電気代は、一人暮らしでも高くつく場合があります。なぜ電気代が高くつくのか、原因がわかれば対策も可能です。

本稿では、一人暮らしの電気代は月額平均でどれぐらいなのかを解説します。電気代が高くなる原因と、一人暮らしでもできる節約・節電術についても紹介します。現在の電気代が平均額よりも高くついている場合は、ぜひ今からでもできる節電術を実践して、電気代を節約しましょう。

  • 一人暮らしの平均的な電気代(月額料金)

    電気代を見直して一人暮らしでもできる節電術を実践しよう

一人暮らしの電気代の平均

一人暮らしの平均的な電気代は、月額でいくらかかっているでしょうか。支払っている電気代と電気使用量、地域差などを確認して、自分の支払っている電気代が高すぎないかどうかを把握しましょう。

電気代と電気使用量

総務省統計局の家計調査によると、単身世帯(全国)の平均的な電気代の月額は2020年では以下の通りです。

電気代(年額) 電気代(月額)
小数点以下四捨五入
2011年 5万7,608円 4,801円
2012年 6万1,696円 5,141円
2013年 6万5,779円 5,482円
2014年 6万6,784円 5,565円
2015年 6万7,189円 5,599円
2016年 6万3,839円 5,320円
2017年 6万4,704円 5,392円
2018年 7万,227円 5,852円
2019年 6万8,399円 5,700円
2020年 6万9,498円 5,792円

単身世帯の電気代(月額)は、2020年で5,792円です。10年前は4,801円でしたが、少しずつ高くなっている傾向にあるようです。

東京電力の一般的な家庭の電気料金「スタンダードS」の場合で換算すると、1カ月間の電気使用量の平均は2020年で約249kWhとなります(スタンダードS:120kWhまで19.88円/1kWh、121kWh~300kWhまで26.46円/1kWh、20Aで基本料金572円として計算)。

夏も電気代は上昇する傾向にありますが、電気使用量は年間の中でも冬が多く、特に1月は1年の中でも最も多い傾向にあります。

地域別電気代の月平均額

また、電気代は地域によっても大きく変化します。2020年における各地域別単身世帯の電気代(月額)は以下の通りです。

地域 電気代(月額)
北海道・東北地方 6,463円
関東地方 5,594円
北陸・東海地方 5,956円
近畿地方 5,641円
中国・四国地方 6,186円
九州・沖縄地方 5,554円

季節別では寒い時期に電気代が上がる傾向がありますが、地方でも北国など気温が低いエリアを含む地域はどうしても電気料金が高くなるようです。

オール電化の電気代平均額

関西電力によると、オール電化住宅で一人暮らしの場合、電気料金の平均額(月額)は1万751円です。オール電化の家ではガスを使わないため、ガス代と合わせた金額ですが、近畿地方のガス代の月額平均(2020年)は2,959円であり、電気代+ガス代の合計は8,600円で、若干割高となっています。

自分の住んでいる地域の電気代平均月額を上回っているかどうかを確認し、電気代が高くて困っているようならば、なぜ高いのかを検証しましょう。

  • 一人暮らしの平均的な電気代(月額料金)

    電気代はエアコンを多く利用する冬がもっとも高く次いで夏が高い

電気代が高い時に考えられる原因

電気代が高くなる原因として考えられるポイントは以下の5点です。

  • 家電の使い方
  • カーテンなどインテリアの問題
  • 電気料金プランや電力会社などの選択ミス
  • 部屋の構造
  • 電気代支払いをコンビニで済ませている

これらの原因をもう少し詳しく解説します。

家電の使い方

家電、特にエアコンの使い方は、電気代に大きく影響します。例えば、日中30分程度の外出であれば、エアコンはつけっぱなしの方が電気代の節約に。18時以降の夜間早朝の時間帯は、逆に30分間でもエアコンを停止・再稼働をした方が電気代を節約できます。

カーテンなどインテリアの問題

フローリングの床に大きな窓がある部屋は、インテリア用品を活用しないとエアコン代がかなりかかります。利用するカーテンや床に敷くカーペットやラグなど、部屋の温度を適温に保つためにできることはないか見直しをしてみましょう。

電気料金プランや電力会社などの選択ミス

現在住んでいるマンションやアパートに引っ越してくるとき、電力会社や電気料金プランをあまり気にかけていなかった人もいるのではないでしょうか。

現在のライフスタイルと選択している電気料金プランや電力会社がミスマッチを起こしている可能性があります。これらを見直して切り替えることで電気料金が節約できる可能性があります。

部屋の構造

部屋の構造でも電気代は変わってきます。一般的に、マンションよりも気密性の低いアパートや一軒家、広い部屋や吹き抜けのある家は、電気代がかさむと考えてください。特に冬の朝は、外気温に影響されて室温が下がるため暖房器具を使う機会が増え、どうしても電気代が多くかかります。

電気代支払い方法

電気代の支払いは、口座振替にすると少しですが電気代が割引となります。例えば、東京電力の場合は、口座振替にすると月額55円(税込)の節約につながります(2021年2月10日現在)。

電気代が高くなる原因がはっきりすれば、対策を行うことで電気代を節約できます。ここから、一人暮らしでも実行可能な節電術を確認しましょう。

  • 電気代が高くなる原因5つ

    電気代が高くなる原因は家電の使い方や料金プランと生活様式の不一致などがあげられる

一人暮らしの電気代の節電術

一人暮らしでもできる電気代が多くかかる家電(エアコン・洗濯機・冷蔵庫など)の節電術を紹介します。

エアコン

エアコンは、意識して使うことで節電効果の大きくなる家電です。エアコンの電気代節約術として使える方法を以下にまとめました。

  • 夏の冷房は室温28度、冬の暖房は室温20度を意識
  • エアコンの自動運転モードを活用
  • 日中30分程度の外出ならつけっぱなし&必要なときだけ運転
  • 電気料金が安い18時~23時はつけっぱなしの方が節約になる
  • 扇風機やサーキュレーターの併用
  • 湿度コントロールもポイント
  • フィルター掃除をこまめに行う
  • 服装での体温調整も併用する

