女優の永作博美が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、9日・16日の2週にわたって放送される『東京、タクシー物語。』。6歳の一人娘を持つシングルマザー・恭子さんが、タクシー運転手として奮闘する姿を追った作品だ。

深夜乗務が基本で、娘のこころちゃんと一緒に過ごせない日々を送る恭子さん。さらに、新型コロナウイルスの影響で街から人が消え、月収が以前の半分以下に落ち込んでしまった上、持病を抱える同居の母親の感染への不安とも常に背中合わせ…という状況に見舞われるなど、胸が痛むシーンが続き、ナレーション収録中に思わず涙があふれ出てしまう場面もあった――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った永作博美

    『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った永作博美

■「なんというドラマだろう」

今回のドキュメンタリーに「私が役者だからそう思うのかもしれないですけど、まるで脚本みたいでした。それくらい神妙だし、それくらいドラマチック。ありえない出来事やコントのような会話もめまぐるしく起きて、なんというドラマだろうと思って読んでました」という永作。

「初見から素敵な内容だなと思いました。ブースの中で1人で読んでいると、一段と感情がわいてきてしまいました」といい、タクシーという個室の人の無防備感もしかり、特にこころちゃんの姿を見て、天真爛漫でありながら「みんなを心配して、心配させないよう振る舞う様子に心を動かされましたね。6歳、まだ幼稚園生なのに『甘えないなあ、偉いなあ』と思いました」と感心したそうだ。

自身も母親であるだけに、「子供の表現を知っている分、感情の隠し方も分かるので、どんなに隠していても透けて見えて、(本心を)感じてしまうというのもあるかもしれないです」とのこと。気丈に振る舞っていたこころちゃんが思い切り恭子さんに甘えるシーンのでは、思わず涙があふれ出てしまった。

■ナレーション中に“歌唱”を発案

そんなこころちゃんがクリスマスでプレゼントに喜ぶシーンでは、永作が「あわてんぼうのサンタクロース」の歌で語りかける場面も。台本には書かれていなかったが、永作自身が提案したアイデアだ。

「家で映像を見ていたときに、こころちゃんが『こころのサンタさんは慌てん坊だなあ…』と言っていたのを見て、どうしてもあの歌が頭の中を巡ってしまって、これは『歌え』ってことなのかなと思ったんです。それでテストのときに歌ってみたら、スタッフさんが面白がってくださって」ということで、本番で採用。

さらに、「こころちゃんに私もプレゼントしたいという思いもありました」と、彼女から受け取ったものへの感謝の気持ちを歌に込めたことを、このインタビューでも涙で明かしてくれた。

  • 恭子さん(右)と、(左から)娘・こころちゃん、一緒に暮らす母親 (C)フジテレビ

一方で恭子さんに対しても、「しっかりした方で、心持ちが素晴らしいですよね」と感服。恭子さんはこころちゃんに、どんなに大変な状況でも「お天道様が見てるからね」と言い聞かせているそうだが、永作は「恭子さんこそがお天道様だなと思います。ご自身がみんなを照らしているような印象がありました」と、苦難が続く中でも明るく前を向いて奮闘する姿を、そう表現した。

その上で、今回の見どころについて聞くと、「お天道様の光をもらってください、という感じですね(笑)。まっすぐ前を見て生きようという気にさせてくれる、そんな勇気をもらえます。この作品にはお天道様が見えます」と予告した。