仕事上でメールをやり取りする際「手違い」という言葉を目にする機会があるのではないでしょうか。催促メールのクッション言葉として使われているケースが多いですが、使いこなせれば便利な言葉です。

本記事では、手違いの基本的な意味について解説するとともに、催促メールや謝罪メールでの使い方や具体的な例文紹介します。「間違い」や「不手際」など、類語もいくつか紹介しますので、微妙なニュアンスの違いも把握しましょう。

  • 手違いとは

    「手違い」という言葉について解説します

手違いとは

手違い(てちがい)とは、本来の手順や予定していた手配などを間違えたことを指します。また、商売上の見込みや、あてが外れる場合にも用いられる言葉です。

例えば「手違いがあって発送が遅れている」という場合、「手配を間違えてしまったため、発送が遅れている」という意味になります。

手違いの基本的な使い方

手違いは、単純に手順や手配の間違いを表現する場合に使います。

また、ビジネスメールでは、本来の意味以外にも「催促メールのクッション言葉」「相手の間違いをやんわり指摘」「謝罪メールで自分の手違いを詫びる」といった場合に使える言葉です。

「手違い」の敬語表現

「手違い」という言葉そのものは敬語ではなく、手違いの敬語表現もありません。

ただ、ビジネス上で自身のミスを表現する場合「私のミス」というよりも「私の手違い」と表現するほうが丁寧な印象です。また、「手違い」は、相手に指摘したり催促したりする際、クッション言葉・婉曲表現にもなります。

例えば、「この部分が間違っているため再確認願います」では、直接的で強く聞こえ、人によっては心証を悪くするかもしれません。

この場合は、「こちらの手違いでしたら申し訳ありませんが、認識に相違があるので再度ご確認いただけますでしょうか」と言い換えます。そうすることで、相手のミスを一方的に責めずに見直しを求める、という婉曲的な表現になります。

「手違い」の英語表現

「手違い」を英語で表現する場合は、単純に「mistake」となります。「ちょっとした手違い」なら「A little mistake.」、「計画に手違いがあった」という場合は「There was a mistake in the plan.」などと表現します。

このほかの「手違い」を用いた英語の例文は以下の通りです。

・I'm sorry if this is a mistake, but there is a discrepancy in our understanding, so could you please check again? (こちらの手違いでしたら申し訳ありませんが、認識に相違があるので再度ご確認いただけますでしょうか)

・Due to a mistake in shipping procedures, there is currently a delay in delivery. We apologize for any inconvenience this may cause.(出荷手続きに手違いがあり、現在配送に遅れが生じております。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。)

  • 手違いとは

    手違いの基本的な意味は手配や手順の間違い

催促メールなどで「手違い」を使用する3パターン

ビジネスでの催促メールなどで「手違い」を使用するケースを3パターン紹介し、それぞれ例文を示します。

1.催促メールのクッション言葉

取引先や上司に何らかの依頼をしたのに、相手が多忙などによりレスポンスがないため催促をする、というケースは頻繁に発生します。

催促メールでは、最初に送った依頼メールが届いていないことも想定し、相手に配慮した上で、以下のように本来の催促をします。

こちらの手違いで、後藤様にアンケートがお送りできていませんでしたら申し訳ありませんが、現在のところ返信を確認できておりません。

念のため、本メールにもアンケートを添付します。
お手数ですが、本日18時までに返信いただけますでしょうか。

催促メールを送付する際は、相手のリアクションに対し再度期限を提示することを忘れないようにしましょう。

2.相手の手違いをやんわり指摘して本来の用件を再度催促

コミュニケーションの相違で依頼事項が漏れることはよくあります。相手の手違いを指摘する場合は、まず相手の作業について感謝の気持ちを伝えた後、以下のようにやんわりと指摘しましょう。

お願いしていた資料の送付ありがとうございました。
綿密に作成されている資料を作成いただき、感謝しております。

1点、私の手違いで伝達が漏れておりましたら申し訳ありませんが、予測結果のグラフ化もお願いしておりませんでしたでしょうか?

できましたらグラフの追加対応を願いたく、22日9時までに加筆修正可能かどうかご確認ください。

相手の作成資料に依頼事項がすべて盛り込まれていなかった場合の例です。相手の仕事ぶりを認めた後、やんわりと相手のミスを指摘して再依頼をしています。

3.謝罪メールで自分の手違いを詫びる

自身の手違いを詫びる謝罪メールを出す場合にも、「手違い」を用いる場合があります。謝罪メールは、謝罪とその後の対応、対応に要する時間(必要な場合)の順番で記載しましょう。

この度は、当社の商品をお買い上げいただき誠にありがとうございます。

当社の手違いにより、付属品の同梱ができておらず発送が遅れております。
ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。

