俳優の中山優馬が、映画『189(イチハチキュー)』(2021年冬公開)の主演を務めることが21日、明らかになった。

  • 左から中山優馬、夏菜

    左から中山優馬、夏菜

同作は東京都の児童相談所で働く新米児童福祉司の坂本大河(中山優馬)を主人公としたオリジナル作。安定した職業に憧れて公務員試験を受け、児童相談所に配属された大河は、虐待、発達障害、非行、子育てなどで問題を抱えた家庭を担当し、1人40~50の家庭を受け持つという過酷な現実に晒されながらも、目の前の仕事にまっすぐに向き合っていく。そんな折、大河が保護した児童が、親元へ戻ったことをきっかけに再び虐待を受け、命を落としてしまう事件が起こる。傷を抱えて仕事復帰をした大河の前に、人の気持ちに寄り添うことができる弁護士・秋庭詩音(夏菜)が現れ、2人の奔走が始まる。

現在、日本では多くの児童虐待が報告され、全国に児童相談所が設置されているが、報告件数に対し、現場を支える児童福祉司の人数は決して多くない。年々増加する児童虐待から"いちはやく"子供を助けることができるよう設けられたのが、児童相談所虐待対応ダイヤル“189(いちはやく)”で、小さな命を救うために奔走する児童虐待対策班を通じて社会問題を描くことで、問題解決の一途を担えればという願いから誕生したヒューマンドラマとなる。

俳優としてマルチに活躍する中山は、映画『ホーンテッド・キャンパス』以来5年振り2度目の映画主演となる。初めて見聞きする児童福祉の現場に戸惑いながらも子供を案じる優しい青年で、仕事を通じて経験することになる苦悩や葛藤を等身大の演技で表現し、初の児童福祉司役に挑んだ。

大河とバディを組む弁護士・秋庭詩音を演じる夏菜は、主演の中山と初共演。児童虐待対策班の一員として、法律的知見から大河をサポートし、共に虐待されている子供を守るため奮闘する。実在事件から着想を得た本作はオリジナル脚本で映画化され、監督には、勝新太郎、北野武のもと助監督を務め、ドラマ『HERO』で演出した第8話で視聴率36.8%をたたき出し、麻生久美子・沢田研二主演映画『eiko』や映画『ゆずりは』で役者個々の魅力を繊細な表現を得意とする名匠・加門幾生が務めている。

中山優馬 コメント

台本を読んだ時はとても残酷な描写もあり驚いたのですが、日本の現実問題として起きているという事に無力さを感じました。
作品に込められた重大なメッセージをしっかりと伝えなければならない、と背筋が伸びる思いでした。

僕が演じた坂本大河はごく一般的な感性をもった人物なので、多くの方が大河の気持ちに共感して頂けると思います。
台本を読んだときから、大河の感覚を理解出来る部分が多いにありました。
そういう意味では似てる部分があるのかも知れません。

夏菜さんは、とても明るくムードメーカーで、重大な問題がテーマなので、つらいシーンが続く現場でも、皆の支えになってくれました。
凄く情熱的な部分もあり魅力的な女優さんで、今回ご一緒出来て良かったです。

児童相談所、虐待、ネグレクトを扱う作品です。
残酷な描写もあり、目を背けたくなる瞬間もあると思います。
ですが、みんなでこの問題と向き合い、今より良い世の中にする事が出来るきっかけとなる作品になれば嬉しいです。
僕も(この映画を通じて)改めてしっかりと向き合いたいと思います。
189のナンバー是非覚えて下さい。

夏菜 コメント

初めて共演する中山さんのことは、最初とっつきにくい人なのかなと思っていたのですが、実際は誰よりも熱い男。現場ではおんぶにだっこで、彼から率先してお芝居の提案をしてくださり、年下なのを感じさせないお兄ちゃんのような、頼れる座長でした。今回演じた秋庭詩音の見て見ぬふりができないところや正義感は、自分にも通じるものがありました。 題材が題材なだけに、台本を読んだときから、責任をもってこの役を演じなくてはいけないと思っていたのですが、わたしにできることは(役を通じて)全うすることができたと思います。この物語には終わりがあるのですが、社会的な問題を題材にしているので、問題解決のきっかけに繋がる映画になっていれば嬉しいです。

加門幾生監督 コメント

過去に実際に起こった事件がモチーフ。
「虐待」の余りにも悲惨な現状、児童相談所の係りの現状に何か一石を投じたい思いで
作りました。(今回のキャスティングでは)中山君の作品DVDと生芝居観劇し、このピュアな役と意思の強さが表現出来る役者だと思ったから、
夏菜さんは、弁護士としての力強さと包み込む感じが有ると思いお願いしました。
虐待された少女の病室シーンで話を聞く二人の優しさ、声のトーンがこの作品のハーモニーを感じました。この映画で「虐待」が本当に無くなるのかと問われるでしょう、しかし我々は「虐待死」を無くす思いで作りました。
一人でも多くの人々が「189」のダイヤルナンバーを覚えて、亡くならなくていい「命」を護りたいと。

(C)映画「189」製作委員会 ヴァンズピクチャーズ