「起死回生」という言葉をご存じでしょうか。学生のときに授業で習ったまま、今まで使ったことがないという方も多いようです。ビジネスシーンにおいても、営業職のような売り上げ成績が問われる場面や、大きなプロジェクトを任された場面など、特定のシーンで使われています。

言葉は聞いたことがあっても意味をよく知らないという方もいます。ここでは起死回生の意味や使い方を解説していきます。また、類語や英語表現なども紹介しますので、しっかり理解したうえでビジネスに生かしていきましょう。

  • 「起死回生」の意味とは

    起死回生の意味や使い方、類語などを解説していきます

「起死回生」の意味とは

「起死回生」には「崩壊や敗北などの危機に直面した状態を一気によい方向に立て直すこと」「絶望的な状況を立て直し、一挙に勢いを盛り返すこと」といった意味があります。

「起死回生」という言葉は、例えばスポーツやビジネスで危機に直面したときなどによく使われています。ほとんど負けが確定しそうな状況から巻き返せるチャンスがきたときなどに、実況者が使っているのを聞いたことがある方もいるでしょう。

また、会社の危機に立ち向かうために対策を練って、「もうこれしかない」という一手を実行するときなどに使われています。

読み方は「きしかいせい」

「起死回生」の読み方は、「きしかいせい」です。四字熟語の中には読み方が難しいものもありますが、「起死回生」は見たままの読み方になるので、一度見れば簡単に覚えられるのではないでしょうか。ぜひこの機会に覚えてみてください。

「起死回生」の由来

元々、「起死」も「回生」も死人をよみがえらせるという意味があり、「瀕死の人間をよみがえらせる」というのが起死回生という言葉の由来です。

瀕死の人間をよみがえらせることはとても困難なことです。このような絶望的な状況から回復するという様子を、「危機的状況から挽回し成功する」という意味で表現しており、とても希望ある言葉となっています。

  • ビジネスシーンにおける「起死回生」の使い方・例文

    「起死回生」はスポーツやビジネスシーンでよく使われる言葉です

ビジネスシーンにおける「起死回生」の使い方・例文

それでは、ビジネスシーンにおいて、「起死回生」は具体的にどのような使い方になるのでしょうか。「起死回生」を使った例文を3つ紹介していきます。

起死回生を図る

「図る」とは「計画する」「企てる」といった意味合いがあるので、絶体絶命の状況からなんとか立て直すために画策する際などに「起死回生を図る」という表現を使います。

<例文>

  • 会社の業績が悪化しているため、起死回生を図る

起死回生の一手

「起死回生の一手」とは、もうこの方法しかないといったニュアンスで使われます。不利な場面で最終手段を出すときにこのような表現をします。

<例文>

  • 客足が遠のき、このままでは営業できなくなってしまうので、起死回生の一手を放った

起死回生の機会

例えば大事なプレゼンや営業先などで失敗してしまったときに、挽回する場が得られた、などというシチュエーションで使われます。大きな問題が起きてしまっても、それを取り戻すチャンスをつかんだときの表現です。

<例文>

  • 先日、営業先で失態をおかしてしまい、大事な取引先が失われる危機に陥ったが、先方との約束を取り付け、起死回生の機会が得られた
  • 「起死回生」の類義語

    「起死回生」の使い方を覚えて使ってみてください

「起死回生」の類義語

「起死回生」には同じような意味の四字熟語がいくつかあります。今回は「捲土重来」「一発逆転」「回生起死」の3つを紹介していきますので、それぞれのニュアンスや使い方を知り、シーンに合わせて正しく使いましょう。

捲土重来

こちらは、一度失敗した後に再び巻き返すという意味があり、一度は負けてしまっても、次は全力で勝ちに行くといったニュアンスで使われます。

<例文>

  • 前回のコンペではあちらの会社に負けてしまったが、今回は捲土重来を期したい

関連記事:捲土重来とは? 意味や読み方、由来、用例などを解説

一発逆転

こちらは、どうにもならないようなひどい状況を一気に覆すという意味で、どん底から這い上がるといったニュアンスで使われます。

<例文>

  • どの対応策も効果が出ず、誰もがあきらめかけていたが、課長の一言が一発逆転のカギとなった

回生起死

こちらは「起死回生」と同じ意味です。先ほど説明したとおり、同じ意味の熟語が合わさって四字熟語となっているので、「回生起死」も同じように使われます。

<例文>

  • このままでは経営破綻してしまうので、回生起死の策を講じた
  • 「起死回生」の対義語

    「起死回生」の類義語も覚えておくと便利です

「起死回生」の対義語

ここでは、「起死回生」と反対の意味合いを持つ対義語を紹介していきます。

再起不能

起死回生の対義語には「再起不能」という言葉があります。これは、以前の良い状態に戻れなかったり、挫折から立ち直れなかったりする様子のことをいいます。

例えば、「会社が銀行からの融資を打ち切られて立て直しが不可能となった状況」「営業で失敗が続き、精神的に立ち直れなくなってしまった」といった状況がこの言葉に当てはまります。シーンによって使い方はさまざまなので意味をよく理解し、正しく使いましょう。

  • 「起死回生」の英語表現

    「起死回生」の対義語には「再起不能」が挙げられます

「起死回生」の英語表現

起死回生の英語表現について、どのように使うのか例文も交えて解説します。シーンに合わせて使えるように把握しましょう。

epic recovery

直訳すると「壮大な回復」となり、崖っぷちからの回復というニュアンスで使われます。こちらは現代の起死回生の意味に近いため、ビジネスでも使えます。

<例文>

  • accelerate epic economic recovery  大規模な景気回復を速く実行してください

「起死回生」の意味や使い方を理解しよう

「起死回生」とは本来、死者をよみがえらせることを表す「起死」と「回生」が合わさったもので、より強い意味を持った熟語となりました。由来を知ると言葉に対する理解も変わってきます。

現代では崩壊しかけたものを立て直すという意味で使われており、スポーツでは、ほとんど負けだろうというときに最後の最後に逆転したといった場面でよく使われます。

人が死にかけるほどの大変な状況を脱するという元の意味からして、どん底から成功したときにぴったりの言葉です。

また、同じような意味の言葉もあるため、場面に合わせて使い分けましょう。対義語もセットで覚えておくとさらに理解が深まります。英語表現に関しては、直接的な表現が多いため、同じような意味の日本語を英語訳して使うと、ビジネスでも使えます。

営業成績が伸び悩んでいる、得意先で大きな失敗をしてしまったなど、窮地に立たされてしまったときは、この言葉を思い出して、「起死回生」の一手を講じましょう。