですが、リハーサルでああいう形でやらせてもらったら、面白いということでそのまま採用になったんです」と裏話を披露すると、「打ち合わせなしで突然やってしまったのですが、佐久間さんは瞬時に反応し、お芝居をしっかり受けていただきました。本当に素晴らしい方ですし、楽しかったです」と絶妙なコンビネーションだったことを明かす。

一方、松下とのシーンでは重厚感漂う雰囲気のなか芝居が進む。「やっぱりどうしてもシリアスな感じになります」と撮影を振り返ると、「現場の刑事である宮崎と、それを監督する立場の山尾では、必然的に熱量の差が出てくると思うんです。そんななかで、どの程度の分量になるかは分かりませんが、松下さんとは2人の間のドラマも作っていければいいなと思っています」と語っていた。