ダンス&ヴォーカルグループEXILEのメンバー、TETSUYAさんが率いるコーヒー専門店「AMAZING COFFEE」がインターネット企業CyberZの社内にオープンしてから丸1年が経過した。そこでTETSUYAさん、およびCyberZ山内隆裕社長の2人に、この1年を振り返ってもらった。

  • EXILE TETSUYAさん(左)と、CyberZ 代表取締役社長の山内隆裕氏(右)

1周年を迎えて - AMAZING COFFEEの存在感

CyberZの社内にAMAZING COFFEEがオープンしたのは2019年12月のこと。山内社長によれば、芸能プロダクションLDH JAPANとの仕事を通じてTETSUYAさんがコーヒーに傾倒していることを知ったのが、今回のコラボのきっかけだったという。「そこでTETSUYAさんと一緒にお話をしてみると、モノへのこだわりをすごく感じたんですね。この人だったら、弊社の文化に寄り添った形でプロデュースしてくれると思った。そして社員にとっても良い影響になることが期待できました。そこまでイメージできたから、お願いした次第です」(山内社長)。

  • 渋谷スクランブルスクエアにオフィスを構えるCyberZ。オフィスの真ん中には、福利厚生の一環としてバリスタが常駐するAMAZING COFFEEが設置されている

まずは、1周年を迎えた率直な感想について山内社長は「ひとことで言うと、すごく良かったと思います」。そしてAMAZING COFFEEが果たした役割について、次のように説明した。「うちの会社は『挑戦し続ける』会社であることを大事にしています。新しいことに挑戦するときに重要なのは、自由な発想をすること。自由な発想をするとき、僕は1人で部屋に籠もります。ゾーンに入ると言いますが、没頭して3時間くらい考えをめぐらせることもある。そういうときにAMAZING COFFEEのような空間があると、そこでコーヒーを1杯飲めると、それだけでだいぶ助けられます。この1年間、何度もそれを思いました。いわゆる”デジタルデトックス”ということですね。すごくしっくりくる言葉だなと思います。もちろんこれは僕自身だけでなく、社員からの声としてもよく聞きます」。

  • CyberZ 代表取締役社長の山内隆裕氏(サイバーエージェントとLDH JAPANが設立した合弁会社CyberLDHの取締役でもある)

そもそもTETSUYAさんがここにAMAZING COFFEEをオープンした当時、コンセプトとして口にしたのが”デジタルデトックス”というキーワードだった。TETSUYAさんは、次のように振り返る。「グループのメンバーが書いた歌詞の中にデジタルデトックスの言葉がありました。それが僕の中で印象に残っていて。素敵な言葉ですよね。ここにカフェをつくるとき、そのワードがポンと出て来ました。これだけ多くのPCが並ぶ空間の中で、ここに来ると一旦リラックスできる、まるで森の中に入ったような感覚になれる、そんなスペースになれば良いなという思いがありました」。

  • EXILE TETSUYAさん

2020年春に新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、まだAMAZING COFFEEがオープンして日が浅いタイミングで、CyberZの社員もリモートワークが推奨され、何割かは出社できない環境になってしまった。そんな現状に対して、TETSUYAさんは「コロナ禍で、いまも様々な業界の人が大変な思いをしています。CyberZの社員さんも、リモートワークで仕事はできるかも知れないですが、『出社したらあそこにコーヒーあるよね』とか『あの可愛いカウンターあるよね』って、ちょっとでも頭の中で思ってくれたら嬉しいなと思います。自分も1年が経って久しぶりにここに来ましたが、本当に可愛いコーナーですよね(笑)。会いに来たくなっちゃいます。コロナが落ち着いたら、またたくさんの社員さんが訪れてくれると良いなと思っています。緊急事態宣言下では、社員さんがご自宅でコーヒーが飲めるように、ドリップパックなどを特別価格で提供したり、出社が必要な方向けには、福利厚生として無料でコーヒーの提供をしたり、工夫をしました」。

  • コーヒーを淹れるTETSUYAさん。カフェカウンターは”積み木でつくった移動販売車”をイメージしたもの。紙カップのデザインも含めて、この一角はTETSUYAさんの友人らが協力している

この1年で、TETSUYAさんにはどんな気付きや発見があったのだろう。「オフィスの中に出店したのは、CyberZさんが初めてでした。このようなやり方でもコーヒーを楽しめると気付かせていただきました。その後、Abema Towers(アベマタワーズ)にも出店しました。AMAZING COFFEEは、それまで"ファンの方たちを中心に"町の地元の方たちを大切に"というコンセプトでやっていましたが、ここでは企業の福利厚生として役立ててもらいました。デジタルな環境を、すごく大事にされている企業ですよね。その風を感じて、自分もオンラインをもうちょっと頑張ってみようかな、と思ったりして。そういう意味でも、色んな刺激を貰いました」(TETSUYAさん)。

このAMAZING COFFEEで、山内社長はどんなときにコーヒーを飲んでいるのだろう。「決まって飲むのは役員会のときですね。長い時間、皆んなで話し合うときに飲みます。あとはやっぱり、ほっと一息つくというタイミングで。仕事なのでやりがいもある一方で憂鬱なこともありますが(笑)、その中での自分へのご褒美というか。コーヒーってただの飲み物というよりは、自分の感情をセーブして、良い方向に転換させるスイッチのような役割を果たしてくれるように思うんです」(山内社長)。

AMAZING COFFEEにより、社内の雰囲気も変わったのだろうか。山内社長は「そうですね。当社は家賃補助が出る関係で、結構近く(渋谷)に住んでいる社員が多いんです。新卒で入社する場合、地方出身者も多いじゃないですか。まだ友達や知り合いも少なかったりしますが、会社にこういう場所があると、そこで自然と他の社員と話せたりするので、社内の人脈が広がる。そんなメリットも感じています」と明かす。

オフィス内とは思えないほど大きな、このカフェスペースを利用してミーティングをする人たちも社内にはいるという。「会議室の閉じた空間よりは、話も円滑に進むようです。ここは誰でも自由に入って来れるのが良い。また、何かを生み出す・考える仕事って、集中力が高まると非常に早いんですが、定例会のようなミーティングが入ることで”ゾーン”が解かれてしまうことがあります。でも、ここなら集中力を持続できる、そんなメリットも感じています。自由な発想が生まれやすい環境。それは会社の骨格にもなっていきます」。