2月の中頃になると、確定申告の足音が徐々に聞こえてきますね。今年の確定申告の期限は、新型コロナウイルスの感染拡大により、昨年と同様、1カ月延長となります。確定申告の概要を確認し、しっかり準備して申告を行いましょう。

  • 今さら聞けない確定申告の基本をチェック!

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確定申告とは

確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日)に得た所得から税金を計算し、納めるべき税額を税務署(国)に申告することです。原則として、翌年の2月16日~3月15日に申告と納税を行います。

また、税金を納めるための申告のほかにも、税金を取り戻すための「還付申告」という申告もあります。還付申告を行う場合、期限は確定申告期間に限らず、その年の翌年1月1日から5年間可能となります。

会社員ならば税金は給与から天引きされますし、年末調整にて税額の調整が行われますので、給与所得が1カ所からのみならば基本的には確定申告は不要です。しかし、医療費控除など一部の所得控除を申告するには、会社員であっても確定申告の必要があります。

確定申告が必要な人/不要な人の条件

それでは、具体的に確定申告が必要となる人とそうでない人の条件を確認していきましょう。

確定申告が必要な人

確定申告が必要なのは、主に自営業やフリーランスなどの個人事業主で所得が48万円(基礎控除額)以上ある人です。

会社員の場合、給与所得が1カ所からしかなくても、以下の要件に当てはまると確定申告の義務が生じます。

  • 給与収入が年間2,000万円を超える
  • 副業など給与所得以外の所得が年間20万円を超える

なお、義務ではありませんが、下記の条件に該当する人はぜひ確定申告をしましょう。税金が戻る可能性があります。

  • 医療費控除、住宅借入金等特別控除(1年目のみ)、雑損控除、寄附金控除がある
  • 年末調整で申告し忘れた控除がある
  • 退職所得があり、退職した企業に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない

医療費控除

医療費控除は「自分もしくは生計をともにする家族」の1年間(1月1日~12月31日)の医療費が10万円を超えると、確定申告により適用される控除です。所得額次第では、年間の医療費が10万円未満でも控除の対象となります。

雑損控除

雑損控除とは災害や盗難、または横領などによって資産に損害を受けた場合に受けられる所得控除です。控除できる金額は、以下の2点のうち多いほうの金額です。

■差引損失額-総所得金額等×10%

■差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円

寄附金控除

納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合に受けられる所得控除が寄附金控除です。近年耳にする機会が増えた「ふるさと納税」も、寄附金控除に含まれます。

その他、不動産所得や株取引(一般口座での取引)などによる所得がある人や、災害減免法により所得税の軽減・免除を受けている人も確定申告が必要です。一時所得がある人も、要件に当てはまる場合は確定申告の義務があります。

確定申告が不要な人

確定申告が「必要な人」に当てはまらない会社員や、公的年金を受給している人(※公的年金等の収入が400万円以下で、それ以外の所得金額が20万円以下の場合)は、基本的に確定申告は不要となります。

確定申告の期限

2021年の確定申告の期限は?

新型コロナの感染拡大により、2021年も期限が例年より1カ月延長となっています。所得税や贈与税、個人事業主の消費税などを対象にした2021年の確定申告は、2月16日(火)~4月15日(木)までです(2月9日時点)。

期限を過ぎてしまったら?

なお、期限を過ぎてしまっても確定申告はできますので、速やかに申告を行いましょう。ただし、この場合「期限後申告」となり、本来納めるべき税金に「無申告加算税」や「延滞税」が加算されます。

2021年は、やむをえない事情があれば4月16日(金)以降も申告を受けつけています。その場合、申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載しておきましょう。

確定申告に必要な書類

確定申告には、以下のような書類が必要です。

  • 給与所得や公的年金等の源泉徴収票(原本)
  • 医療費の領収書等
  • 社会保険料の支払いを証明する書類(給与天引き以外で支払っている場合)
  • 生命保険料、地震保険料の控除証明書、小規模企業共済掛金払込証明書など
  • 寄附金の受領証
  • その他領収書

これらの書類をもとに「確定申告書A」もしくは「確定申告書B」を作成し、提出します。

会社員(給与所得者)は、主に確定申告書Aを使用します。確定申告書Bは、所得の種類を問わず誰でも使用でき、個人事業主の場合はこちらを使用します。また、青色で確定申告をする場合は「青色申告決算書」が、白色の場合は「収支内訳書」が必要です。

そして、マイナンバーカード、もしくはマイナンバー通知カード(住民票も可)と身元確認書類(運転免許証等)、印鑑、還付を受ける場合は銀行の口座番号がわかるものも必要となります。

  • 確定申告に必要な書類をしっかりと揃えておきましょう

    確定申告に必要な書類をしっかりと揃えておきましょう

確定申告作成時の注意点

実際に必要書類を作成するとなったら、以下の点に留意して取り掛かってくださいね。

(1)あらかじめ必要な書類をしっかり揃えておく

自宅で確定申告書を記入する場合、必要書類を探しながらだと記載事項に漏れや誤りが生じる恐れがあります。会場に足を運んで作成する場合も、「必要書類を忘れて作成できない」という事態にならないようにしましょう。また、申告の流れを一通り確認し、わからない点は事前に解決しておくとスムーズに終わります。

(2)不明点や疑問点は税務署に相談を

間違えがあった場合は訂正や修正申告などができますが、再度書類を作成し直すのは時間も手間もかかります。思い込みで行わず、自信のない点はしっかり確認することが大切です。

確定申告未対応時のペナルティ

期限内に確定申告をしないと、「無申告加算税」が課されます。無申告加算税の税率は、以下の2段階に分けられています。

■税務署から指摘を受ける前に自ら期限後申告をした場合:5%

■税務署から指摘された後に期限後申告をした場合:原則、納税額のうち50万円までが15%、50万円を超える部分は20%

ただ、以下の2つの要件を満たしている場合は、無申告加算税は課せられません。

  • 申告期限後1カ月以内に、自主的に申告している
  • 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合

この他、納税が遅れた日数分だけ延滞税が加算され、最高税率は年14.6%になります。それ以外にも、期限を過ぎて申告すると、65万円の青色申告特別控除が受けられなくなり、さらに、2事業年度連続で期限内に確定申告を行わないと、青色申告の承認が取り消されます。

当人にとって不都合だらけなので、確実に期日内に済ませるようにしましょう。

準備万端で申告しよう

確定申告は、税金を納めるための申告だけでなく、税金を取り戻すための申告も行えます。「会社員だから関係ない」とは思わず、自分に適用される控除がないか確認し、必要であれば確定申告をしましょう。今年も昨年に引き続き、期間が延長される分、準備を万全にして申告したいものです。