新型コロナウイルスの流行にともない、所得税、贈与税、個人事業者の消費税の申告・納付期限が4月16日まで延長されました。例年は2月15日~3月15日までですが、今年は期限が1カ月延長されたため、今からでも確定申告は間に合います。

会社員の方は年末調整をしたり、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用したりして、確定申告をする必要がないと思っている方も多いかと思いますが、「医療費控除・セルフメディケーション税制の申告」「年末調整で生命保険料控除をし忘れた」「ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用しなかった」という方はぜひこの機会に申告をして、還付を受けましょう。

  • 今からでも間に合う医療費控除の申告方法

    今からでも間に合う医療費控除の申告方法

パソコンやスマホでできる「e-Tax」が便利で簡単

とはいえ、確定申告と言えば、必要書類を集めて所定の用紙に記入して、提出して……と手間がかかると二の足を踏む人も多いのではないでしょうか。実はマイナンバーカードとICカードリーダーもしくは、マイナンバーカード対応スマホがあれば、スマホで確定申告をすることができるのです。

マイナンバーカードを発行するには1カ月程度時間がかかるので、これから申請をしても間に合わない可能性があります。その場合は、税務署で発行してもらう「ID・パスワード方式の届け出完了通知」で申告することができます。

その際は、運転免許証など本人確認書類を持参して、最寄りの税務署で発行してもらいましょう。このID・パスワード方式は、マイナンバーカードおよびICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応であることと、9月にはマイナポイントが実施される予定ですので、これを機にマイナンバーカードの申請をおすすめします。

e-Taxのスマホで確定申告ができるものは?

2019年度分のスマホ申告でできる申告は、すべての所得控除です。所得控除の代表的なものとしては、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、寄附金控除があります。また、副業をしている会社員もスマホで申告ができます。

「医療費が年間10万円を超えた」「生命保険料控除を年末調整でしなかった」「ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用しなかった」……など、せっかく控除してもらえるものをやらずに逃してしまうと、せっかく受けられる所得税の還付はもちろんのこと、住民税の税額控除も受けられなくなるため、もったいないです。

スマホで確定申告をするときに必要なものは

マイナンバーカードとスマホやタブレットが対応しているものであれば、自宅にいながらにして確定申告ができる環境です。あとは必要となる書類を揃えます。

・給与所得の源泉徴収票 :
年末調整時にもらっているはず。ない場合は再発行してもらいましょう。

・領収書・控除証明書等 :
医療費控除を受けるなら「医療費の領収書」、生命保険料控除を受けるなら「生命保険料控除証明書」、ふるさと納税の寄附金控除を受けるなら「寄附金受領証明書」が必要です。

スマホで確定申告をする場合、記載内容を入力して送信するもので従来のように証明書等を添付する必要がなくなりました。

【添付が不要となる書類の例】

・源泉徴収票
・生命保険料控除の証明書
・寄附金控除の証明書
・医療費の領収書、セルフメディケーション税制の医薬品購入の領収書、一定の取組を明らかにする書類
・社会保険料控除の証明書
・雑損控除証明書

など。

これらの書類は、添付の必要がなくても原則として、法定申告期限から5年間は保管しておき、税務署等からの書類の提示または提出が求められたときに応じられるようにする必要がありますので注意しましょう。

スマホで確定申告をする際の事前準備

マイナンバーカードで確定申告をする場合は、マイナンバーカードとAndroidとiPhoneで対応する機種が必要です。機種の確認を行いましょう。

また、マイナンバーカードで初めて「e-Tax」で確定申告をする場合は、事前にAndroid端末の場合はGoole Play Storeから「e-Taxアプリ」と「JPKI利用者ソフト」を、iPhone端末の場合はApplestoreで「e-Taxアプリ」と「マイナポータルAP」をインストールをしてしておきましょう。

簡単なスマホで確定申告をする簡単な流れ

事前の準備ができたらあとは指示に従って入力をするだけです。

Step1.国税庁の確定申告等作成コーナーへアクセスする

Step2.提出方式を選ぶ

マイナンバーカード方式、ID・パスワード方式、印刷して提出のいずれかを選びます。

Step3.利用規約を確認

同意して次に進みます。

Step4.マイナンバーカードの読み取りまたは利用者識別番号を入力

マイナンバーカードで申告する場合は、マイナンバーカードをスマホで読み取り、ID・パスワード方式の場合は、利用者識別番号を入力してe-Taxへログインします。

Step5.源泉徴収票の情報を入力する

準備しておいた源泉徴収票を見ながら指示に従って、金額を入力しましょう。

Step6.控除する項目を選ぶ

控除したい項目を選択して、画面の指示に従って情報を入力しましょう。医療費控除なら医療費控除の項目を選択します。

Step7.本人情報を入力

画面の指示に従って、氏名、生年月日等を入力しましょう。

Step8.申告データを送信または申告書を印刷

申告データを送信する場合は、画面の指示に従ってデータを送信し、書面を提出する場合は、プリンターで印刷後、最寄りの税務署へ提出もしくは郵送をします。

Step9.送信確認をする

e-Taxで送信した場合は、「送信成功しました」と表示されます。最寄りの税務署へ提出した場合は、申告書類に印を押してくれ、控えが戻ります。郵送をした場合は、控えに印を押したものが郵送され戻ってきます。

医療費控除、セルフメディケーション税制の申告が手軽にできる

年末調整で控除ができず、確定申告をするものとして、「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」の申告があります。医療費控除とセルフメディケーション税制を同時に申告することはできませんので、どちらか一方を選択して申告することになります。

医療費控除

その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費で、納税者とその生計を一にする親族のために支払った医療費であること。

医療費控除額(最高200万円)=実際に支払った医療費の合計から、保険金などで補填される金額と10万円もしくは、その年の総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額の5%の金額を引いた金額が控除額となります。

セルフメディケーション税制

その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費で、納税者とその生計を一にする親族のために支払った特定一般用医薬品等の購入費であること。薬局などで対象の医薬品を購入した場合は、レシートにその旨が記載されています。 また、セルフメディケーション税制の適用を受ける場合は、以下のいずれかの「一定の取組」を行っていることが必要です。

1.保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
2.市区町村が健康増進事業として行う健康診査【生活保護受給者等を対象とする健康診査】
3.予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
4.勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
5.特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
6.市町村が健康増進事業として実施するがん検診

セルフメディケーション税制による医療費控除額は、最高8万8,000円で、

(実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の総額)-(保険金などで補填される金額)-1万2,000円

となります。

年間10万円以上医療費を世帯で支払っているのであれば医療費控除を、1万2,000円以上のセルフメディケーション税制対象の医薬品購入かつ検診等をした証明書があれば、セルフメディケーション税制で申告をしましょう。厚生労働省のHPにも、チャートがありますので参考にしてみてくださいね。

医療費控除とセルフメディケーション税制の申告をするにしても、領収書やレシートを保管しておく必要がありますので、日ごろから捨てずに専用のクリアファイルなどにまとめて保管しておくと、申告の際にも慌てずにすみます。

スマホで確定申告ができる時代ですので、対象となる申告がある人は早めに申告を済ませましょう。