「仕様」と「要件」はビジネスシーンでよく使われる言葉です。IT業界など特定の分野では目にする機会も多いでしょう。本記事では、仕様と要件の意味をご紹介します。

また、それぞれを使いわけるための例文や類語・英語表現のほか、仕様書の書き方のポイントについて説明するので、ぜひ目を通してください。

  • 仕様と要件の違いとは

    仕様と要件の意味や違いを解説する記事です

仕様と要件の違いとは

仕様と要件を使いわけるためには、それぞれの意味を把握することが大切です。まずは、仕様と要件の意味をみてみましょう。

■仕様の意味

仕様は「しよう」と読む言葉です。ふたつの意味を持っています。

意味1: 物事のやり方や仕方、方法
意味2: 機械類や建物などの内容や構造

どちらの意味になるかは会話の内容や場面によって異なります。

■要件の意味

要件は「ようけん」と読みます。要件にはふたつの意味があります。

意味1: 大事な用事。大事な事柄
意味2: 必要な条件。欠かすことができない条件

会話の内容や場面によって、どちらの意味になるかが違ってきます。

■IT用語として用いられる「仕様」と「要件」の違い

仕様と要件はIT用語としてもよく使われます。

IT用語としての「仕様」

製品やサービス、システムなどを開発するときに定めたくわしい設計のことを指します。コンピューターやその周辺機器、ソフトウェアやサービス、システムにおいて、規格・性能・機能・部品などの設計の詳細を意味しています。日本では「仕様」と同じ意味で「スペック」という言葉を使うこともあります。

IT用語としての「要件」

「ソフトウェア要件」や「システム要件」という使い方をし、ソフトウェアやシステムに必要な機能や性能のことを指します。また、要件に関する言葉がいくつか存在します。

  • 要件定義

システムやソフトウェア開発において実装すべき機能・満たすべき性能などを明確に定義したもの、することを指します。実際に開発や実装作業が始まる前に行う作業のひとつとなります。

「要件定義」の前段階では、発注者が何を求めているのか明確にする作業を「要求定義・要求分析」などと呼びます。

  • 業務要件

システムやソフトウェア開発の初期の段階で、対象業務のフローなどを定義していきます。対象業務の現状分析を行い、業務の流れを明確化します。そのうえで対象業務のフローや入出力情報を定めたものが業務要件になります。

  • 機能要件

システムやソフトウェア開発において、必要な機能や挙動を定義したものです。どのような機能を備え、どう反応するのか、必ず搭載すべき機能と処理内容、データ形式などを定めていきます。機能要件は要求定義・要求分析や要件定義の工程で検討され決定します。

IT用語の仕様と要件の違い

IT用語としては、要件が先にきて仕様が後にくるというイメージを持つと理解しやすいです。

要件 → 製品を開発する前の段階で求められる必要な条件
仕様 → 要件を実現するために策定された、製品の規格・性能・機能・部品の詳細・スペック

  • 仕様と要件の違いとは

    仕様と要件の意味を理解しておきましょう

仕様と要件の使い方・例文

ここまで仕様と要件の意味を説明してきました。それを踏まえ、ここでは仕様と要件を正しく使うために例文をご紹介します。

■仕様の例文

まずは、仕様の例文をみてみましょう。

  • ほかの仕様がないか、もう一度検討してみます。
  • 才能があっても本人が努力しないなら仕様がないよね。
  • 故障かと思ってカスタマーセンターに連絡したら、「そういう仕様です」と言われた。
  • 製品のデザインや仕様の一部は予告なく変更する場合があります。

■要件の例文

次は要件の例文をみてみましょう。

  • 今回は時間があまりないため、要件だけ説明させてください。
  • まずはこちらに記載している要件を確認してください。
  • 千載一遇のチャンスだったが、要件を満たしていなかったので落選した。
  • クライアントにヒアリングして業務要件を分析し、機能要件をまとめたものを「要件定義書」として文書化し提出した。
  • 仕様と要件の使い方・例文

