丸紅ネットワークソリューションズは、富士急行の協力を得て、踏切内の人や車をAIカメラで検知する「滞留検知システム」の実証実験を実施していることを明らかにした。

  • 滞留検知システムの概要図

このシステムは、AI機能を搭載したカメラで踏切道を監視し、踏切内に留まったままの人や車などを検知した場合に運転指令所に知らせるという。物体の形状を認識し、滞留を検知する「物体検知」と、人物の移動・滞留を検知する「骨格検知」の複数のAIアルゴリズムを実装した「TRASCOPE-AIカメラ」を使用する。

「骨格検知」とは、画像中の関節点抽出と各関節点の接続状態推定により、画像内の人物骨格を検知するAIアルゴリズム。これまで危険エリアへの人物の侵入検知で培ってきたAIアルゴリズムを応用した。関節点間のつながりの強さも学習対象とすることで、精度の高い人物検出が可能になる。

実証実験は2019年8月から始まり、列車の接近を知らせる装置がない踏切(第4種踏切)で遠隔から横断者状況を正確に把握できることを確認した。これを踏まえ、今年7月からは自動遮断器と警報機が設置されている踏切(第1種踏切)でも実証実験を開始。10月からは踏切に隣接する電柱にパトランプを設置し、踏切道内に滞留する人物や物体を検知したことを運転士に直接知らせる実験も行っているという。今後も富士急行線で実証実験を続け、年度内の本導入をめざす。