• テレ玉の川原泰博社長

そんな『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』だが、ここ4~5年の間に“埼玉の奇祭”と呼ばれ、SNSを中心に大きく盛り上がるようになってきた。1月1日の放送中には、毎年Twitterの世界トレンドに入っており、「他県の方が、わざわざこの番組を見たいがために、県内のホテルに泊まっているという話も聞きますし、Twitterではアラビア語で書いた感想も見られます(笑)」と県外はおろか、グローバルに反響が寄せられている。

このきっかけを聞いてみると、「それが分からないんだよなあ」と困惑の様子。映画『翔んで埼玉』で埼玉が注目を集めたのは2019年だが、それ以前から注目を集めており、「考えられるのは、出場者の方のパフォーマンスがどんどんユニークになっているというのがあるかもしれませんね。昔は皆さん、直立不動で演歌を歌ってたんですけど、だんだんポップスが増えてきて、関係者がダンスを披露するようになっているので、外国の人が見ても楽しんでもらえるのは、ビジュアルの面もあると思います」と推測する。

しかし、政財界の重鎮が集まるイベントを“奇祭”とイジられることについては、どのように受け止めているのか。

恐る恐る聞いてみると、「『翔んで埼玉』でイジられてもあんまりムッとしない、埼玉人特有の逆手に取って自慢のネタにしちゃう気質がありますから(笑)」と、前向きに捉えているようだ。

■苦渋の延期も…全出場者145組の名場面特番

こうして、県を越えた多くの人が楽しみにしている『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』だが、2021年の放送は新型コロナウルスの影響のため、残念ながら延期となってしまった。

「準備がそれなりにかかるので、夏頃には延期を決めました。無観客など、いろんな案を考えたのですが、いずれにしても最悪の場合は中止にせざるを得なくなってしまう。それならば、今回は30回の記念大会だから、時間を置いて改めて開催することにしたんです」と決断。

その代わり、「29年もやってきたので、こういうときじゃないと振り返る番組はできないだろうと切り替えました」と、これまでの名場面を振り返る『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭 29年間の出演者すべて見せます!スペシャル』を、1月1日(19:00~21:30)に放送する。

この番組ではタイトルの通り、今までの全出場者145組をジャンルに分けて紹介。大野知事、清水勇人さいたま市長、高橋福八埼玉グランドホテル会長、福岡聡埼玉りそな銀行社長ら、県内政財界15人からの新春メッセージも登場する。

ゲストには、全回に出演している株式会社清水園の清水志摩子社長、親子三代にわたって29回出演という株式会社サイサンの川本武彦社長、そしてバンドマスターの岡宏さんを迎え、当時の思い出やエピソードを聞いていく。収録は、清水園で行われた。

  • 『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭 29年間の出演者すべて見せます!スペシャル』より(左から 荒木優里アナ、堀尾正明、清水園・清水志摩子社長、サイサン・川本武彦社長、バンドマスター・岡宏さん) (C)テレ玉

収録を振り返り、「やっぱり29年の歴史はすごいですね。亡くなられた出場者もいらっしゃいますし、若かりし頃の精悍(せいかん)な姿の方もいらっしゃいますし、この映像を見ると、本当に今の埼玉の礎を築くのに関わった方たちに出ていただいたんだなと思いました」と、あまりに壮観なラインナップに驚いたそうだ。

そして、次の歴史を作るべく、コロナが収束するのを願いたいところ。延期後の収録を想定している11月末は、大宮ソニックシティ(大ホール)が改修工事に入っているため、さいたま市文化センターでの開催を予定しており、「いつもと違う会場なので、また新たな形で2022年の元日に30回の記念大会ができれば」と意欲を示している。

●川原泰博
青山学院大学卒業後、1979年にテレビ埼玉入社。主に営業畑を歩み、11年取締役、18年専務、19年より社長。