JR西日本はこのほど、遮断機と警報機がどちらも設置されていない「第4種踏切」に、一旦停止を促すための「踏切ゲート」を設置すると発表した。今月中旬以降、山陰本線にて現地試験を行う。

  • 「踏切ゲート」イメージ

踏切ゲートは「L」を倒した形状となっており、踏切の一旦停止線付近に設置。自転車など道路交通法上の軽車両は通行可能、自動車は通行不可の踏切を対象として開発された。通常時は最大1.5m程度あるアームが踏切を遮断し、通行する場合はアームを軽く押して向こう側に水平移動させることで通行できる。押し開けた踏切ゲートはしばらく開いた状態をキープした後、自動で閉まる。山陰本線長門三隅~長門市間の中山第1踏切(山口県長門市)にて、3月下旬まで現地試験を行う。

遮断機と警報機を備える第1種踏切への格上げなどにより、JR西日本管内の第4種踏切は大幅に減少。障害物検知装置や踏切非常ボタンなどの保安設備も充実し、踏切障害事故そのものは約30年前に比べて大幅に減少した。一方で、第4種踏切での事故は近年も年間3件程度発生しており、事故原因の9割は直前横断だったという。

第4種踏切の事故を防ぐ抜本的な対策として、踏切そのものを廃止してなくすことや、踏切を第1種化するなどの方法があるものの、多額の設備投資が必要な上に、周辺住民の同意を得るのに時間を要するなど、ハードルが高い。車両の通行を規制する「交通規制杭」の設置といった暫定的な対策もあるが、農耕車が通行する場所には設置できないなどの課題がある。

  • 通常は閉じた状態で、踏切を渡る際は押し開けて通る

踏切ゲートはこれらの課題を解決するツールとして開発。踏切を渡る前に物理的な一時停止が必要になることから、直前横断が引き起こす踏切事故を防ぐ効果が期待される。