現在配送を手配中で、5月22日に到着予定です。
大変恐縮ですが、今しばらくお待ちください。

上記は、商品の配送に手違いがあった場合の例です。

  • 催促メールなどで「手違い」を使用するケース3パターン

    催促メールや謝罪メールなどにも使いやすい「手違い」

「手違い」を使った催促・謝罪メールの例文集

ここからは、「手違い」を使った催促・謝罪メールの例文を紹介します。

催促のクッション言葉として使用する例文

営業部第1課 後藤課長

お疲れ様です。
経営企画部の冨岡です。

先週、予算会議の出欠確認を送らせていただきましたが、お手元に届いておりますでしょうか。
こちらの手違いで、メールが届いていませんでしたら申し訳ありません。

21日18時までの返信をお待ちしておりましたが、本日22日現在、後藤課長からの返信を確認できておらず連絡を差し上げました。

念のため、本メールにも予算会議の開催通知を再掲します。
お手数ですが、本日18時までにご返信いただけませんでしょうか。

ご多忙のところ誠に恐れ入りますが、ご確認いただければ幸いです。

相手の手違いをやんわり指摘して本来の用件を再度催促する例文

営業部第1課 後藤課長

お疲れ様です。
経営企画部の冨岡です。

アンケート依頼について、迅速に対応いただきありがとうございました。
当方の手違いで、回答範囲について分かりにくく申し訳ありませんが、アンケートにはすべて回答いただく必要がございます。

内容を確認させていただいたところ、全5ページ中最初の1ページのみ回答されている状態でした。

大変恐縮ですが、全ページご回答いただいた上再送いただきたく連絡を差し上げました。
5月22日の18時までに、再回答したアンケートファイルを返送いただけますでしょうか。期限内の提出が難しいようでしたら、調整しますのでご連絡ください。

ご多忙のところお願いばかりで恐縮ですが、ご確認・ご対応いただければ幸いです。

謝罪メールで自分の手違いを詫びる例文

木下ひとみ様

いつもお世話になっております。
夢ツーリング営業部の鶴岡と申します。
この度は、当社のミステリーツアーへのお申込みありがとうございます。

大変恐縮ですが、当社の手違いにより、ご希望のAオプションを付けることができませんでした。せっかく楽しみにしていただいたのに大変申し訳ございません。

ツアー自体のキャンセルをご希望の場合、全額返金致しますのでお申し付けください。
ツアーにこのまま参加いただける場合は、お詫びのしるしとして、ご夕食の内容を無償でグレードアップさせていただくほか、Cテーマパーク内で使用できる商品券5,000円分をお渡ししたいと考えております。

どちらの対応をご希望されるかについて、ツアー開始2日前の5月22日までに、本メールへ返信いただけますでしょうか。ご多忙かと存じますがどうぞよろしくお願いいたします。

  • 「手違い」を利用した催促・謝罪メールの例文集

    ビジネスメールで手違いが使われるパターンを知っておこう

「手違い」の言い換え・類語表現と例文

手違いの類語表現を集めました。「手違い」以外の言葉に置き換えたい場合や、ニュアンスの違いを知りたい場合などに活用ください。

間違い

真実とは異なる場合やミスを表現する一般的な表現です。手違いのように手順などに限らず、あらゆるミスに使えます。

【例文】

  • 間違いがないかご確認ください。
  • 人が作業をする限り、間違いをゼロにすることはできません。

不手際(ふてぎわ)

物事の処置の悪さやできの悪さを表現する言葉です。言葉自体には「自分に対して使う」という縛りはありませんが、ビジネスメールでは、自分のミスに対して用いるケースが多く見られます。

【例文】

  • 私の不手際により、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

不始末(ふしまつ)

後始末のやり方が悪い場合や人に迷惑がかかる行為を指す言葉です。ビジネスメールでは、謝罪とセットで使うパターンが多い表現です。

【例文】

  • 私の不始末をフォローしていただき、感謝の念に堪えません。
  • 愚息がとんでもない不始末をしでかしてしまい、申し訳ございません。

不備(ふび)

必要なものが完全にそろっていない状態を表現する言葉です。ビジネスメールでもよく見られます。

【例文】

  • あの予約システムは、入力データのチェックロジックに不備な点があるようです。

不注意

注意が足りないさまや、うかつなことを表現する言葉です。ミスの内容そのものより、ミスをした人の心理状態に着目している点がほかとの違いです。

【例文】

  • 不注意により操作ミスをしてしまいました。
  • 不注意によるケガにご注意ください。

行き違い(ゆきちがい・いきちがい)

すれ違いになり出会えなかった様子や、意思が通じないで食い違うことを表現する言葉です。ほかの類語と違い、必ずすれ違う「相手」がいます。

【例文】

  • カナエさんは先ほど出ていきましたので、行き違いになったのではないでしょうか。
  • 行き違いですでにお支払いの場合はご容赦願います。
  • 「手違い」の言い換え・類語表現と例文

    「手違い」の類語表現と例文

「手違い」を使いこなしてコミュニケーションをスムーズに

「こちらの手違いでしたら申し訳ありません」など、「手違い」は相手の問題を具体的に指摘せずやんわりと伝えられる便利な言葉です。しかし、何を言いたいかがあいまいになってしっかり催促できないのも問題なので、催促内容は別途端的に記載してください。

「手違い」の言い換えや類語表現も使いこなせば、より仕事のコミュニケーションがスムーズにいくでしょう。