コロナ禍で、すっかり海外の大物バンドの来日が途絶えてしまった。今僕が固唾を呑んで来日を待っているのはエアロスミスである。1973年デビュー、平均年齢69.8歳のこのモンスターバンド、ラストツアーがささやかれて、はや5年近く。まだまだ来日ライブは無理でしょうが、僕がオススメするベスト13のアンケートランキングをご覧ください。

  • デビューアルバムのジャケット写真。左からジョーイ・クレイマー、ジョー・ペリー、トム・ハミルトン、スティーヴン・タイラー、ブラッド・ウィットフォード。ワルそうでカッコイイ!
    野獣生誕 ~ Aerosmith
    Mama Kin、Dream On収録
    1973年1月13日発売
    Sony Music Entertainment(Japan)

  • こちらが最近のお姿。左からブラッド・ウィットフォード、トム・ハミルトン、ジョーイ・クレイマー、ジョー・ペリー、スティーヴン・タイラー (C)BANG Media International

エアロスミスは1973年のデビュー以来、多少の紆余曲折はあったものの、押しも押されもせぬアメリカ最大級のロックバンドである。

ロバート・プラントと同級生がこの中に !?

エアロスミスはアメリカの偉大なロックバンドだが、ストレートなアメリカンロックとは言い切れないブリティッシュなサウンドやメロディーを持つ希有なバンドだ。

スティーヴン・タイラー 1948年3月26日生 72歳
ジョーイ・クレイマー 1950年6月21日生 70歳
ジョー・ペリー 1950年9月10日生 70歳
トム・ハミルトン 1951年12月31日生 69歳
ブラッド・ウィットフォード 1952年2月23日生 68歳

スティーヴン・タイラーと同年生まれは

  • 左より、スティーヴン・タイラー、ロバート・プラント、右は2016年1月18日、67歳で亡くなったグレン・フライ。こう見るとスティーヴン・タイラーの若さが際立っている (C)BANG Media International

レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムは1948年5月31日生まれで1980年9月25日、32歳の若さで亡くなっている。同じくツェッペリンのロバート・プラントは1948年8月20日生、イーグルスのグレン・フライ、1948年11月6日生、チープ・トリックのリック・ニールセンも1948年12月22日と同年生まれだ。なかなかの大物揃いである。ロバート・プラントと同い年だったのは少し意外だった。デビューが4年遅かったので、スティーヴン・タイラーの方が年下だと思っていたよ。

ジョー・ペリー、ジョーイ・クレイマーと同年生まれは

2017年10月2日に亡くなったトム・ペティ、1950年10月20日生。ABBAのアグネタ・フォルツコグ、1950年4月5日生。70年初頭アメリカの偉大なアイドル、デヴィッド・キャシディも2017年11月12日、67歳で亡くなったが1950年4月12日生まれだ。最近チープ・トリックを脱退したバン・E・カルロスが1950年6月12日まれ。

  • 左よりジョー・ペリー、デヴィッド・キャシディ、ABBAのアグネタ・フォルツコグ。デヴィッド・キャシディは若い頃は信じられないくらいキレイな顔の少年だったんだよ…… (C)BANG Media International

トム・ハミルトンと同い年は

シン・リジィのギタリスト、スコット・ゴーハム、1951年3月17日生。KISSのエース・フレーリー、1951年4月27日生。クイーンのジョン・ディーコン、1951年8月19日、ディープ・パープルのデイヴィッド・カヴァデール、1951年9月22日生と、こちらも70年代黄金期のロックスター揃いだ。

  • 左からジョン・ディーコン、トム・ハミルトン、スコット・ゴーハム。シン・リジィにはゲイリー・ムーアもちょっとだけいたんだよ (C)BANG Media International

ブラッド・ウィットフォードと同年生まれは

1952年生まれのミュージシャンは僕の興味の及ぶ範囲(極めて狭い)ではKISSのポール・スタンレー一人だけだった。一つ下の1953年では、チープ・トリックのロビン・ザンダー、1953年1月23日、シンディ・ローパーが1953年6月22日だった。

  • 左がブラッド・ウィットフォード、右はポール・スタンレー……言わなくてもわかるよね? (C)BANG Media International

とにかく重厚なサウンド、不安感を煽るリフが素敵だ

僕が初めてエアロスミスを聴いたのは1976年だった。ロックスの「ラスト・チャイルド」がシングルカットされて、AMラジオの電リク(当時、文化放送で平日夕方18時頃にやっていた「電話リクエスト番組」、うろ覚えです)でヘビーローテーションで流れていたのだ。なんという、カッコよくて不安感を誘うイントロ、キレキレのシャウトヴォーカルが怖くなったものだ。そしてクライマックスのギターソロ、マイナースケールに時折被さるメジャーのフレーズが過去に聞いたことのないロックだった。

