日本ビジネスメール協会の「ビジネスメール実態調査2020」によると、平均的なビジネスパーソンは、1日に2時間29分をメールに費やし、平均50.12通を受信しているそうです。お互いに50通ものメールを受信しているからこそ、送信する際には読んでストレスのないメールの作成を心がけたいものです。

しかし、メールマナーの知識があやふやなままでは、知らぬうちに相手に不快な思いをさせてしまっているかも……。

そこで、本記事では気をつけたいメールマナーのポイントを説明します。あなたのメールはポイントに沿ったものになっているか、今一度チェックしてください。

  • メールの基本マナー【件名】編

    日本のビジネスパーソンは1日平均50通以上のメールを受け取っています

メールの基本マナー【件名】編

メールを受け取った時、最初に目に入るのが送信者名と件名です。普段から、開封するかどうかを件名で判断している方も多いでしょう。特に、重要なメールを送信した際に、開封を後回しされないためにも、件名には気をつけたいものです。

以下では、件名の作成時に押さえておくポイントを3つ説明します。

ポイント1. 件名に必要な要素を押さえる

件名の欄に、ただ一言「お礼」や「お知らせ」「次回のご連絡」と書いてあったのでは、メールを開封するまで内容を知ることができないために不親切です。かといって、件名が長すぎると、それはそれで用件が端的に伝わりません。

メールの件名は、以下の3点が伝わるように、コンパクトにまとめしょう。

  1. メールの目的
  2. 受信者に取ってほしい行動
  3. 取ってほしい行動の日時または期限

実際に例を用いて紹介します。

ケース1. 「研修会資料の確認を依頼したい」場合
1. メールの目的 :
 → 来月実施する研修会用の資料を作成したため、確認してほしい
2. 受信者に取ってほしい行動 :
 → 資料の内容を確認してほしい
3. 取ってほしい行動の日時または期限 :
 → 3月21日まで
OK例 : 研修会資料の確認依頼【期限 : 3/21】
NG例 : 来月実施予定の研修会に関する資料
 → ※NG理由 : 取ってほしい行動や期限が明記されていないため

ケース2. 「社内ネットワーク工事の希望日を確認したい」場合
1. メールの目的 :
 → 社内でニューラルネットワーク工事を行うため、希望日を個々人から集めたい
2. 受信者に取ってほしい行動 :
 → アンケートに回答してほしい
3. 取ってほしい行動の日時または期限 :
 → 4月17日まで
OK例 : 【回答期限 : 4月17日】社内ネットワーク工事希望日のアンケート
NG例 : 社内ネットワーク工事希望日のアンケートを実施します(回答期限は4日の17時までとなります)
 → ※NG理由 : 長いため、「回答期限」を見逃してしまう可能性がある

ポイント2. 【緊急】【重要】といった件名は大事なときにだけ使う

【至急】【重要】など、隅付き括弧を使った緊急通知や重要度通知は、目を引きつけます。そのため、どうしても今すぐに読んでほしい時に使いましょう。

〈緊急通知の例〉

【至急】健康アンケート - 1/10日まで

ただし、あまりに【緊急】【重要】の頻度が高いと、うるさく感じる人もいます。また、【要返信】と強制されることに不快を感じる人もいます。

〈人によってはうるさく感じてしまう例〉

【重要】総会資料作成のお願い【要返信】

隅付き括弧は、メールの早期開封を促すにあたって有効な手段です。だからこそ、使用する場合には、頻度を考えるようにしましょう。

ポイント3. 件名は重要な言葉を先頭に

近年、メールをPCではなくスマホで確認するケースも増えています。スマホでメールを確認する際には、表示される件名はPCよりも字数が少なくなりますよね。そのため、基本的にはメールの件名は、重要ワードを左に寄せるのがポイントです。

〈キーワードを左寄せした例〉

【2月6日13時より】緊急ミーティングのご連絡

おまけ : 返信のReはどうする?

先方のメールを読んで返事をしようと「返信」をクリックすると、件名に「Re : 」がついて、相手の件名がそのまま表示されます。この「Re : 」は消去すべきでしょうか? それとも残すべきでしょうか?

