今年もいよいよ、夏のボーナスの季節がやってくる。多くのサラリーマンにとってボーナスはこの上もなく嬉しいものであり、例年であればあれこれとその使いみちに思いを馳せるところかもしれない。ただ、今年は長引くコロナ禍の影響で、思い通りの額が出ない、といったケースもありそうだ。

​​一般財団法人 労務行政研究所の「東証1部上場企業の2021年夏季賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」によれば、支給額は全産業139社ベースで71万397円、対前年同期比-2.5%と、2013年以来のマイナスとなっている。

なかなか厳しい夏季ボーナスの現状だが、皆さんはどんな印象を持っているだろうか。そこで今回は、マイナビニュース男女会員801人を対象にアンケート調査を実施。「コロナ禍における夏のボーナス事情」を聞いた。

  • 夏のボーナスは増える予定? 減る予定?

Q.あなたの会社にボーナス(賞与)制度はありますか?

「はい」(80.6%)
「いいえ」(19.4%)

Q.2021年夏のボーナスは出る予定ですか?

「はい」(78.3%)
「いいえ」(4.8%)
「わからない」(16.9%)

Q.2021年夏のボーナスは昨年冬のボーナスと比べて増える予定ですか? 減る予定ですか?

「増える予定」(13.2%)
「減る予定」(33.8%)
「変わらない予定」(37.5%)
「わからない」(15.4%)

Q.2021夏のボーナスの支給予定額を教えてください

「20万円未満」(16.4%)
「20万円以上~40万円未満」(21.7%)
「40万円以上~60万円未満」(23.4%)
「60万円以上~80万円未満」(14.0%)
「80万円以上~100万円未満」(8.2%)
「100万円以上~120万円未満」(2.8%)
「120万円以上~」(4.7%)
「わからない」(8.9%)

Q.2021夏のボーナス支給に関して、新型コロナウイルス(コロナ禍)の影響はありますか?

「プラスの影響がある」(8.0%)
「マイナスの影響がある」(50.8%)
「影響はない」(41.2%)

Q.新型コロナウイルスが夏のボーナスに影響を与える理由を具体的に教えてください(自由回答)

■「プラスの影響がある」

・「車業界が平年と変わらず好調だったため」(37歳男性/ゴム/技能工・運輸・設備関連)
・「地方に不動産を購入する方が増えている」(35歳男性/不動産/専門職関連)
・「在宅ワークにともなうパソコン関係の需要が旺盛」(40歳男性/精密機器/技能工・運輸・設備関連)
・「コロナ禍関連製品による売り上げ増で利益額増加し、連動してボーナスが増える」(41歳男性/化粧品・医薬品/その他技術職)
・「会社が従業員へのコロナ対策として、ボーナスをアップしてくれている」(48歳男性/重電・産業用電気機器/技能工・運輸・設備関連)

■「マイナスの影響がある」

・「小売り店だが、来場減少に伴い売上も減少し、ボーナスが減る可能性がある」(42歳男性/専門店/事務・企画・経営関連)
・「食品業界で働いていて、主に商品を行楽地に出しているので、人の出入りが制限されている今の状況が会社の業績に影響を与えるかもしれない」(48歳男性/食品/その他技術職)
・「飲食経営でボーナスどころか、従業員の給与や維持費も大変厳しい状態にきている」(44歳男性/農業協同組合/技能工・運輸・設備関連)
・「旅行会社勤務のため、旅行へ行く人が激減している。当然入ってくるお金がないので厳しい状況です」(48歳男性/旅行・観光/営業関連)
・「宿泊業界で働いています。コロナ禍の影響をもろ受けています。雇用が何とか維持されているだけでもありがたいので文句は言えませんが、賞与額は影響がでています、昨年も夏期賞与が寸志が出ましたが、冬季賞与は不支給でした。今年の夏季も寸志程度出すと会社から打診がありました」(49歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)
・「航空業界はコロナウイルスのせいで顧客が激減して空港はガラガラなので、少しでもボーナスが出るのはありがたいんです」(49歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/販売・サービス関連)
・「鉄道業界に勤めていてお客様の利用が減少、利益が減少しつつあるため、ボーナス増加は難しい傾向にある」(30歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/メカトロ関連技術職)
・「運輸業界のため、人流が抑制されると利用が減り、収入が大幅に減ってしまう」(46歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
・「顧客に旅行業が多いため不振のあおりを受け、新規受注が取れない。計画の延長が出ている」(49歳男性/システムインテグレータ/IT関連技術職)
・「製造業で半導体供給不足が起因して、業績悪化が想定される」(49歳男性/半導体・電子・電気機器/メカトロ関連技術職)
・「主に大型トラックを扱う自動車整備工場で働いているが、コロナによる物流の減少に伴い各運送会社の所有台数も減り、結果、入庫台数が減り売り上げが減っている」(37歳男性/輸送用機器/技能工・運輸・設備関連)
・「自動車整備業ですが、コロナの影響により少なからず部品等の供給が遅れ、売り上げが上がらない」(46歳男性/専門店/販売・サービス関連)
・「港湾で働いているので、港周辺の企業の業績を受けてしまう」(39歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
・「百貨店に勤めていて、休業や時短に加え、客足が減っていてバーゲンや優待会もできないから」(42歳女性/百貨店/事務・企画・経営関連)
・「店舗での試飲試食販売の仕事を請け負っている会社なので、コロナにより仕事は大幅激減している」(48歳男性/人材派遣・人材紹介/営業関連)
・「不動産業ですが、アパートの解約が増える一方、新規契約がなくて業績悪化の為」(45歳女性/教育/専門サービス関連)
・「出社しなくなったことにより、テナント撤退などの業績悪化が影響しています」(37歳男性/ビル管理・メンテナンス/その他・専業主婦等)
・「水道関係だが、新築住宅の受注が減っているので、それに関連する設備業界も伸びていない」(49歳男性/電力・ガス・エネルギー/メカトロ関連技術職)
・「スポーツクラブ業界で会員が激減し、ボーナスが減る」(48歳男性/フィットネスクラブ/事務・企画・経営関連)
・「印刷業界だが、いろんなイベントや会がなくなり、チラシ・ポスター・会の報告書などの作成がなくなった」(41歳男性/広告・出版・印刷/営業関連)
・「紙媒体の制作に関連している会社なのですが、お店に人が来ないので手渡しするツールの作成がない。来店促進とかキャンペーンとかもなかなかできないので、制作物が減っており業績が悪化しています」(37歳女性/ソフトウェア・情報処理/営業関連)
・「デジタル地図を作成する業務のため、データの航空写真や実測部隊の稼働率が減り、データベースを入力する業務が激減しているため」(42歳男性/その他/IT関連技術職)
・「医療業界ではあるが、患者の来院が減っている」(46歳男性/医療・福祉・介護サービス/営業関連)
・「福祉業界で働いているが、通所サービスで利用者が激減しており、事業所の収入がかなり減少している」(44歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「教育関係であるが、ボーナスが減ることによって大変であるが、リモート授業や24時間体制の質問の嵐など、24時間学生や教員に休日も含めて監視されている状態なのに給料が上がらない現実を見ると、心身ともに疲弊し、生きていくことがつらくなる」(33歳男性/教育/専門職関連)