すぐさま「ロックス」を買ってきて三日三晩聞き込んだ。なんという重いサウンド……。1曲目のバック・イン・ザ・サドルも緊張感あふれるイントロで打ちのめされた。当時クイーンは「オペラ座の夜」もリリースして、ボヘミアン・ラプソディで強烈な存在感を放っていた。イーグルスも「呪われた夜」を発表済みで大ヒットを飛ばしていたがそれともまったく違ったロックだったね。

13位~9位、僕イチオシの名曲がこんなところに……

13位 ドロー・ザ・ライン ~ Draw the Line(Tyler, Perry)

本編は0:41ごろからスタート

エアロスミス絶頂期の5枚目のアルバムタイトル曲。完成度の高いロックンロールだ。荒っぽく聞こえるけど、抑制の効いた強弱が円熟味を感じさせる名曲で僕は大好きだ。ジョー・ペリーのラフで荒っぽいスライド・ギターがとても心地よい、そして上手い。

  • ドロー・ザ・ライン ~ Draw the Line
    Draw the Line、Kings and Queens収録
    1977年12月1日(木)発売
    Sony Music Entertainment(Japan)

12位 ママ・キン ~ Mama Kin(Tyler)

こちらはデビューアルバム(本記事トップの写真)に収録。上がスタジオテイクで、下が2014年ドニントンでのライブ動画です。ライブの方がもちろん見た目はカッコイイのだが、音だけを聞いてほしくてスタジオテイクも貼ってみました。これがデビュー当時の音である。ボロくて安っぽいけれどキレのある、とてもイイ音でしょう?

デビュー当時の彼らはスティーヴン・タイラーの24歳を筆頭に最年少のブラッド・ウィットフォードはまだ20歳だった。けっこう若くしてデビューしてた。コネタですが、スティーヴン・タイラーは「MA KIN」と炎と音符とともに左腕にタトゥーを入れている。

11位 キングズ・アンド・クイーンズ ~ Kings and Queens(Hamilton, Kramer, Tyler, Whitford, Douglas)

2:41から始まるベース、ギターパートは圧巻

くぅぅ~っ! イントロがカットされているの残念! だが、僕がエアロスミスで最も好きな曲がコレだっ!! 熱くなってしまい、ビックリマークだらけの文章になってしまったが、みなさん、どうよ!? これぞハードロックのお手本ともいうべき完成度の高さ、様式美の極みではありませんか? それが11位なんて心外である! この曲はドロー・ザ・ラインのアルバム、B面1曲目に納められていた。ちょこちょこカットされてるのでぜひ、アルバムで聴いていただきたい。

10位 トレイン・ケプト・ア・ローリン ~ Train Kept a Rollin'(S.T.Bradshaw, L.Mann, H.Kay)

みなさんご存知と思うがこの曲、エアロスミスのオリジナルではない。そう、ヤードバーズだよね? と思ってる人が多いでしょう。オリジナルは1951年、タイニー・ブラッドショー(Tiny Bradshaw)というブルースのミュージシャンが歌った曲でした。原曲を聴くと歌詞だけは同じで別物のようでした。のどかなスイングジャズみたいだったよ。エアロスミスのアレンジの元となったのはやはり、ヤードバーズなのでした。

動画のイントロのギターソロはブラッド・ウィットフォードです。カッコイイよね!! 2:22あたりのジョー・ペリーがマイクスタンドを放ってスティーヴン・タイラーに渡すところもカッコイイ。きっと練習したんだろうなぁ……。

  • エアロスミス
    飛べ! エアロスミス ~ Get Your Wings
    Train Kept a Rollin'収録
    1974年3月1日(金)発売
    Sony Music Entertainment(Japan)

9位 バック・イン・ザ・サドルBack in the Saddle(Tyler, Perry)

鬼気迫る不安定な音階のイントロが魅力の曲なのに、こちらもイントロカットされてます。この曲はエアロスミス黄金期に位置づけられた3枚のアルバム、僕が勝手に位置づけてますがそのうちの1枚、ロックスの1曲目の曲だ。初めて聞いたときあまりにも不安感を煽るイントロに泣きそうになったモノだ。スティーヴン・タイラーとジョー・ペリーの曲だがこのライブではリードギターをブラッド・ウィットフォードが弾いている。

  • エアロスミス
    ロックス ~ Rocks
    Back in the Saddle、Last Child、Sick as a Dog、Home Tonight収録
    1976年5月3日(月)発売
    Sony Music Entertainment(Japan)

