「しっぽり」はビジネスシーンにおいて、同僚や得意先とのコミュニケーションを円滑にしたい場合に役立つ用語です。言葉自体は知っているものの、どのように使えばよいか悩んでいる人は意外に多いのではないでしょうか。

本記事では「しっぽり」の意味や使い方について解説します。また、類語や英語表現についてもまとめました。

  • 「しっぽり」の意味

    「しっぽり」の意味や使い方を解説します

「しっぽり」の意味

「しっぽり」には複数の意味がありますが、一般的に「しみじみとした様子」や「静かで落ち着いた様子」という意味で使用されます。よく耳にする「しっぽり飲む」という表現を思い出せば、その情景もイメージしやすいのではないでしょうか。

下記では、「しっぽり」の意味をそれぞれご紹介します。

濡れた状態

「しっぽり」は「濡れた状態」を指し、水分でしっとりと湿っている様子を表しています。雨や霧で濡れている状態です。

物理的に濡れている状態を指して「しっぽり」といいますが、会話では一般的ではありません。小説や詩においてよく使われる表現です。人の肌が濡れている場合はもちろん、街に雨が降って濡れている雰囲気を指して「しっぽり」を使うこともあります。情景描写に便利な言葉です。

男女の情愛

「しっぽり」は、優美で上品な様子を表現したいときに使える言葉です。そのため「親密な男女の関係」や「男女の情愛が細やかな様子」を表す際にも使えます。濡れた状態を示す「しっぽり」と同様、会話で使うことはほとんどないですが、小説などでは見られる表現ですので覚えておきましょう。

落ち着いたさま

「しっぽり」の意味合いで最も使われるのが、「静かで落ち着いている状態を表す」場合です。

この意味合いは会話の中で登場することが多く、「しっぽり飲む」というフレーズがよく使われます。一人で静かに飲酒する状況や、誰かと落ち着いて飲む状況を表現しています。

フォント

「しっぽり」には、「しっぽり明朝」「しっぽりゴシック」という名前のフォントが存在します。上品で洗練されたフォントで、通常の明朝体よりも流れるような美しい見た目が印象的です。資料作成で、ほかの会社や同僚と差別化を図りたい人は、試してみるのもいいかもしれません。

  • 「しっぽり」の意味

    「しっぽり」を使いこなせるようになりましょう

「しっぽり」の使い方・例文

「しっぽり」にはさまざまな意味があるので、混同してしまわないよう、それぞれの使い方と例文を押さえておきましょう。

特に、ビジネスパーソンは「しっぽり飲む」という表現を使う機会が多いので、このフレーズについてくわしく解説します。「しっぽり飲む」の「しっぽり」は静けさや落ち着きを意味しており、以下のような文章にも使えるので便利です。

・街がしっぽりと濡れている

・居酒屋で男女がしっぽりとお酒を飲む

・しっぽりと朝まで語り明かす

・一人でしっぽりご飯を食べる

・一人でしっぽり本を読む

「しっぽり飲む」の使い方・例文

「しっぽり」といえば「しっぽり飲む」という表現を思い浮かべる人が大半なのではないでしょうか。飲酒のことを指しており、一人で飲む場合にも複数人で静かに飲む場合にも使える表現です。例文を紹介します。

・一人でしっぽり飲む

・職場の同僚としっぽり飲む

また、職場の同僚を誘うときにも便利なフレーズです。

・来週の金曜日は、しっぽり飲みませんか?

・今日は疲れたので、しっぽりと飲みましょう

・しっぽり飲むのにちょうどよい雰囲気のお店です

「しっぽり」の意味を知っていると、上司から「しっぽり飲もう」と誘われた場合に、落ち着いた雰囲気のお店をセッティングしやすくなります。取引先との会話でも「しっぽり」を使う場面があるかもしれないので、言い回しのフォーマットを覚えておきましょう。

  • 「しっぽり」の使い方・例文

    「しっぽり」の実践的な使い方と例文を紹介します

「しっぽり」は方言?

「しっぽり」は「方言」なのではないかと考える人も多いかもしれません。さまざまな説がありますが、実際に方言だといわれている説も存在するようです。

「しっぽり」は京言葉が由来という説も

「京言葉」は京都の方言です。京言葉のひとである「しっぽり」には、「静かで上品な様子」という意味があります。この京言葉の「しっぽり」から派生したという説があるようです。

しかし、方言ではない「しっぽり」には「上品」といった意味合いはなく、どのような関係性があるのかはっきりしていません。

・あの人はしっぽりしてはるなあ

・しっぽりとして、素敵な人やわあ

  • 「しっぽり」は方言?

    京言葉の「しっぽり」から由来している説もあります

「しっぽり」の類語表現

「しっぽり」には、いくつか似たような表現があります。時と場合にあわせて、言い換え表現を使い分けられるよう類語もおさえておきましょう。

しっとり

「しっとり」と「しっぽり」は、どちらも「濡れている状態」であり、湿り気のある様子を思い浮かべられる表現です。

「しっぽり」と意味はほとんど同じですが、使い方は若干異なるので注意しましょう。「しっとり」は人の皮膚など特定のものに対して使う表現で、「しっぽり」は空気感に使うことが多くニュアンスが違います。例えば、「肌がしっぽりしている」は不自然です。

ほそぼそ

「ほそぼそ」とは、「細かい様子」や「弱々しい様子」を意味します。「しっぽり」における男女の関係に意味が近い言葉です。「しっぽり」と比べると若年層に向いている表現です。

・ほそぼそと飲む

・ほそぼそと語り合う

ゆっくり

「ゆっくり」は日常的に使われる表現ですが、「しっぽり」における「落ち着いた様子」に近い意味を持ちます。

・一人でゆっくり飲む

・一人でゆっくり読書する

・一人でゆっくり食事する

  • 「しっぽり」の類語表現

    「しっぽり」の類語表現をおさえておきましょう

「しっぽり」の英語表現

日本らしさのある「しっぽり」という言葉ですが、英語に言い換え可能です。とはいえ「しっぽり」にはいくつか意味があるため、それぞれに対応したフレーズがあります。

水で濡れている状態は「wet」で表現し、静かに落ち着いた状態は「queit」が使えるでしょう。そのほかにも表現方法はいろいろあるので、確認してみてください。

しかし「しっぽり」のニュアンスをそのまま表現する単語は、英語に存在しないようです。「wabisabi」のように日本語特有の言葉なので「sippori」と表現するのが正しいのかもしれません。

・to enjoy a quiet evening(しっぽり楽しむ)

・to get wet to the skin(しっぽり濡れる)

「しっぽり」は一般的に「落ち着いたさま」を意味する

「しっぽり」は「しみじみとした様子」や「静かで落ち着いた様子」といった意味を持つ表現です。また、「濡れた状態」といった意味も持ち、水分でしっとりと湿っている様子を表す際にも使えます。

ビジネスや日常会話の中では「しっぽり飲む」という表現がよく聞かれますが、これは一人や複数人で「静かに落ち着いて飲む様子」のことなので覚えておきましょう。