■総評

調査の結果、マイナビニュース会員のうち会社にボーナス(賞与)制度がある人は80.6%と、8割以上がボーナス制度があると回答した。そのうち2021年夏のボーナスが出る予定の人は78.3%。出ない人は4.8%、出るか出ないかわからないという人は16.9%だった。

2021年夏のボーナスが昨年冬のボーナスと比べて「増える予定」だと回答した人は13.2%と少数派となった。「減る予定」は33.8%で3割を超え、「変わらない予定」は37.5%で4割近い。「わからない」人は15.4%だった。

2021夏のボーナスの支給予定額については、「40万円以上~60万円未満」が23.4%で最も多い。以下、「20万円以上~40万円未満」(21.7%)、「20万円未満」(16.4%)、「60万円以上~80万円未満」(14.0%)、「80万円以上~100万円未満」(8.2%)と続く。「100万円以上~120万円未満」(2.8%)や「120万円以上~」(4.7%)の高額支給予定の人も少数いた。

さて、そんな2021夏のボーナス支給に関して、新型コロナウイルスはどう影響しているのだろうか。コロナ禍により「マイナスの影響がある」と答えた人は50.8%と半数を超えた。一方、「プラスの影響がある」人は8.0%と1割に満たない。「影響はない」は41.2%だった。

新型コロナウイルスが夏のボーナスに影響を与える理由を具体的に聞いた。まず、「プラスの影響がある」では、「コロナにより需要が高まり業績が伸びた」「証券業界は好調」「家電が売れて業績が良かった」「会社が最高益だった」などといった回答が寄せられた。やはり、コロナ禍が業績に好影響を与える業界や業種は一定数あることがわかる。

一方の「マイナスの影響がある」ではシンプルに、「業績悪化」「売り上げ減」とだけ記されたものが多い。また、小売業や飲食、観光、運輸などの具体的な業界・業種名とともに、「コロナウイルスの影響で、会社の業績も下がってしまっている」「コロナの影響の巣篭もりで需要が減り、売上が落ちている」など、コロナ禍での苦しい実情が綴られているものも目立った。そのほか、「業界自体はまだ大丈夫そうだが、会社がボーナスを上げ控えして、イザという時に備えている」「業績は悪化してないが、コロナ対策の為の費用が増えている」など、間接的な影響を指摘する声もあった。

同じ業界や、近接する業界でも明暗が分かれているケースもある。「車業界が平年と変わらず好調」「地方に不動産を購入する方が増えている」「医療業界なので例年よりも忙しい」に対して、「製造業で半導体供給不足が起因して、業績悪化が想定される」「不動産業ですが、アパートの解約が増える一方、新規契約がなくて業績悪化」「医療業界ではあるが、患者の来院が減っている」など、コロナ禍の影響はまちまちだ。

アンケート全体を通してやはり、ボーナスに与えるコロナ禍の影響はかなり深刻な現状がうかがえる。コメントにあった、「業績悪化に伴う給与減はしょうがないものだが、国としてもっと支援してくれないと生活は苦しい」(29歳女性/生命保険・損害保険/営業関連)という声が、多くのサラリーマンの本音を表しているのではないだろうか。

調査時期: 2021年6月1日
調査対象: マイナビニュース男女会員
調査数: 801人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません