「捲土重来」という言葉をご存知でしょうか。

読めても意味は知らない、もしくは意味を知っていてもどう使っていいか分からない、という方も多いでしょう。

本記事では「捲土重来」の意味や読み方、正しい使い方・例文を紹介します。また、類語・対義語や英語表現についてもあわせて解説。ビジネスシーンで見かけたときに、慌てずに対応できるようにしておきましょう。

  • 手帳にメモを書き込む様子

    「捲土重来」という言葉について、詳しく見ていきましょう

捲土重来の意味

「捲土重来」とは、「一度勢力を失った者が、再び勢いを盛り返す」という意味で使われます。「捲」の字を「巻」と書いて「巻土重来」とする場合もありますが、どちらの場合も意味は同じです。

読み方は「けんどちょうらい」

捲土重来の読み方は「けんどちょうらい」です。一般的には「けんどちょうらい」と読みますが、「けんどじゅうらい」と読んでも間違いではありません。初見で読むのは難しいかもしれませんが、この機会にぜひ覚えてみてください。

  • 海にかかる橋

    まずは「捲土重来」の意味や読み方を覚えておきましょう

捲土重来の由来は中国の故事

「捲土重来」という言葉は、中国の杜牧の詩「烏江亭に題す」に由来します。「捲土」は土煙が巻き上がるという意味で、「重来」は再び来るという意味を表します。「捲土重来」の元々の意味は、巻き起こった土煙が再びやって来ることを表現した言葉です。

また、「捲土」は勢いが激しいことの例えとして使われることから、一度衰えた勢いを盛り返して軍が攻めてくることを「捲土重来」と表現していました。

  • ビルの下から空を眺めた様子

    「捲土重来」の由来を知りましょう

ビジネスにおける捲土重来の使い方と例文

「捲土重来」は、日常会話の中で多く使われる四字熟語というわけではありませんが、座右の銘として使われることが多くあります。また、ビジネスシーンにおいては報告文や提案文などの中で、難しい熟語の言い回しが使われることもあるので「捲土重来」についても意味と使い方をしっかり理解しておきましょう。

以下では、例文も交えながら「捲土重来」の使い方を紹介します。

捲土重来を果たす

「捲土重来を果たす」という言い方は、「捲土重来」が実現したときに使います。つまり、一度勢力を失っていた者が再興できたことを伝えるときの言い回しになります。

例えば、「前回のプレゼンにおける大失敗を踏まえ、今回彼は捲土重来を果たせた」という文章であれば、登場人物の今回のプレゼンが大成功に終わったことが分かります。

捲土重来を期す

「捲土重来を期す」とは、「捲土重来となることを期待している」という意味で使われます。そのため、これから巻き返しが起きることを期待して努力していくという場合に用いられます。

例えば、「前回プレゼンの失敗の問題分析を行ったうえで、捲土重来を期して次のプレゼンに臨む」という文章であれば、失敗から学び、次回の大成功に向けて努力している様子がうかがわれます。

  • 机の上の風景

    「捲土重来」という言葉をビジネス文書に交えてみましょう

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捲土重来の類語

「捲土重来」の類語や似た表現をいくつか紹介します。

起死回生

「捲土重来」の類語として、「起死回生」を覚えておきましょう。「捲土重来」を使った文章は、相手や状況に応じて「起死回生」で言い換えられます。

「起死回生」には、「絶望的な状況を立て直し、一挙に勢力を盛り返す」という意味があります。類語を知っていれば語彙力もアップし、ビジネスシーンで使える言葉も増えます。

「捲土重来を期して、次回プレゼンに備える」は、「起死回生を狙って、次回プレゼンに備える」と言い換えられます。

関連記事: 「起死回生」の意味とは? 使い方や例文、類義語・英語表現などを解説

臥薪嘗胆

「捲土重来」が「一度勢力を失った者が、再び勢いを盛り返す」という再起の意味を持つことから、「臥薪嘗胆」も似た言葉として挙げられることがあります。

「臥薪嘗胆」は「がしんしょうたん」と読み、「仇を討つためには自身が過酷な状況にあろうとも、その時が来るまで苦労を重ねることをいとわない」ことを意味します。

どちらも、一度勢力を失った上での巻き返しを図るという状況における表現です。ただし、「捲土重来」が再び勢いを盛り返すという行動にフォーカスが当てられているのに対し、「臥薪嘗胆」は苦しい状況に耐えている状態を強く連想させるため、シチュエーションに応じて使い分けるといいでしょう。

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捲土重来の対義語

「捲土重来」の対義語を覚えておけば、「捲土重来」との対比・比較文章を作成でき、表現の幅が広がります。ビジネスシーンでは、対義語を使って説明文を構成することも多いため、対義語の正しい使い方も覚えておきましょう。

ここでは、「捲土重来」の対義語の意味と使い方を紹介します。例文も参考にしながら対義語の使い方を理解しましょう。

一蹶不振

「一蹶不振」は「いっけつふしん」と読み、「一度の失敗で挫折し、二度と立ち上がれないこと」の意味があります。中国語に由来している四字熟語で、発音は異なりますが中国語でも同じ意味で通じます。

例えば、「一蹶不振、あんなに前向きだった彼も今回の失敗では浮上できないでいる」という文章であれば、「捲土重来を期して、彼は失敗にめげずに前へ進み続けた」の対義的な意味になります。

再起不能

「再起不能」には「失敗や挫折から、立ち直れない状態のこと」という意味があります。

対義語を知ることで、「今回の失敗で、彼は再起不能かと思われた。しかし、彼は捲土重来を期し、前を向いて進むことができた」のように対比する文章を作成できます。

  • さざ波の様子

    対義語をいくつか覚えて表現豊かな文章を作成しましょう

捲土重来の英語表現

「捲土重来」の意味を変えずに、英語で表現するためには、状況に応じた英単語を使えるようにしておく必要があります。

ここでは、「捲土重来」の持つ意味を表現するための英単語を紹介します。意味と使い方を考え、もっとも適当と考えられる英単語を選択して英文を作成しましょう。

make a comeback

「make a comeback」には「盛り返す」とか「再起する」「立ち直る」といった意味があります。「捲土重来」の「盛り返す」という部分の表現に用いることができます。

recoup

「recoup」には「取り戻す」という意味があります。「捲土重来」を使った文章で、「取り戻しているもの」を具体的にして英文にできます。

  • ビルに写る景色

    ビジネスシーンで使う言葉は、英語表現も一緒に覚えておきましょう

捲土重来の正しい使い方を覚えよう

「捲土重来」は難しい四字熟語ですが、ビジネスシーンで使われることもあるので、意味を知らないと話を理解できず困ってしまうこともあるかもしれません。

「捲土重来」が使われている文章に出会ったときに、読み方や内容がわからずに苦い思いをすることがないように、類語や対義語も含め、意味と使い方を理解しておきましょう。

また、自身でも「一度底まで落ちても巻き返してくる」ことを伝える際に率先して使ってみてください。