全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)が6日、緊急事態宣言の延長に伴う映画館・演芸場への休業要請に対しての声明を発表した。

全興連は、全国47都道府県の興行組合からなる組織。「昨年の緊急事態宣言の解除後、興行場における換気や、飛沫の実証実験を行い、国立研究開発法人産業技術総合研究所の調査を経て、複数回のガイドライン改訂を行い、2020年12月1日以降は、感染拡大防止策を十分に講じた上で通常通りの営業を行っております。そのような対策の結果、興行場の観客席側での感染事例は1件も確認されていないことはご承知の通りです」と、これまでの経緯を説明している。

上記の実績にも関わらず「映画館・プラネタリウム等」が休業を要請され、「劇場、観覧場、演芸場等」が無観客開催を要請されていることに対し、施設内での感染リスクに対してではなく、「人流の抑制」という点からの要請であることを指摘。

一方で、緊急事態宣言対象外の映画館に客が流れることが「人流の増加」につながると主張し、実際に「今回の緊急事態宣言中の緊急事態宣言下の都府県の近隣では大幅な動員の上昇が見られるところです」と報告した。

「演芸場の無観客開催は現実的ではない」という点にも触れ、「一定の制限下の元で緊急事態宣言下でも営業を続ける陳情をして参ります」と宣言。「全興連作成のガイドラインを再度周知徹底する」「鑑賞後の速やかなご帰宅をそれぞれの映画館・演芸場でお客様に対し呼びかけを行う」といった施策にもより注力していくとしている。

緊急事態宣言の延長に伴う映画館・演芸場への休業要請に対して(全文)

新緑の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

今般の4都府県に対する緊急事態宣言延長が検討されている旨、報道されていますが、以下にて当会の見解を示します。

昨年の緊急事態宣言の解除後、全国興行生活衛生同業組合連合会(以下、全興連)は、興行場における換気や、飛沫の実証実験を行い、国立研究開発法人産業技術総合研究所の調査を経て、複数回のガイドライン改訂を行い、2020年12月1日以降は、感染拡大防止策を十分に講じた上で通常通りの営業を行っております。そのような対策の結果、興行場の観客席側での感染事例は1件も確認されていないことはご承知の通りです。

現在の東京都の緊急事態措置を例にとれば、施設規模に応じて休業等を要請する施設として「映画館・プラネタリウム等」、無観客開催を要請する施設として「劇場、観覧場、演芸場等」が挙げられています。

これらの休業要請および無観客開催の要請は、上記の実績を考慮に入れていないことは明白であり、施設内での感染リスクに対してではなく、「人流の抑制」に焦点をあてていると推察しております。

しかしながら、こと映画館の場合、作品の鑑賞を希望されるお客様が、緊急事態宣言対象外の 近県の映画館に移動されることは、むしろ「人流の増加」につながる可能性さえあり、我々の経営基盤をゆるがすのみでなく、「人流の抑制」政策に合致しないことは容易に想定されるところです。実際上、今回の緊急事態宣言中の緊急事態宣言下の都府県の近隣では大幅な動員の上昇が見られるところです。

また、演芸場の無観客開催は現実的でありません。昨今の報道で演芸場が休業要請を無視したとの報道が一部見られておりますが、事実とは異なっており、無観客開催が不可能な演劇場がやむにやまれず、有観客開催をしていたところ、東京都より4月28日に実質上の休業要請である旨の説明があらためて行われ、5月1日より休業を行っております。当組合としましては上記を踏まえ、一定の制限下の元で緊急事態宣言下でも営業を続ける陳情をして参ります。

当然のことながら、感染防止対策には万全を期し、「全興連作成のガイドラインを再度周知徹底する。」「鑑賞後の速やかなご帰宅をそれぞれの映画館・演芸場でお客様に対し呼びかけを行う。」といった施策にもより注力いたします。

また、我々は大事なお客様が安心してエンターテイメントを楽しんでいただく日が一日も早く来るために、昨年来さまざまな協力をしてまいりました。このような努力の元、当業界の感染リスクが比較的少ないことは、政府にもお認めいただいているところです。しかしながら、他業種に比しても非常に厳しい要請をされている現状の是正も訴えていきたいと考えております。

末筆ながら、新型コロナウイルス感染症と向き合う政府・自治体関係機関の皆様、医療従事者の皆様、そして、感染の終息に向けてご尽力されるすべての皆様に心から感謝を申し上げます。