1年間に一定金額以上の医療費を支払った場合に、医療費控除を申告することで税金が還付されます。

確定申告をしないと還付は受けられませんが、医療費控除を申告するためには、医療費明細書の作成が必要となってきます。ここでは医療費明細書の書き方について、解説をしていきます。

  • 医療費控除の明細書の書き方を解説!

    医療費控除の明細書の書き方を解説!

医療費控除の明細書の書き方と必要なもの

医療費控除とは、1年間に支払った医療費等が一定金額を超える場合、課税所得から差し引くことができる制度です。課税所得額が少なくなることで、支払う所得税などが還付されます。

医療費控除の申請には確定申告が必要ですが、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば申告書の作成が簡単にできます(※1)。ただし医療費控除を申請する際には、明細書を添付しなければなりません。

ここでの明細書とは「医療を受けた人の氏名」「病院・薬局など支払先の名称」「医療の区分」「支払った金額」などをまとめたものです。

明細書の作成に必要なもの

明細書を作成する際に必要なものとしては以下のものがあります。

  • 健康保険組合から送られてくる「医療費のお知らせ」(医療費通知)
  • 各医療機関で支払った際にもらえる領収書
  • 薬局などで薬を購入した際にもらえる領収書
  • その他費用として計上すべきものがある場合には、その領収書もしくはメモ

「医療費のお知らせ」とは、加入している健康保険組合から、毎年1月中旬頃に送られてくるものです。これには前年の1月から9月までに支払った医療費についてまとめられています。この医療費のお知らせを添付すれば、医療費のお知らせに載っている分については、合算金額を記入すればよく、明細書に細かく記入する必要はありません(※2)

前年の10月から12月の医療費については医療費のお知らせに記載がないので、病院などからもらった領収書が必要となります。領収書を世帯員ごと、病院ごとに分けて明細書に記入します。確定申告書等作成コーナーには、医療費集計フォームも用意されていますので、簡単に集計することができます。

また治療のために市販の薬などを購入した分も、明細書に記入することができます。ただし「セルフメディケーション税制」を利用するときは別の明細書を使用するので注意してください。

通院などのためにかかった交通費も医療費控除に含めることができます。ただし原則としては公共交通機関を使ったものが対象で、タクシーは出産のときなど以外には認められません。

明細書の書き方

明細書の書き方は、以下のとおりです。

医療費通知を持っている場合には、まず「1 医療費通知に記載された事項」のところに記入していきます。医療費通知書に記載されている医療費の総額を(1)に入れます。次に加入者の支払額の合計額を(2)に入れます。また健康保険組合から給付を受けた出産育児一時金などの金額や生命保険会社から支払いを受けた金額を(3)に入れます。

医療費通知に載っていない10月から12月の医療費やその他の支出については、「2 医療費(上記1以外)の明細」というところに記入します。この際、領収書ごとに記入するのではなく、医療を受けた人・病院などごとにまとめることができます。

まずは自分、配偶者、子どもなどに分けます(1)。次に支払先(病院名や薬局名)ごと(2)にまとめ、支払いの目的を医療費の区分(3)にチェックを入れます。そして支払った医療費の額をまとめて、それぞれの欄(4)に記入します。また健康保険組合から給付を受けた金額や生命保険会社から支払いを受けた金額(5)を記入していきます。

すべての医療費の合計額を求めたら、次に「3 控除額の計算」に当てはめていきます。Aから順番に計算していって、最後のGのところの数字が、所得から控除できる金額となります。なおGの金額が200万円以上となっても、最高で差し引ける金額は200万円なので、200万円以上の数字になったときは、200万円と記入します。

また医療費から生命保険や社会保険などで補填される金額を差し引く際に気をつけることは、補填される金額を差し引くのは、その給付の目的となった医療費からのみでよいということです。

例えば、1年間にかかった医療費30万円(うち妻の妊娠にかかる医療費15万円)で、保険等で補填される金額が45万円(うち出産育児一時金42万円)であった場合、30万円-45万円では赤字なので医療費控除が受けられないというと考えてしまうかもしれません。しかしこれは間違いで、出産育児一時金の42万円は、妊娠にかかる医療費15万円からのみ差し引きます。

したがって、妊娠にかかる医療費と給付金を除くと、(30万円-15万円)-(45万円-42万円)-10万円=2万円となり、医療費控除を2万円受けることができます。明細書を単純に記入するだけでは間違うことがあるので、注意しましょう(※3)

医療費控除の改正ポイント

2017年度の税制改正で、医療費控除を申請する場合の手続きが改正されました。

これまでは医療費控除を申請する場合、医療費の領収書を確定申告書に添付または確定申告書を提出する際に提示することとされていましたが、2018年からの所得税の確定申告において医療費控除の申告をする場合には、医療費の領収書に基づいて必要事項を記載した「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付して提出することになりました。

なお、この場合、確定申告期限等から5年間は、医療費の領収書を自宅等で保存する必要がありますので注意が必要です。

また健康保険組合等が発行する医療費通知を確定申告書に添付する場合には、「医療費控除の明細書」の記載を簡略化することができ、医療費の領収書の保存も不要となります(※4)

医療費控除の明細書の添付義務化

2017年度の税制改正で、医療費控除に関して明細書を添付することが義務となりましたが、3年間は経過措置として、従来の領収書の添付も認められていました。しかしながら2020年まででこの経過期間も終了しました。それにより2021年の確定申告では明細書および医療費通知の添付が必須ですので確定申告をする際には注意しましょう。

まとめ

医療費控除を申請する場合、2021年から明細書の添付が必須となっています。ただし、医療費通知書があれば明細書の作成も簡単になりますので失くさないように注意しましょう。

なお、医療費通知書は1月から9月までの医療費なので、10月から12月分については自分で計算しなければなりません。

国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すれば医療費控除の申請も明細書の作成も簡単にできますので上手に利用しましょう。

参照 :
(※1)国税庁「令和2年分 確定申告特集
(※2)全国健康保険協会「お知らせ(令和2年11月 )
(※3)国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
(※4)国税庁「医療費控除に関する手続について(Q&A)