結論、残しても問題ありません。ただし、メールのやり取りがその後も続いた場合には、途中でとってしまったり、話題が変わった段階で件名を変えてしまったりしてもよいでしょう。

  • メールの基本マナー【件名】編

    メールマナーで大切なことは読み手にストレスを与えないことです

メールの基本マナー【宛名】編

メールを開封して最初に目に入るのが宛名です。宛名の書き方についてのマナーをここでは押さえておきましょう。「取引先」と「社内」では書き方が異なるため、注意が必要です。

取引先(社外)宛のメールでは宛名・役職を省略しない

取引先の担当者にメールを出す際の宛名の書き方は、組織名(会社名)⇒部署名⇒役職名⇒名前の順が基本です。

〈宛名の書き方例〉

○○株式会社
営業第一課 課長
A様

〈宛名が複数の時〉

○○株式会社
営業第一課
課長 A様
B様
C様

〈先方の名前がわからない時〉

メールを出す相手の名前がわからず、会社全体に向けて連絡するときは、「〇〇株式会社 〇〇部 ご担当者様」のように宛名を書きます。

○○株式会社
営業部 ご担当者様

社内宛のメールは社内ルールを確認

社内メールは基本的には「部署名⇒姓+ 役職」または「部署名⇒役職+ 姓+ 様」であるところがほとんどです。ただ、企業によっては役職をつけないところ、業種によっては「先生」を使うところなど、呼び方はさまざまであるため注意が必要です。

〈部署名⇒姓+ 役職の例〉

営業第一課 A課長

〈部署名⇒役職+ 姓+ 様の例〉

営業第一課 課長 A様

宛先は「To」だけでなく「Cc」と「Bcc」の使い分けも重要

メインの宛先(To)とは異なる送付先を指定する「Cc」と「Bcc」も、ビジネスシーンでは頻繁に使う機能です。以下では、CcとBccの機能をおさらいします。

Ccとは

Ccはカーボンコピー(Carbon Copy)の略で、カーボン紙に複写したように、まったく同じメールが宛先以外の場所にも届くという意味です。Ccを使うことで、Toの宛先とは別の宛先に送付できます。

Toでメインの相手を指定するのに対し、Ccはメインではないものの、そのメールを確認すべき、もしくは確認するのが好ましい相手……といったイメージで使用するとよいでしょう。

たとえば、クライアントとメールのやり取りをする際、同じチームで働いており、かつクライアントとの面識もある上司をCcに含めるようなケースがあります。

注意点として、Ccでの送付の場合には、メールを受信した全員がCcで指定した宛先の情報を確認できてしまうことを覚えておきましょう。

Bccとは

Bccはブラインドカーボンコピー(Blind Carbon Copy)の略で、メールをToで送った相手には知らせずに、別の担当者にも送信する方法です。

たとえば、クライアントとメールのやり取りをする際、同じチームで働いているものの、クライアントとの面識がない上司をBccに含めることで、「クライアントには知らせずに、上司にメールの内容を確認してもらう」といった使い方ができます。

  • メールの基本マナー【宛名】編

    メールの基本マナー【宛名】編

メールの基本マナー【本文】編

メールの本文は基本的な構成を押さえた上で、冗長にならないよう簡潔にまとめる必要があります。

本文の基本構成を押さえよう

ビジネスメールの本文は「宛名」「挨拶」から始まり、「締めの言葉」「署名」で終わるのが基本の形です。

内容 文例
宛名 (会社名)(役職)(相手の名前)様
挨拶 お世話になっております。
名乗り (会社名)の(自分の名前)です。
要旨 次回のお打ち合わせの詳細についてご相談いたします。
詳細 ・下記のとおりアジェンダをお知らせいたします。など
締めの挨拶 以上、よろしくお願いいたします。
署名 会社名、部署名、名前(難読の場合よみがな)郵便番号、住所、電話番号、FAX番号、メールアドレス、ウェブサイトURLなど

