女優の内田理央が主演を務める、テレビ東京系 ドラマParavi枠『来世ではちゃんとします2』(毎週水曜24:40〜)が現在放送されている。いつまちゃんによる同名漫画の実写化作品である同作は、性依存系女子・大森桃江(内田)を中心としたCG制作会社「スタジオデルタ」の若者達の姿を描き、2020年に放送されたシーズン1が好評を博したことから、シーズン2につながった。

今回は、内田演じる桃江の相手の1人であるAくんを演じる塩野瑛久にインタビュー。22日深夜に放送された第7話ではAくんの内面にも迫っており、現在Paraviでの配信も行われている。共演者からも「A様」と大人気だという撮影の様子や、8月にLDH所属を発表して新たなスタートを切ったことへの気持ちなど、話を聞いた。

ドラマ『来世ではちゃんとします2』に出演する塩野瑛久

ドラマ『来世ではちゃんとします2』に出演する塩野瑛久

■撮影現場では「A様」「エンペラー」と呼ばれる

——シーズン1はテレ東社長賞を受賞するくらいの反響があったということですが、塩野さんにも届いていましたか?

正直に言うと、そこまでの実感はないんです。というのも、やっぱり内容が内容なので、「スーツで縛る姿、見てます!」と言ってくださるような方は少ないんじゃないかな、と(笑)。実感がない中でも、Netflixの視聴ランキングで日本4位になっていたりして、驚きました。

でもやっぱり「面白いものは伝わるんだ」とも思いました。内田理央さん演じる桃ちゃんを筆頭にキャラクターがみんな魅力的ですし、台本の面白さと映像になった時のマイルドさのバランスみたいなところもうまくかみ合っていて、愛される作品になったのかなという気がします。

——撮影現場では、塩野さんというかAくんがもはや「A様」と呼ばれているというお話もうかがいましたが…。

いつの間にかそうなっていました。普通に現場で内田さんと会話していたら「A様」「エンペラー」と呼ばれるんです。他の方に「リアルAくんだ」と言ってくださってたみたいなんですが、それはすごく語弊がありそうだなと(笑)。内田さんを筆頭に、プロデューサーさんや原作者のいつまちゃん先生まで……。

——「A様」に加えて「エンペラー」ですか!?

「エンペラー」の由来はわからないんですが……(笑)

——実は「スタジオデルタ」の皆さんからも塩野さんが大人気だったという噂もあります。

皆さん本当に優しいんです。きっと僕が皆さんを好きだから、その空気が漏れ出て「この人、大丈夫だ」と思っていただいていたのかもしれません。林役の後藤(剛範)さんもすごくかわいらしいエピソードがあります。実は前回、コロナ禍になる前に1度皆さんとお食事をして、さらにその後、後藤さんの舞台も観劇して少しお話もしていたんです。それから今回の撮影で久しぶりに会えたんですが、「こんなこと男が聞いたら気持ち悪いかもしれないけど、こないだ塩野くんからすごくいい匂いがして、どんな香水を使ってるのかな?」と聞いてくれて。きっと聞きにくいことを聞いてくれたんだろうな、ということが伝わって、そうやって話しかけてくださったことがすごく嬉しかった。本当に林を見ているようで、それぞれの役者さん自身にもそういう部分がきっとあるから、『来世ちゃん』のキャラクターが愛おしく見えるんだろうなと感じました。

——Aくんのシーンもさらにパワーアップしていますね。

ジャングルジムをはじめとして、バージョンアップしていますね。Paraviのスピンオフでは内田理央さんに首輪をつけてアヒルをくわえさせるシーンがあり、なかなかぶっ飛んでいます(笑)。でも節々からよりAくんのキャラクターが見える内容になっているし、内面がピックアップされる部分も出てきます。シーズン1は「短いシーンでAくんという人物を知ってもらおう」という挑み方だったんですけど、シーズン2に関してはもっとAくんに寄り添った形で演じられればいいなと思っていました。その上で演じる桃ちゃんとのシーンは、またちょっと違う特別な感情が出てきたり、新しい発見もありました。

■心の準備ができる前に「ぜひ」

——塩野さんは8月12日にLDH所属を発表されましたが、『来世ちゃん2』初回放送の翌日だったので、スタートに合わせた発表だったのかな? とも思いました。

それは偶然です! 『来世ちゃん2』に関しても、僕が事務所に所属していない時にいただいたお話でしたし、タイミングを合わせるようなことはできないです!(笑)

——3月にLDHのライブに行かれた時は、SNSに「移籍の匂わせではございません」と書かれていましたよね。

そこはちょっと、言い訳したい気持ちはありました(笑)。後からわざわざ書いても……と控えていたんですけど、その時は本当にまったく関係なかったんです。ユーモアのつもりで投稿していたので、それがまさかこんなことになろうとは、当時の塩野も驚いているでしょう。

きっかけは、僕が純粋に「今、LDHでアクターは募集しているのかな」と疑問を投げかけたことでした。それがそのままHIROさんにお話がいって……HIROさんとは1度食事をご一緒したこともあり、「面白いね」とおっしゃってくださったので、そのときの印象とか、(川村)壱馬が僕のこと好きだと言ってくれていたことを覚えていてくださったのかもしれません。心の準備ができる前に速攻で「ぜひ」と言っていただいたので、「ええ!? いいんですか!?」と僕の方が驚きました。

——勝手なイメージですが、LDHさんらしいエピソードのように感じます。LDHの方もファンの皆さんも全員が喜んで歓迎している雰囲気も大きいように思いました。

僕も、逆に怖くなってきました。何か仕組まれているのか? と思うくらい皆さん優しいんです。共演して食事など行ったことがある人には直接連絡もしたんですけど、びっくりしていました。「これからは本格的に仲間だね」「また今度お話聞かせてね」と言ってくれて、本当にいろいろご縁だなと思います。数カ月前の自分からしたら考えられない環境にいるんだろうなと思いますし、なるべくしてなったような気もしなくもないし、ちょっと不思議な感情です。

——もちろん俳優としてのスタンスなどはこれまでと変わらず、というところだとは思いますが、改めてどのような心境ですか?

今回、本当に真剣に考えて新しいスタートを切りました。「人生は1度しかない」という気持ちが大きくて、なるべくいろんなチャレンジをしていきたいし、自分のやれることを広げていきたいと思っています。

僕は今、役者を続けることができていますが、僕の周りでも続けたいけど続けられなかったりとか、別の道を見つけて新しく踏み出したりという俳優は多いです。このコロナ禍で、できることを制限され、逆に世の中の変化に対して改めて発見もありました。今までの当たり前の日常がそのまま復活するというのはちょっと考えにくいと感じ、変化に柔軟に対応できる環境にいたいと考えるようになったんです。もちろん、新しいスタートを踏み切ったからには、ここでしぼむわけにはいきません。自分というものをちゃんと花咲かせて、長く俳優として活動していきたいと思っています。

■塩野瑛久
1995年1月3日生まれ、東京都出身。2011年に開催された第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストに応募し、審査員特別賞およびAOKI賞を受賞、2013年『獣電戦隊キョウリュウジャー』出演で話題を呼ぶ。近年の主な出演作に『星屑リベンジャーズ』(18年)、『PRINCE OF LEGEND』『HiGH&LOW THE WORST』『いのちスケッチ』(19年)、ドラマ『Re:フォロワー』『ヤヌスの鏡』(19年)、『僕らは恋がヘタすぎる』(20年)、『カラフラブル〜ジェンダーレス男子に愛されています。〜』(21年)、舞台『里見八犬伝』(19年)など。

(C)「来世ではちゃんとします2」製作委員会