• 『新しいカギ』(上段左から)チョコレートプラネット、霜降り明星 (下段)ハナコ

昨年から、各局では広告主のニーズが高い層に向けた番組作りを進めるべく視聴ターゲットを明確化しているが、これまで13~59歳を「ファミリーコア」として重視していたTBSは、4月から重点視聴率指標を「新ファミリーコア」(4~49歳)に変更するなど、その傾向はさらに進む。

その流れを象徴するのが、フジでスタートする『新しいカギ』(毎週金曜20:00~)。同局の重視する「キー特性」(13~49歳)は、お笑い番組を支持する層が多いことから、制作費・収録時間がかかるスタジオコントを中心とした“総合バラエティ”を『とんねるずのみなさんのおかげでした』『めちゃ×2イケてるッ!』が18年3月に終了して以来、3年ぶりにゴールデンタイムで復活させる。

チョコレートプラネット、霜降り明星、ハナコという人気芸人たちが集結して1月3日に特番として放送され、「非常に若い人たちからの評価をいただくことができまして、コントにかける制作者の熱い思いを感じました」(齋藤翼編成部長)と、レギュラー化を決断。フジのお家芸である“総合バラエティ”の復活に「スタッフの気合は十分です」(制作統括の中嶋優一氏)と、現場も沸き立っている。

ターゲット戦略の側面で見ると、前述の『メレンゲの気持ち』は、個人全体・世帯視聴率では横並びトップの数字だが、同局が重視するコアターゲットは『王様のブランチ』に水を開けられている状況にあった。

TBS『噂の!東京マガジン』(毎週日曜13:00~)も同様で、4月からはBS-TBSに移行し、後番組はジャニーズアイドルのバラエティ『それSnowManにやらせて下さい』(13:00~)、1クールごとの開発枠『日曜グランプリ』(13:30~ ※第1弾は『爆笑!ターンテーブル』)に改編する。

■コロナで広告収入減、制作費削減へ

コロナ禍の影響で広告収入がダウンするのに伴い、各局で番組制作費の削減が進められている。このほど発表された民放キー局の2020年度第3四半期決算では、各局で前年比10~20%台の減少となっていることが報告された。

日本テレビを傘下に持つ日本テレビホールディングスは、昨年11月に「コンテンツへの戦略投資と収支構造の見直し」などの新たな成長戦略を発表し、地上波における支出構造の抜本的な見直しを表明。20年度は総制作費を過去20年間で最も抑制する改革に踏み切り、この水準は今後も維持する方針を明らかにした。

同局では、この4月改編で報道・情報番組のキャスターの配置転換を積極的に実施し、『真相報道バンキシャ!』の福澤朗、『シューイチ』の片瀬那奈、『スッキリ』の近藤春菜が卒業。福澤の後任は桝太一アナ、片瀬の後任は徳島えりかアナと局アナが担当、近藤の後任は置かないことになっており、制作費の抑制も反映されているとみられる。