■武藤将吾氏の台本は「挑戦状」謎解きに臨むかのような姿勢

本作の脚本を担当するのは、ドラマ『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(19年、日本テレビ)で東京ドラマアウォードグランプリなど数々の賞を総なめにした脚本家・武藤将吾氏。『3年A組』は放送時にSNSで考察合戦が繰り広げられ、張り巡らされた伏線についても話題となっていた。

武藤氏とは、撮影が始まる前に一度会う機会があり、台本についての疑問や質問をぶつけたという。「準備稿を読むと“文語調”の台詞が多いなという印象だったので『口語調にしないんですか』と聞いたら、『上条漣という男が人に隙を与えないようにするため、あえてそうしている』と」。玉木も「確かに」とすんなり納得したものの、すべてが文語調ではないのが難しいところ。文語調がベースながらも、たまに現れる口語調。そこには、必ず理由があると考えている。

「武藤さんが書いた意図を読み解く、ということに注意して台本を読まないといけない」――その姿勢は、まるで謎解きに臨むかのよう。「文語調の台詞をいっぱい言っているからこそ、すごく少ない『口語』の箇所が効くと思うので、どの場面でどういう感情で、どういうテンションで台詞を言うのかはすごく大事」と慎重だ。

同時に、台本を「武藤さんからの挑戦状のような気がして」と受け取っている。「『ここまでのものを書いたんだから、現場で上手く調理してくれよ』という意味だと」。役者としてその挑戦を全力で受ける気概だ。

■考察はしていいが、できない。道のりは「プロデューサーも分かっていない(笑)」

本作は、物語の先を読めないことも大きな話題となりそうだ。「今の段階で5話の準備稿までいただいているのですが、僕自身どうなっていくか分からない。プロデューサーも分かっていなくて(笑)。大きなゴールは共有しているとしても、そこまでの道のりは武藤さんしか把握していないところなので、どうなるのか。連ドラの醍醐味ではありますね」。SNSでの考察も活発になりそうだが、玉木は「考察していただいてもいいんですけど、本当に先読みできないと思います」と冷静に語る。

そのうえで視聴者へは「騙されて良いと思うんです。作品に翻弄されていいと思っていて。最初は純粋に『今までと違ったタイプの警察ドラマが始まるんだな』『主人公が警視総監という椅子を獲得するためにのし上がっていくんだ』というところから入っていただいて、『全然違うじゃん!』という(笑)。そこからこの世界にどっぷりハマって欲しいです」とニヤリ。

そして、ダーティーな部分や伏線だけに目を向けるのではなく「漣も頭はいいのですが、一枚上手の上司たちにもみくちゃにされながら、それでも前に進んでいく。でも広末(涼子)さん演じる水樹爽(警視庁捜査一課主任で上條漣の幼馴染)がときに引き戻してくれたり、いろんなキャラクターたちに翻弄される人間ドラマをしっかり見届けてほしいなと思いますね」と、人間ドラマとしての側面もアピールした。

■玉木宏
1980年生まれ。愛知県出身。98年にドラマ『せつない』で俳優デビューし、映画『ウォーターボーイズ』で注目を浴びる。その後も、ドラマ『のだめカンタービレ』『あさが来た』など話題作に出演し、昨年は、ドラマ『竜の道 二つの顔の復讐者』、『極主夫道』で主演を務めた。5月には映画『HOKUSAI』の公開を控える。玉木宏オフィシャルサイト内限定ページでは自身撮影の動画も公開中。