勝連城跡 一の曲輪~三の曲輪

いよいよ、世界遺産・勝連城跡へ。阿麻和利が住んでいた城として知られる勝連城跡は、5つの平場からできており、本州の城では「一の廓、二の廓」と呼ばれるところ、ここでは「曲輪」(くるわ)と呼ばれている。一の曲輪、二の曲輪、三の曲輪、四の曲輪で行われている催しを、ボランティアガイドさんの案内で体験することができた。

  • 一の曲輪に向かう石段は城を守る工夫が凝らされていた分、なかなか登るのは大変

標高約98mの高さにある「一の曲輪」は、北は金武湾を囲む北部の山々や太平洋側の島々、南は知念半島や中城湾、が中城城跡が一望できる眺望の良さ。当日は頭上に重たい雲があり、一種一緒独特のムードが漂っていた。そんな中、行われていたのが「沖縄伝統空手演武」。曇天の下、石垣に囲まれて向かい合う空手家2人の姿はまさに決闘のようであった。こんな場所で格闘技が行われたら選手も観客も相当興奮するはず。

  • 一の曲輪から望む360°の眺望は最高に気持ちがいい

  • 一の曲輪で行われた「沖縄伝統空手演武」はまるで劇画の世界のようだった

舎殿が存在したという「二の曲輪」は「絶景フォトスポット」として、「三の曲輪」はグランピング設備が用意されていた。いずれも当日は悪天候のため厳しい状況ではあったものの、通常の気候であれば心地良さは間違いないはず。一~三の曲輪それぞれ眺めがよく広く平坦な地面なので、今回のように各曲輪ごとにコンセプトを決めてイベントを行うのは非常に面白いと思った。

  • 舎殿が存在したという「二の曲輪」からの眺めはSNS映え間違いなし

  • 三の曲輪から見下ろした四の曲輪の様子。ワークショップや食事は特設テントの下で行われた

  • グランピング体験ができた「三の曲輪」

勝連城跡 四の曲輪でうるまのグルメを満喫

夕方になり、四の曲輪の特設テントへ。ここで、うるま市勝連平敷屋にある「宿&喫茶 アガリメージョー」が提供する「麦茶焙煎」を体験、飲むことができた。

  • 珍しい「麦茶焙煎」は香ばしく柔らかい甘みで体がポカポカになった

50年ぶりに栽培が復活した「伊計島小麦」を100%使用したもので、コーヒーのように焙煎した小麦で淹れてもらった“本気の麦茶”は、なんとも豊かな香ばしさで美味しかった。通常、麦茶では大麦を使うが、小麦を使っていることで柔らかい甘みがあるのが特長だ。ちなみに店名の「アガリメージョー」の由来について店主の眞榮里良人さんに訊いてみたところ、沖縄文化では、ミドルネームのような感じで屋号を重視するそうで、お店は実家を改装していることもあり、古き良き雰囲気を残して営業する上で、店名も眞榮里さんの屋号である「アガリメージョー」にしたそうだ。こんなところにも、沖縄・うるま市の脈々と受け継がれている文化を感じることができた。

夜になり、お待ちかねのディナータイム。「沖縄に対してのオマージュ(尊敬、敬意)」をテーマとして、うるまの食材を使った料理をご提供いただいた。勝連塩でA5・A4ランクの肉の味がより引き立った「究極のステーキ食べ比べ」、黄金芋のごはんに紅豚の炭火焼き、うるま産小麦と山芋の食感を合わせた「紅豚ライス丼」、「勝連もずくスープ」等、一品ごとに食材の味に創意工夫がなされたメニューは食べ応えがあって大満足だった。

  • 「沖縄に対してのオマージュ(尊敬、敬意)」をテーマとした料理はどれも地元食材に創意工夫がなされていて絶品だった

  • 沖縄ならではの料理「紅豚ライス丼」、「勝連もずくスープ」

  • 勝連塩でA5・A4ランクの肉の味がより引き立った「究極のステーキ食べ比べ」

また、「特産品開発プロジェクト」としてお土産にいただいた、豚皮を使った糖質ゼロのチップス「アンダカシー」と「くがにたまごバームクーヘン潮風味」は共に絶品。特に「アンダカシー」はビールのお供にバッチリ過ぎて、帰りの空港でお土産に買うほどハマってしまった。

中高生による演劇「龍神伝説・肝高の阿麻和利」

食事が終わり、いよいよ本日のメインイベントへ。うるま市の中高生による演劇「龍神伝説・肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)」が四の曲輪をステージとして行われた。開演前に登壇した演出の平田大一氏は、「“肝高”とは、困難があればあるほど、一致団結して乗り越えていこうという思いが込められています。昨年はコロナによって色んなものを失った1年でしたが、新しく多くのものを手に入れた1年でもありました。年明け早々にこの勝連城跡でみなさんと一緒に新たな肝高の思いを1つにしながら「勝連城フェス2021」を盛り上げたいと思います」と、観覧者を前に熱い思いを伝えた。

  • うるま市の中高生による演劇「龍神伝説・肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)」が四の曲輪をステージとして行われた

この日行われたのは、沖縄に古くから伝わる伝統芸能・組踊をベースに、現代音楽とダンスを取り入れて阿麻和利の半生を描いたもの。通常は2時間あるという演目をダイジェストで披露されたが、総勢100名以上もの出演者が勝連城跡の城壁を背に歌い踊る様は、まさに圧巻のひと言。こうした形で子どもたちが地元・うるま市の歴史を演じ、誇りに思う文化の素晴らしさに感動した。また、音楽はすべて主に中高生による生歌・生演奏で行われており、そのクオリティの高さに仰天。音響もとても良かったのが印象的だった。舞台が終わると、観覧エリアからは鳴りやまない万雷の拍手が贈られていた。こうして夜8時、「勝連城フェス2021」は幕を下ろした。

初めて訪れた勝連城跡だったが、そのスケール感と眺望の良さは他では体感できないもの。音楽フェスやグルメフェス、格闘技関連、謎解きイベントなどの舞台になれば面白いかもしれない。また、ドラマや映画、ミュージック・ビデオ等、映像での活用にも申し分のないスポットだ。気兼ねなく旅行に出かけられるようになった際には、みなさんも是非うるま市・勝連城跡を訪れてみてほしい。