本作の脚本を手掛けているのは、朝ドラ『風のハルカ』(05)や『あさが来た』(15)などの人気脚本家、大森美香氏。『青天を衝け』の平均視聴率は15%前後を誇り、東京オリンピック開催による休止期間を経たあと4週ぶりの放送となった第24回(8月15日放送)でも平均視聴率(世帯)は14.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマークし、前回第23回の14.1%(同)を上回った。

吉沢は本作の人気について「最初から純粋に脚本が面白いと思っていたし、関わっているみなさんも面白いものを作っているという自信を感じていたのではないかと。でも、実際にたくさんの方に観ていただき、高い評価をいただけたのはすごくうれしいです」と喜びを口にする。

今後の展開について吉沢は「江戸が東京という名前に変わり、廃藩置県もされて、時代がどんどん変わっていきます。また、銀行など、普段から何気なく使っているものは、こうして生まれたのかということがわかっていくし、みなさんの間でよく知られている渋沢栄一の功績が、どんどん積み上がっていくので、ここから栄一が本領を発揮していくと思います」と力強く発言する。

世の中が激動していくなかで、栄一はパリで得た知識を活かしつつ、実業家としての手腕を発揮していくが、当然ながら様々な横槍も入っていく。

「今までの栄一は相手が目上であったり、自分より位の高い人であっても、自分が正しいと思うことを口にし、全力でやってきました。新政府で働くようになってからも、これまでと同じように突き進むのですが、そのための手段として、自分の道理から外れたような汚いことや、何かを切り捨てるようなことも致し方なくやっていきます」

栄一の変化は今後の見どころにもつながるが、吉沢は「それが大人になるということなのかもしれないけど、やはりそのぶん、葛藤も抱えていきますし、そこは意識して演じています」と語る。

「自分を俯瞰で見た時、何かが間違っていると気づいているのに、やめられないというか、少し余裕がなくなってきているのかもしれません。栄一はパリに行ったことで、みんなで幸せになれる方法を見つけ、自分がやりたいことややるべきことが、明確に見えたと思う。だからこそ、自分の意思とは別のことをやってしまったりもするし、それを実現することの難しさも感じていくからすごく大変だと思います」

ある意味、今後はもう少し生々しい“人間・渋沢栄一”を演じていくことになる。「おそらく、ただ無邪気だった少年・栄一がこんな大人になってしまったのかという寂しさも感じていただけるのではないかと。例えば従兄の喜作(高良健吾)とは早い段階で道を違えましたが、そんなふうに周りとの関係性も含め、残されていく者たちの哀愁も描かれていくと思います。でも、一番大きいのは、栄一が周りの(歴史上の)スターたちからいろんなものを受け継いで、バトンをもらい、最後の最後まで生き延びた人だということ。その生命力はもちろん、逆に生き延びた人たちの寂しさも伝わればいいなと思っています」

■吉沢亮(よしざわ・りょう)
1994年2月1日生まれ、東京都出身。2009年、「アミューズ全国オーディション2009」で審査員特別賞を受賞しデビュー。『キングダム』(19)で第43回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。2021年のNHKの大河ドラマ『青天を衝け』で主演を務める。 主な映画出演作に、『銀魂』シリーズ(17、18)、『リバーズ・エッジ』(18)、『東京リベンジャーズ』(21)など。

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