「笑門来福」とは、「笑う門には福来たる」の福笑いが由来の四字熟語です。年賀の挨拶や書道などでも使われるので、正しい用法を知っておく必要があります。本記事では「笑門来福」の語源や使い方、類語などを紹介します。

  • 「笑門来福」の意味とは?

    「笑門来福」の意味や使い方を学びましょう

「笑門来福」の意味とは?

「笑門来福」の読み方は「しょうもんらいふく」で、「笑いの絶えない家庭には自然と幸福が訪れる」という意味があります。

「笑う」には「楽しく過ごす」という意味も含まれているため、「楽しく過ごせば幸福が訪れる」というニュアンスで用いられるのが一般的です。

なお、「笑門来福」はもともと家族や家庭に対して使われていた言葉ですが、近年では「笑いの絶えない人」といった個人に対して使われることもあります。

「笑門来福」の由来は「笑う門には福来たる」の福笑いから

「笑門来福」の由来は、お正月の遊びとして知られている「福笑い」です。福笑いは目隠しをしたまま顔のパーツを輪郭の上に並べるゲームですが、たいていはうまくいかずに面白い顔が出来上がるので、見ている周囲の人は大笑いしてしまいますよね。

福笑いの輪郭は「おかめ」や「おた福」と呼ばれるもので、「福」をあらわします。そして「門」には「家庭」や「家族」という意味があり、ここから「福笑い」「家族が笑う」「家族の幸せ」とつながり、「笑う門には福来たる」という言葉ができたと考えられています。

語源は中国語のようにも思えますが、「笑門来福」という中国の四字熟語はありません。由来が日本の福笑いにあると知って驚いた方も多いのではないでしょうか。

  • 「笑門来福」の由来はの「笑う門には福来たる」の福笑いから

    「笑門来福」は中国ではなく日本発祥の造語です

「笑門来福」の使い方

「笑門来福」は四字熟語としてそのまま使うよりも、「笑う門には福来る」のことわざで使われるケースがほとんどです。ただし、気持ちや様子を簡潔に伝えたいときには「笑門来福」を四字熟語のまま用いても不自然にはなりません。

自分のモットーとして掲げるだけではなく、落ち込んで悩んでいる人を元気づける意図でも用いられます。年賀状や座右の銘などで使う場合には「笑門来福」と四字熟語で使う方が適しているでしょう。

「笑門来福」の使用例

「笑門来福」の例文をご紹介します。

「私の座右の銘は笑門来福です」

自己紹介などでそのまま使えるフレーズです。「笑顔を絶やさない好人物」という印象を最初から同僚などに与えられれば、スムーズに職場に溶け込めるでしょう。

「笑門来福の精神で営業活動を頑張ろう」

このように使うと、なかなか成果が上がらなかったり、営業先で辛い思いをしたりしたときなどに、仲間を激励することができます。笑顔を忘れず営業活動を続ければ、成約という福が舞い込んでくるかもしれません。

「いつも笑って幸せそうにしているあの家族はまさに笑門来福だ」

幸せそうにしている他の人や家族を見たときにも「笑門来福」は使えます。笑門来福を絵に描いたような知人や家族を知っている方も多いのではないでしょうか。

「笑門来福」は目上の人への年賀状にも使える

年賀状などに書く賀詞には主に4種類ありますが、賀詞の正式な形はもともと4文字だったため、漢字1文字や2文字の簡略化された言葉は、目上の人に送る年賀状には使えません。

1文字や2文字の賀詞は、新年をたたえたり、おめでたいことを述べたりしているだけなので、敬意や丁寧さが欠けてしまうのです。

親しい友人や部下などに使うのは問題ありませんが、目上の人や取引先などに送る年賀状に漢字1文字や2文字の賀詞を書くのは避けましょう。

【4種類の主な賀詞】
・1文字の漢字(寿、福など)
・2文字の漢字(迎春、賀正など)
・4文字の漢字(謹賀新年など)
・文章(新年おめでとうございますなど)

どの賀詞を選ぶべきか迷ったときには、賀詞を省いた「旧年中はご厚情を賜りありがとうございました」などの添書を使うのが無難です。

おめでたい言葉が使えないときも「笑門来福」を使おう

年賀状を送る相手が入院中などで「あけましておめでとう」などのおめでたい言葉が使えないときにも「笑門来福」が使えます。

入院中や被災している相手の気持ちを考えるなら、「寿」や「賀」などの漢字が入った賀詞の使用は控えるべきです。「笑門来福」と書けば「笑顔でいられるよう、幸福を祈っています」という意味になるので、相手を思いやりながら挨拶をすることができます。

「笑門来福」以外にも「年始のご挨拶を申し上げます」や「幸多き年でありますように」などの言葉を使えば、気持ちが届くはずです。「笑門来福」のイラストが入った年賀状を送るのも、ひとつの方法でしょう。

  • 「笑門来福」の使い方

    年賀状を送る相手に合わせて「笑門来福」を使いわけましょう

「笑門来福」の類語

「笑門来福」には、以下のような類語があります。

笑って損した者なし

「いつも明るく笑っている人は他人に好かれ幸福を招く」ということわざです。笑顔を絶やさないようにすると幸せが訪れるというのは、「笑門来福」と同義と考えていいでしょう。

和気財を生ず

「わきざいをしょうず」と読みます。「仲良く和やかな雰囲気でいれば、自然とお金や物が入ってくる」という意味のことわざです。なお、「和気」とは「和やかな雰囲気や気分」のことで、「財」は「物品や金銭」を指します。

怒れる拳、笑顔に当たらず

怒りにふるえて挙げた拳も、笑っている人を前にするとやり場を失う」という意味のことわざです。「笑門来福」とは少しニュアンスが違いますが、「笑顔にはプラス要素がある」という考え方は、「笑門来福」に通じる部分があります。

「笑門来福」の対義語

「笑門来福」に明確な対義語はありませんが、反対の意味で考えると「悪いことをすると自分の身にその報いが生じる」という「自業自得(じごうじとく)」が該当するでしょう。

「悪いことをすると報いがすぐ目前に現れる」という意味の「因果覿面(いんがてきめん)」も「笑門来福」の対義語と考えられます。

  • 「笑門来福」の対義語

    「笑門来福」の対義語は「自業自得」や「因果覿面」

「笑門来福」の英語表現

「笑門来福」の英語表現を紹介します。

laugh and grow fat

laughは「笑う」、grow fatは「太る」という意味があります。直訳すると「笑って太る」ですが、「太る」は「食べ物に困らず幸せである」を表すため、「笑っていれば幸せになれる」という意味合いになります。

Fortune comes in at the merry gate

「陽気な門から幸運がやってくる」という意味です。「陽気な門」が「笑う門」にあたるため「笑門来福」の英語表現として使えます。

  • 「笑門来福」の英語表現

    「笑門来福」の英語表現も覚えておきましょう

「笑門来福」をビジネスシーンで正しく使いこなそう

「笑門来福」は「笑う門には福来る」の福笑いからきている四字熟語です。中国の四字熟語ではなく、日本で誕生した造語というのを初めて知った方も多いのではないでしょうか。

「笑門来福」の使い方をしっかり覚えておけば、普段の生活やビジネスシーンでの活用幅も広がるでしょう。目上の人や相手が入院中などの場合も、年賀状で新年を祝う挨拶に自信をもって「笑門来福」が使えるようになります。

語源に関する知識や語彙力を高めたいという人も、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。