福利厚生とは、企業から従業員に提供する「給与以外の報酬やサービス」を指します。就職活動で企業を選ぶとき、「福利厚生の充実」を条件に挙げていた人は多いのではないでしょうか。福利厚生をうまく使えば、モチベーションアップやよりよい生活に役立てることができます。福利厚生制度について詳しく知り、お得に活用していきましょう。

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■福利厚生とは

福利厚生とは、「給与や賞与など基本的な労働対価以外の報酬やサービス」のことで、企業から従業員へ提供されるものです。福利厚生の役割は、従業員やその家族がより良い安定した生活を送れるようにすること、そして、従業員が働きやすい環境を整えることで、能力ややる気の向上につなげたいという企業の狙いもあります。また、福利厚生は、いわゆる「待遇」のことですので、「福利厚生の充実している会社は、待遇の良い会社」と考えることもできるでしょう。

一般的に福利厚生というと、住宅手当やレジャー施設の割引制度などを思い浮かべるかもしれませんが、実は、福利厚生には大きく分けて2つの種類があります。1つめは、「法定福利厚生」という法律で義務付けられた福利厚生です。もう1つは、法律に関係なく、企業が独自に設けている福利厚生です。

なお、福利厚生は、正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者や有期雇用労働者(契約社員)にも適用されます。2020年4月1日には、「パートタイム・有期雇用労働法」が施行され、正規雇用労働者とパートタイム労働者・有期雇用労働者の間の不合理な待遇の格差は禁止されるようになりました。いわゆる「同一労働同一賃金」と呼ばれるもので、これは、「労働により同じ付加価値をもたらす人には、同じ対価を支払うべきだ」という考え方です。そして、この「対価」には、給与や賞与だけでなく、各種手当や福利厚生も含まれているのです。

こうした背景を受け、多くの企業では、福利厚生を含む格差の是正に取り組み始めています。また、福利厚生を重視する就活生や従業員は年々増加傾向にあり、人手不足解消やより優秀な人材を確保するための手段の一つとして、福利厚生の拡充を進める企業も増えているのです。

■福利厚生の具体的な内容

大きく2種類に分けられる福利厚生ですが、その中身はどのような内容なのでしょうか。まず、法定福利厚生には、健康保険や厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険、そして、子ども・子育て拠出金などがあります。法定福利厚生は必ず設けなければならない最低限の福利厚生ですので、法定福利厚生がない場合は法律違反となります。

また、法定福利厚生は、「社会保険料の会社負担分」と言い換えることもでき、いずれも、私たちが安心して働き生活するために欠かせないものです。それは、法定福利厚生が設置されていることで、私たちは以下のような恩恵を受けられるからです。

<健康保険>

病気やケガ、またはそれによる休業、出産や死亡などといった事態に備えることができる

<厚生年金保険>

会社と従業員が折半して保険料を負担することで、国民年金に上乗せして年金を受け取ることができる

<介護保険>

介護サービスが必要な要支援や要介護の認定を受けた時、収入に応じた自己負担割合で、介護度に応じた介護サービスが受けられる

<雇用保険>

定年や勤め先の倒産、自己都合等により離職した場合、失業中の生活の心配をせずに再就職するための手当が受け取れる

<労災保険>

仕事中や通勤途中の事故でケガを負ったり、業務が原因で病気になったりした場合、労働者やその遺族に保障が行われる

このうち、健康保険料と厚生年金保険料、介護保険料は企業と従業員で折半、雇用保険料は企業負担2/3、従業員負担1/3、労災保険料と子ども・子育て拠出金は、企業が全額を負担します。なお、子ども・子育て拠出金とは、児童手当や子育て支援事業、仕事と子育ての両立支援事業などに充てられる税金のことです。

■会社によって異なる「法定外福利厚生」の内容

では、一方の法定外福利厚生はどうでしょうか。法定外福利厚生の場合、どのような内容にするかは企業が自由に決めることができます。近年では、従業員の多様なニーズを満たすユニークな制度を取り入れ、注目を集める企業も増えていますが、法定外福利厚生の代表的なものとしては、以下のようなものがあります。

<住宅>

・住宅手当
・住宅ローン補助
・社宅

<医療・健康>

・人間ドック
・カウンセラーの配属
・トレーニングジムの補助

<休暇>

・法定日数以上の有給休暇
・リフレッシュ休暇

<育児・介護>

・託児・保育施設の設置
・短時間勤務制度
・パパ・ママ育休プラス
・法定日数以上の育児・介護休業

<職場環境>

・社員食堂
・スキルアップ研修

<レクリエーション>

・社員旅行
・保養所の割引

<自己啓発>

・資格取得支援
・セミナー参加費補助

<慶弔・災害>

・慶弔金
・災害見舞金

<財産形成>

・財形貯蓄制度
・確定拠出年金制度
・社内預金制度

他にも企業によって、様々な法定外福利厚生が設けられています。なお、特に人気のある法定外福利厚生は、住宅手当や、社員食堂などの昼食補助なのだとか。これらの福利厚生を活用することで家賃や食費を抑えられますので、人気の高さにも納得ですね。

■自分の会社の福利厚生を再確認してみよう

企業によって多種多様である福利厚生。自分の会社にどのような制度があるのかよく知らない、もしくは、普段あまり活用できていないという人は、一度福利厚生を見直してみましょう。うまく使うことで、経済的なメリットが得られたり、生活の質が向上したりするかもしれません。