東京でバリバリ働いていたキャリアOL。ふとしたことがきっかけとなり、沖縄への移住を決断した。その決断の裏側には何があったのか。実際に沖縄に移り住み、その後の生活はどのようなものなのか。この連載では、沖縄へ単身で移住をした著者が見た沖縄の魅力、移住者ならではの"想い"や"悩み"などを赤裸々につづっていく。

たまたま計画した沖縄旅行がはじまり

遡ること6年前。きっかけは友人と計画した沖縄旅行だった。それまでは、タイやマチュピチュなど、長期渡航先には海外を選んでいた。でも、書店でたまたま手に取った海の雑誌を見ているうちに、強烈な青さを放つ沖縄の海をこの目で確かめてみたくなった。珊瑚に囲まれ、たくさんの生物が生息する沖縄の海を体感してみたくなった。

なぜ、そのように思ったのだろうか。いま振り返ってみると、20代後半のその頃、仕事やプライベートにおいていろいろと迷いや悩みがあった。なので、とにかく自分で自分を元気にする方法を探していたような気がする。それで本能的に「これだ! 」と、沖縄の海にその可能性を見出したのかもしれない。

沖縄旅行までの1カ月間、週末は都内にあるダイビングショップに通い、最終的には伊豆の海でダイビングライセンスを取得した。ただ、水泳は得意なもののダイビング器材をうまく使いこなせず、ライセンス取得にはかなり苦労をした。さらに海況もいまいちで、透明度5m程度だった伊豆の海がとても怖かったのを覚えている。なので、海に対して恐怖心を抱いたまま沖縄旅行の日を迎えてしまった。

沖縄初のダイビングは慶良間諸島。その後は伊江島や石垣島、宮古島などで潜るようになった

沖縄の美しい海に魅せられたのが移住のきっかけに

そして、沖縄到着後初のダイビングへ。訪れたのは、慶良間諸島の黒島ポイント。海況は最高で、透明度も抜群。30m先まで気持ちいいくらいにスコーンと抜けていた。海に入る前まであった「海って怖い」という気持ちはあっという間に吹き飛び、むしろ生まれて初めて「あ~、地球ってとても美しかったんだ」と心の底から感激した。そんな沖縄の海も、「昔はもっとキレイだった」とよく耳にする。でも、私にとっては驚くほどの美ら海で、これは永遠に守らなければならないものだと思った。

以来、暇を見つけては沖縄で潜るようになった。家が羽田空港に近いのも、沖縄に行きやすい理由の1つだったかもしれない。慶良間諸島、伊江島、水納島、石垣島、宮古島。今ではその美しさも見慣れてしまったけれど、当時の私は興奮の連続だった。

当初、半年の一度訪れていた沖縄だったが、次第にその頻度を増していき、気が付けば2カ月に一度のペースに。もはや元気に働くために海に行っているのか、海に行くために元気に働いているのか正直わからない状態だった。

それほどまでに魅力的な沖縄の海。沖縄と私の絆の始まりだった。