    仕様と要件の意味を理解すると使い分けも難しくはありません

仕様と要件の類語・言い換え

ここでは、仕様と要件の類語・言い換えをご紹介します。仕様と要件に分けてみてみましょう。

■仕様の類語・言い換え

仕様の類語・言い換えは下記の通りです。

・設計関連
規格、スペック、など

・物事を達成するための方法
道筋、途方、経路、道順、やり方、など

・操作するための手順
順序、筋道、手立て、メソッド、プロシージャ、など

■要件の類語・言い換え

要件の類語・言い換えは下記の通りです。

・物事の前置きとなる条件
前提、条件、土台、基礎、原則、基盤、前置き、下地、コンディション、など

・必要な条件
必須条件、必要項目、必須要素、マスト、など

  • 仕様と要件の類語・言い換え

    仕様と要件の類語もあわせて覚えましょう

仕様と要件の英語表現

ここでは、仕様と要件の英語表現をご紹介します。仕様と要件に分けてみてみましょう。

■仕様の英語表現

specification で「仕様」を意味します。日本語ではspecificationを略して「スペック」と表現されることも多いです。

英語: Once the specifications have been changed, please let me make another announcement
意味: 一度仕様を変更した後、改めて発表させてください

■要件の英語表現

requirement、necessary condition などが日本語の「要件」に該当します。

英語: In order to apply for this audition, you need to meet the requirements
意味: このオーディションに応募するためには、要件を満たす必要がある

英語: He satisfied a necessary condition for this profession
意味: 彼はこの職業に必要なある要件を満たしていた

  • 仕様と要件の英語表現

    仕様と要件の英語表現をあわせて確認してください

仕様書の書き方のポイント

「仕様書」とは、物事がくわしく説明されている書類です。目的やプロジェクトに応じて、業務の進め方やシステムの設計などを細かく記載します。

会社によってフォーマットが決まっている場合もあり、仕様書の種類によって内容や書き方が異なります。ここでは、システム開発における「要求仕様書」の書き方のポイントをご紹介します。

・開発の目的
システムを開発する目的のことです。顧客がどのような経緯で開発を要求しているのかを明確化し、そのシステムを開発することで達成すべき目的をはっきりさせます。特に中長期の開発では徐々に目的を見失いがちになるため、顧客の要望と成果物のミスマッチを防ぐためにも、最初に目的を明確に示しておくことが必要です。

・スケジュール
開発の具体的なスケジュールの決定です。日時と具体的な業務内容まで記入する必要があります。テスト日時や修正のための担保期間についても決めておくと、万が一トラブルが起こった際にも余裕を持った対応が可能です。

・予算
システム開発において、必要な予算を記入します。開発するシステムの規模や作業期間によって予算の規模が変わります。必要な作業量や人員数を細かく見積もったうえで予算を設定しておかなければ、後々資金不足に陥ってしまうかもしません。要求仕様書に明確に記入しましょう。

・システムの機能
顧客の要求を聞き取り、希望する機能を明確化します。どのような機能を望んでいるのか、何を実現できる機能が要求されているのかを明らかにしましょう。

・開発の規定
システム開発における規定のことです。法律やポリシー違反に関する規定やシステムを開発するうえでの制約など、開発を行うメンバーのためにしっかり明記しておきましょう。

  • 「仕様書」の書き方のポイント

    「仕様書」は種類によって書き方が異なります

仕様と要件の違いを把握しましょう

仕様の意味は「物事のやり方や仕方、方法」や「機械類や建物などの内容や構造」です。IT用語でもあり、メーカーやベンダーが製品やシステムを開発するときに決めた詳細な設計のことを指します。

要件の意味は「大事な用事」や「必要な条件」です。ソフトウェアやシステム開発などでは必要な機能という意味になります。

仕様と要件の類語や英語表現、「仕様書」の書き方のポイントなども確認して、ビジネスシーンでもよく使われるこのふたつの言葉を正しく使いましょう。