8位~4位、ドリーム・オンがベスト3ならず……

8位 ラスト・チャイルド ~ Last Child(Tyler, Whitford)

こちらもロックスの2曲目に納められていたタイラーとウィットフォードの曲。イントロがスローで印象的だが、美しい旋律から不協和音に突入し、バック・イン・ザ・サドルと同様の緊張感に包まれながらロックに入っていく素晴らしい出来の曲だ。2:20からのソロがマイナーの曲の上に、メジャースケールが乗ってくる絶妙なギターが見所です。この時、ブラッド・ウィットフォード24歳。

7位 闇夜のヘヴィ・ロック ~ Toys in the Attic(Tyler, Perry)

3枚目のアルバム、闇夜のヘヴィ・ロックのタイトル曲にもなっているこの曲、1、2枚目のチープな音からいきなり重厚感あふれるサウンドに進化を遂げた。また、イントロ、Cメロのリフが最高。ギターソロ直前の転調もスリリング。この時、ジョー・ペリー25歳。

  • 闇夜のヘヴィ・ロック ~ Toys in the Attic
    Toys in the Attic、Walk This Way、Sweet Emotion、収録
    1975年4月8日(火)発売
    Sony Music Entertainment(Japan)

6位 リヴィング・オン・ジ・エッジ ~ Livin' on the Edge(Tyler, Perry, Mark Hudson)

11枚目に収録されたこの曲、1994年グラミー賞最優秀ロック・パフォーマンス賞を受賞した名曲である。 4枚目のロックスがピークだったと思っている僕にとっては80年代のエアロスミスは沈んでいた。ジョー・ペリーとブラッド・ウィットフォードが抜けたアルバムは聴く気がしなかった。 その二人が戻った「ダン・ウィズ・ミラーズ(1985年)」では、帰ってきた! と喜んだが「パーマネント・ヴァケイション(1987年)」や「パンプ(1989年)」の2枚が僕にとってのエアロ像から遠のいた気がしてパッとしなかった。しかし1993年、完全な復活を遂げ、エアロスミスらしさが戻ってきたのだ。スティーヴン・タイラーの1オクターブ低い静かなヴォーカルで始まり、盛り上がっていくところは何度聴いてもトリハダが立ってしまう。

  • エアロスミス
    ゲット・ア・グリップ ~ GET A GRIP
    Livin' on the Edge収録
    1993年4月20日(火)発売
    UNIVERSAL MUSIC JAPAN

5位 リメンバー ~ Remember[Walking in the Sand](Shadow Morton)

Remember[Walking in the Sand]、ロマンティックなこの曲、エアロのオリジナルではなくカバーである。1964年のザ・シャングリラス(The Shangri-las)という女の子4人の当時のアイドルグループのヒット曲です。ギターソロはジョー・ペリーで3連符を多用したスリリングな演奏が聴けます。

  • エアロスミス
    ナイト・イン・ザ・ラッツ ~ Night in the Ruts
    Remember収録
    1979年11月1日(木)発売
    Sony Music Entertainment(Japan)

実質上のデビューシングル。キーボードとクリーンなギターのイントロが、一度聞いたら忘れられないソリッドなロック。後半はディストーションのリフで盛り上がる。この曲でスティーヴン・タイラーのシャウトした音域の広さをみんな、思い知らされたよね。

3位~1位、黄金期のToys in the Atticから2曲ランクイン!

3位 Sweet Emotion ~ スウィート・エモーション(Tyler, Hamilton)

トム・ハミルトンの作曲だけあって、ライブではベースのイントロがトム・ミルトンのソロのような見せ場になっている。実際それがとてもカッコイイ。またジョー・ペリーがイントロで聞かせたトーキング・モジュレーターの音を「しゃべってるような、ギターの音!」と、とても不思議に思ったものだ。

5:16でジョー・ペリーがジミ・ヘンドリックスの「サード・ストーン・フロム・ザ・サン」のあの、有名なテーマ部分を弾いて観客を喜ばせている。

トーキング・モジュレーターのギターサウンドと言えば同じ頃1976年、ピーター・フランプトンが放った大ヒット曲「ショウ・ミー・ザ・ウェイ」でも聴ける。僕はこちらの方が先に耳に入ってきて、なんだこれ? と驚いたものだった。このエフェクターが欲しくて御茶ノ水の谷口楽器に探しに行ったら店員さんが「ホンモノより安い日本製のがあるよ」と出してきて見せてくれたのが多分マクソンのもので4万円以上していた。小学6年生の僕にはとても買える値段ではなかった。あきらめた。