文章は箇条書きなどを用いてわかりやすくする

本文は5W1H(いつ・どこで・だれが・何を・なぜ・どのように)を意識して簡潔にまとめましょう。

長い文章は読みにくく伝わりにくい可能性があるため、適度なところで改行を入れたり、箇条書きを用いたりして、一文一文を短くしましょう。

シーンに応じてメールを使い分けよう

ビジネスでは、内容によって件名や本文の使い分けが必要です。「挨拶メール」や「謝罪メール」など、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

添付ファイルがある場合のマナー

メールにファイルを添付するときは、まず、ファイルの容量やセキュリティ対策に配慮が必要です。重要なファイルにはパスワードを設定し、容量が大きいファイルを添付する場合は、圧縮したり、オンラインストレージを利用したりするといいでしょう。

メールの本文には添付ファイルがある旨、およびファイル名、ファイルの内容、添付しているファイル数を記載しましょう。

メールの基本マナー【署名】編

メールの最後には署名を入れます。ビジネスにおける基本的な署名の要素は下記になります。

  • 会社・所属部署
  • 肩書き・名前
  • 会社住所
  • 電話・FAX番号
  • メールアドレス
  • 会社ウェブサイトURL

会社に署名のテンプレートが用意されていれば、それをベースにカスタマイズするといいでしょう。

メールテンプレートでチェックポイントを確かめよう

ここでは、メールテンプレートと、送付時にチェックしたいポイントを紹介します。

(1)全体のバランス 見やすいか?
(2)メールの目的は明確か? 一読で理解できるか?
(3)簡潔・明瞭か? 失礼にならずに削れる部分はないか?
(4)結びのあいさつは適切か? 前向きで次につながる内容か?
(5)送信前に宛先をチェック To、Cc、Bccの宛先は正しいか

例 : 電話で商談の日程を決めた後、日時を最終確認するためのメールを送付する場合

件名 : 商談日程の確認

〇〇商事
資材管理課 Z様

平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
〇〇社 営業部第一課の〇〇です。

このたびはお忙しい中お時間を割いていただく由、誠にありがとうございます。

弊社製造企画部の△△と私で、2日木曜日午前10時に貴社オフィスにお伺いします。

もしご送付した資料以外にお持ちすべきものがございましたら、ご連絡ください。

当日は何卒宜しくお願い致します。

〇〇社営業部第一課
〇〇(氏名)

全体のバランス

見た目の読みやすさをチェックします。段落を変えて適度にスペースを作り、少しでも見やすくしましょう。自分のメールは相手の時間を使っているという意識を持ち、相手の時間とストレスを少しでも軽減することを心掛けます。

メールの目的は明確か?

メールのわかりやすさをチェックします。流し読みしただけで要点が把握できるかどうかがポイントです。以下の2点に配慮してください。

  • 件名を読んだだけでメールの目的がわかるか
  • 用件は1つにしぼられているか

簡潔・明瞭か?

どうしたら失礼にならない範囲で、無駄な言葉を省いてコンパクトにできるかを考えましょう。

結びのあいさつは適切か?

用件の記載が終わったら、結びの挨拶を書きましょう。「宜しくお願い致します」に加えて、テンプレートのように「もし~があれば、ご連絡ください」などと記載するのもよいでしょう。

送信前に宛先をチェック

誤送信をしないように、メール送信前にTo、Cc、Bccの宛先が正しいか今一度チェックしましょう。

  • メールテンプレートでチェックポイントを確かめよう

    メールはビジネスの最重要ツールのひとつだからこそ、マナーには気をつけたいですね

メールマナーは基本を知っておけば大丈夫

ビジネスをスムーズにすすめていくためには、いくつか踏まえておかなければならないルールがあります。メールマナーもそのルールのひとつです。

メールマナーで何よりも心がけることは、自分のメールは相手の時間を使っているということを忘れないことです。「マナーなんてわずらわしい」「なんでそうしなければならないのかわからない」と感じる人もいるかもしれませんが、お互いが気持ちよく仕事をするためには、細かな気配りも重要です。

メールを出すときは今一度、「自分がそのメールを受け取ったらどう感じるか」という視点で読み返すことをおすすめします。