「ご参考までに」は、ビジネスシーンで資料などを送る際によく使うフレーズです。取引先とのやり取りで使う機会が多いので、正しい使い方を覚えておきましょう。
本記事では、「ご参考までに」の意味や使い方・例文、類語や言い換え表現を紹介します。また、使う際の注意点についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
「ご参考までに」の意味とは?
ビジネスシーンにおいて、メールに「ご参考までに」と書いて資料やデータを添付することがよくあります。「こちらの資料はご参考までに」と短く書くときもあれば、「ご参考までにお送りいたします」と書くときもあるでしょう。
あらためて意味を確認すると、参考とは「何かをしようとするときに他人の意見やほかの事例などを利用して、考えをまとめること」という意味です。
つまり、あくまでも参考であって必ずこの資料に基づいたものにしなければならない、という強制のニュアンスは含んでいません。受け取った情報を参考にするかどうかは、自分で判断していいということです。
「ご参考までに」として付ける資料の位置づけ
繰り返しになりますが、「ご参考までに」として添付される資料は、あくまで参考であって必ず見なければならないというものではありません。見なくても問題ないようなものに対して使うのが一般的で、「ご参考までに」として送られてくる資料は、基本は参考にするかどうかは受け取った側に委ねられています。
ただし、ビジネスシーンでは念のためチェックしておくことをおすすめします。送られてきた資料に認識しておいてほしい点や、次回の会議で論点となるポイントがないとも言い切れません。「ご参考までに」とあったとしても、簡単に目を通すだけはしておいたほうがいいでしょう。
「ご参考までに」は敬語として目上の人に使える?
「ご参考までに」は、参考という言葉に「ご」を付けた謙譲語です。正しい敬語表現なので、上司や取引先など目上の人に使っても問題ありません。
一方、同僚や部下に対して使うのはやや不自然なので、この場合は敬語を取って「参考までに」としましょう。相手によって上手く使い分けてください。
「ご参考までに」のビジネスシーンでの使い方・例文
「ご参考までに」は、ビジネスシーンにおいて実際どのように使うのでしょうか。例文とともにみていきます。
企画書などの内容を補足したいときに
例えば新商品の企画書をメールで送る際に、「それほど重要ではないが、知っておいたほうが理解しやすいかもしれない」という予備情報があったとします。
しかし企画書も予備情報もまとめて送ってしまうと、添付資料の数が増えて受け取った側はすべて確認したほうがいいかどうか迷ってしまうでしょう。
そこで「ご参考までに、資料Aを添付いたします」としておけば、添付資料のなかでも目を通してほしい優先順位を相手へ伝えることができます。この場合、資料Aの優先順位はさほど高くないとわかります。
「ご参考までに添付いたします」はメールの締めの表現に使うことが多い言葉ですが、文中で使っても問題ありません。
■例文
- ご参考までに、過去の事例をいくつか添付いたします。
- 添付したものは弊社の人気商品ランキングです。ご参考までに。
- ここ数年の動向を添付いたしますので、ご参考いただければと存じます。
後に続く言葉
ご参考までにを使うとき、後に続く言葉が自分の行動を指す場合は謙譲語を使います。例えば「ご参考までに昨年のデータも用意いたしました」といったかたちです。一方、後に続く言葉が相手の行動を指す場合は、尊敬語にする必要があります。例えば「ご参考までに昨年のデータもご覧ください」というような使い方です。少しややこしくなりますが、間違って自分に対して敬語を使ったり、相手に謙譲語を使ったりしないよう注意しましょう。
「ご参考までに」の類語・言い換え表現
次に、「ご参考までに」の類語や言い換え表現についてみていきましょう。ボキャブラリーが増えればビジネスパーソンとしての厚みも増しますよ。
「参考にしてください」
「ご参考までに」ととても似た表現ですが、「参考にしてください」としたほうが、より内容の確認を促すことができます。丁寧に表現したいときは「ご参考ください」「参考になさってください」などとしましょう。
「お目通しください」
「お目通しください」は「目通し」が元になった尊敬表現です。目通しとは最初から最後までひととおり見ることという意味です。「ご参考までに」よりもはっきりと確認してほしいことを伝えています。
より丁寧にしたいときは「お目通しいただけますようお願いいたします」「お目通しくださいますと幸いです」などとしましょう。
「ご参照ください」
先述した「ご参照ください」も、言い換え表現として使えます。参照は、他のものを照らし合わせて参考にするという意味です。参考とほぼ同じ意味と捉えてよいでしょう。
ただし「ご参考までに」とは言えても「ご参照までに」とはあまり言いません。参照という言葉を使う場合は、「ご参照ください」となります。
「ご参考までに」を使う際の注意点
「ご参考までに」を用いる文で、間違えやすい表現を紹介します。
「ご参考までにご査収ください」はNG
「査収」とは金銭や書類などを、よく調べて受け取ることです。つまり、参考と査収は相反する意味をもつ言葉。同じ文で使うのは不自然です。相手を惑わせてしまう表現は、ビジネスパーソンとして避けたいものです。
「ご参考までに教えてください」は失礼
「ご参考までに教えてください」はそもそも日本語として正しくありません。教えてもらうのは自分自身、つまり参考にするのも自分自身。その自分に対して「ご参考」と尊敬語を使うのは相手に失礼です。正しく表現するなら「参考までに教えていただけますでしょうか」となります。
ただし、上司や目上の人に「参考にしたいから教えて」と伝えるのは、いくら表現方法が丁寧であっても失礼にあたります。避けた方がいいでしょう。どうしても伝える場合は、「参考にさせていただきたいので、ご教示いただけますでしょうか」とするとよいでしょう。なお同僚や部下に対しては「参考までに教えてください」としても問題ありません。
文末が「ご参考までに」だけでは素っ気ない印象
「以上、ご参考までに」という表現は、急ぎのメールの文末に締め言葉として使われることがあります。ただし、素っ気ない印象を与えるので、目上の人に対しては避けたほうが無難です。できるだけ「ご参考までに添付いたします」と言葉を補足しましょう。
確認してほしい書類に対しては使わない
繰り返しになりますが、「ご参考までに」として送る書類は、基本的に重要度はそれほど高くはなく、見るかどうかは受け手の判断に委ねられています。
そのため、内容を確認してほしい、ざっとでいいから見てほしいといった書類には「ご参考までに」という言葉は添えないほうがいいでしょう。代わりに「お目通しください」や「ご一読ください」という言葉を選びましょう。
「ご参考までに」の英語表現
英語表現も知っておくと便利です。ここでは、「ご参考までに」の英語表現を紹介します。
for your information/ FYI
「ご参考までに」の英語表現は「for your information」です。
- For your information, I send you a sample of new product.
(ご参考までに、新商品のサンプルをお送りします)
メールやチャットでは、頭文字をとって「FYI」と記載することもあります。
For your reference
上記の「information」の代わりに「reference(参考、参照)」を使って、「For your reference」とすることもできます。
「ご参考までに」はビジネスメールの頻出ワード
「ご参考までに」という表現を掘り下げてきました。参考とは、何かをするときにほかの意見や事例などを利用して考えをまとめること、という意味です。
ビジネスメールにおいて「ご参考までに」と送られてくる書類は、基本的にそれほど重要度が高くないものです。ただし、ざっと目を通しておくことをおすすめします。
内容を確認してもらいたい大切な書類については、「ご参考までに」ではなく「ご一読ください」「お目通しください」などの言葉を選びましょう。