ピーターフランプトンの「ショウ・ミー・ザ・ウェイ」も聴いてみてください

2位 Walk This Way ~ ウォーク・ディス・ウェイ(Tyler, Perry)

16ビートのドラムで始まり切れのいいギターが被さってくる、エアロスミスの中でもとても有名な曲でなんと2位に収まっていた。ラップグループ、Run-D.M.C.がカバーしMVにスティーヴン・タイラーとジョー・ペリーも出演し話題となったのだ。これがきっかけで、メンバーの出入りなどで低迷していた時期を乗り越えたのだ。去年のグラミー賞ではRun DMCとエアロスミスが共演を果たしていて微笑ましかった。

2:50あたりからスティーヴン・タイラーの客席上空での逆さ刷りパフォーマンスが見られる。この時スティーヴン・タイラー57歳、このショーマンシップ、すごいよね。

ガッツリと二人が出演しているRUN DMC版ウォーク・ディス・ウェイもご覧ください

1位 ミス・ア・シング ~ I Don't Want to Miss a Thing(Diane Warren)

やはり、知名度No.1のこの曲がここでも1位となりました。映画「アルマゲドン」いい映画だったね、ちょっと泣けました。MVでは映画の一部のリブ・タイラーも出てきて親子共演などと話題にもなった。話は逸れるけど書きたいから書く。リブ・タイラーの育ての父親はトッド・ラングレンである。一度別れた彼女が妊娠中に戻ってきて、何もかも承知の上で父親になっている。なのでリブ・タイラーは改名後もリブ・ラングレン・タイラーを名乗っている。トッド・ラングレン、人としてとても立派ですよね。ニュー・カーズ以外はあまり好きじゃないんだけど(そこ、言わなくていいだろ)。 ライブでの演奏もさすがのエアロスミス、完成度が高く会場の一体感がすごい。文句なしの名曲である。

  • エアロスミス
    ミス・ア・シング ~ I Don't Want to Miss a Thing
    Livin' on the Edge収録
    1998年9月1日(火)発売
    Sony Music Entertainment(Japan)

稀代のモンスターバンド、エアロスミス。2011年、多くの海外ミュージシャンが来日を延期・キャンセルした。そんな状況下、「日本のファンにできること」として震災からわずか8カ月後の11月、来日を決行し僕らを元気づけてくれた。だからこそ結成から半世紀近く経ってもなお、ファンを沸き立たせる。

このランキングで一気に聴ける再生リスト

洋楽対決 エアロスミス ベスト13

***

久しぶりなのでルールを知らない方もいらっしゃるでしょう。 アンケートのコメント欄を10文字以内に制限にしております。熱い想いの凝縮されたコメントをご紹介します。 また、マイナビニュース会員のページで「洋楽対決」のアンケートをほそぼそとスタートしますのでよろしくお願いします。

「観に行きました!」P.N.mmiki(福岡県43歳女性) 同様意見16名
けっこう、お若いのにライブに行ったなんて、スゴイ! いつのライブだったんでしょうね?

「古い歌が無い無視かよ」P.N.イソ・ジン(東京都62歳女性)
あれれ、むしろ初期に偏った選曲なんだけど?

「ミスアシングは名曲だ」P.N.はな(愛媛県47歳女性) 同様意見32名
不動の1位だろうね!

「タイラーlove!」P.N.ナシ(宮城県58歳女性) 同様意見3名
年を経るごとにカッコよくなってきた、と思うのは僕だけじゃないでしょう。ジョー・ペリーも渋くなってきたよね。

「エアロ大好きです!」P.N.ヒロ(愛知県38歳女性) 同様意見55名
この一言に集約されてる。

「爺さんになっても現役」P.N.ほくどん(北海道48歳男性) 同様意見12名
ホント、早くワールドツアー再開してほしい。でも今度見られるときがエアロスミスとしては最後なんでしょうね、さびしい。 また、マイナビニュース会員アンケートで「洋楽対決」のアンケートを細々と続けますのでよろしくお願いします。

「ブラッドウィットフォ」P.N.ナシ(神奈川県56歳男性)
多分、僕と同じブラッドファンの方でしょう。フルネームすら10文字では入らなかったようですが、下のヒト、ペンネーム欄がいくらでも入ると気づいたようで……

「ラスト・チャイルド」P.N.武道館雨男 ブラッド・ウィットフォードが好きって書けないじゃないか!(東京都50歳男性)
面白いペンネームの使い手さんが誕生しました。ペンネームは字数制限をかけてません。今後も期待します。

調査時期: 2020年11月14日~11月15日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 3,008名(男性2,276名 女性732名)
有効回答数:725
調査方法: インターネットログイン式アンケート