エアコンの設定温度が1度違うと電気代は約10~13%節約できると言われています。エアコンの運転は、日中は細かいオン/オフを意識し、夕方~夜間はつけっぱなしの方が節電になります。

扇風機やサーキュレーターなどを併用して部屋の空気を循環させるのも効果的です。エアコンは、室温を設定温度にするまでの間が最も電気代がかかると言われています。エアコンの自動運転モードを活用するとともに、空気を循環させることで室温を適温にするまでの時間を短縮しましょう。

体感温度は湿度とも密接な関係があります。夏は除湿をするとより涼しく感じられ、冬は加湿を行うことで寒さを和らげることが可能です。

さらに、エアコンの効きをよくするためにフィルター掃除は忘れずに行いましょう。特に電気代のかかる冬場は、家の中でも服を1枚多く着て体温調整することでもエアコンにかかる電気代の節約につながります。

洗濯機

一人暮らしならば、一日に出る洗濯物の量はあまり多くないはずです。洗濯物を数日分ため、まとめて洗濯すれば電気代の節約になります。電気代が割安となる夜間に洗濯をすることも節電術の一つです。ただし、騒音など近所迷惑にならないよう、夕方19時ごろにタイマーをセットしておくといいでしょう。

冷蔵庫

冷蔵庫は24時間ずっと通電している電化製品であり、機種の選定や庫内の整理などが節電に重要なポイントです。冷蔵庫の省エネ性能は年々高まっているため、古い機種は買い替えることも検討しましょう。冷蔵室は余裕をもって食品を入れる一方、冷凍庫はぎっしり詰めて冷凍する方が省エネになります。

その他家電

24時間通電している温水洗浄便座も、省エネ効果の高い製品を選び、使い方も工夫することで節電が見込める家電の一つです。就寝前や外出時には、タイマー節電機能を活用して一定時間通電を止めるなど、使わないときの節電を意識してみてください。

ほかにも、寒い時期の強い味方である電気毛布や乾燥シーズンには欠かせない加湿器、毎日使うであろうドライヤーなども賢く使えば節約につながります。「塵も積もれば山となる」の発想を持つことで、月額の電気代を意外と抑えられますよ。

  • 一人暮らしでもできる電気代の節約術家電編

    エアコンが室温を適正にする時間を短縮するよう工夫すると節電できる

電気代の節約術

一人暮らしでできる節約術はいくつもあります。ここでは、実行できるかの検討も含めて行いたい節約術を紹介します。

インテリア

カーテンは、外気温の影響を受けやすい窓側で室温を調整する役目を果たします。夏は日差しを遮断して室温上昇を緩和し、冬は日中には開けて日光を取り入れ、夜間はカーテンを閉めて外の冷たい空気を遮断する効果があります。

可能であれば、夏は窓の外側に「よしず」のような日よけを導入することも検討しましょう。窓の外側からの日光を遮断するだけでも室温の上昇を防ぐ効果があるため、窓の内側にカーテンを設置するだけよりも大きな効果があります。

床にも断熱効果のある敷物などを敷くことによって、室温の低下を緩和でき、エアコン運転中にかかる電気代の節約につながります。

電力会社の乗り換え

現在は、電力会社を選べる時代になりました。電気料金を節約するために、電力会社の見直しも検討しましょう。新電力会社は、従来の電力会社に比べ電気料金が安くなります。ただし、新電力会社にもデメリットがあります。メリットとデメリットを確認しつつ、電力会社の乗り換えを検討してみてください。

電気料金プランの見直し

電気料金のプランは、電力会社によって複数の選択肢が用意されています。例えば東京電力なら、一般的な料金プラン以外に、夜間の電気使用量が多い場合の料金プランや、一般家庭よりも電気使用量が多い場合の料金プランも用意。条件に当てはまるようならば、料金プランの見直しも検討しましょう。

契約アンペア数を下げる

電気料金プランの見直し時に確認したいポイントのひとつに「アンペア数」があります。例えば東京電力ならば10A~60Aまであり、10A単位で基本料金が上がる仕組みです。ただし、アンペア数を下げると同時に使える電力量が少なくなるため、単純にアンペア数を下げていいかどうかは忘れず検討しましょう。

電気代の支払いを口座振替に

電気代の支払いをコンビニで行っている人は、口座振替に切り替えるのもアリです。東京電力の場合、月55円(税込)の節約になります。1年に換算すると660円とわずかではありますが、確実に節約できる金額です。

電気代がかからない部屋に引っ越す

これからも長く一人暮らしが続く場合は、思いきって電気代のかからない部屋への引っ越しも検討しましょう。大学生のように一人暮らしの期間が決まっている場合は、引っ越し費用の方が高くつくため、引っ越しと節電の費用対効果は果たしてあるのかどうか検討してください。

  • 一人暮らしでもできる電気代の節約術

    一人暮らしでもすぐにできる節電術はインテリアおよび電気料金プランの見直し

一人暮らしでも節電は可能!

電気代は、一人暮らしでも工夫次第で節約できます。家電の使い方・生活環境や電気料金プランの見直しなど、今すぐできることも多く紹介しましたので、ぜひ節電して電気料金の支出を抑えましょう。