なかなか終焉しないコロナ禍の中、住宅取得に不安を持つ方も多いと聞きます。また、現在住宅ローンを返済している方の中にも不安を感じる方もあるのではないでしょうか。今回のコロナ禍で私たちは思わぬリスクの存在を実感しました。当然ながら、今後はそうしたリスクにも日ごろから備えると共に、何かしらの問題が発生した、発生しそうと感じた際の対処の方法を考えておきたいものです。

  • 「住宅購入、失敗したかも」と思ったら

今回は、住宅購入に関するさまざまの不具合により、失敗だと感じた後の対処に焦点を当てて対策を考えてみましょう。これから購入される際の参考にもなります。

住宅購入の失敗例のいろいろと対策

最初に、失敗だと思う事例をいくつか考えてみましょう。人によって失敗だと感じる点は様々でしょうが、こんなケースもあるというように参考にしてください。

住宅ローンが支払えない、支払いが厳しい

最もポピュラーなこのケースは、とりわけ早期の対処が必要となるケースです。支払えないことが差し迫っている場合は直ちに金融機関と相談し、返済期間の延長による月々の返済額の削減などを相談し、それで立て直せるかを早急に判断します。無理とわかれば売却するしかありません。物件が有利に貸し出せ、自分たちは親の持家などを使わせてもらえるケースなどは一時的に賃貸に出して、生活を立て直せることもないわけではありません。

同時に生活を絞って、不測の事態にも強い家計とすることが必要です。そもそもローン返済に窮する事態に陥った理由は収入が少なくなった際のリスク管理ができていなかったか、そもそも生活が広がり、分相応でないローンを組んだ等だと思われるので、その部分の改善も直ちに取り掛かることが大切です。かなり思い切った生活改善が必要なはずです。

金融機関と相談する際にも、生活立て直しの意欲と計画性が問われるはずです。返済方法変更の可否や変更の際の金融機関の基準はあるとは思いますが、人を見る面も実際はあるのです。

対応が遅れるほど立て直しは難しくなりますので、思い切った生活の断捨離ができるかにかかっています。

転勤・転職で、これから先、住む可能性が無くなった

これはもう売却しかないようにも思いますが、買い替えのために売却する必要があるケースでないときは、子供の世代に引き継ぐことも考慮に入れて、その間賃貸で物件としてつなぐことも考えられないわけではありません。立地が良く、敷地も広く、潜在的な資産価値も高い場合は、手放すばかりが最良とは限りません。

環境が悪かった

住まい探しにリサーチは必須ですが、入居後に不適切な施設や店ができたというケースもあるかもしれません。喘息やアレルギー関連の疾患などで、転居が必要となることも考えられます。子供の学校での人間環境がうまくいかないケースなどもあるでしょう。

いろいろな事情があると思うので一般論ではなかなか論じることはできません。お金以上に重要なこともあるので、個々のケースで天秤にかけるしかありません。ただ一つ言えることは、健康第一で喘息などは一生付き合うことになるケースもあり、早めの決断が求められます。

また子供にとって、そこが故郷になるということです。住まい選びは子供の故郷選びでもあるのです。子供にとってふるさとは非常に大切だと思っています。早めに決断すれば、転居先が子供の故郷になりえるかもしれません。

間取りが使いにくい

子供が予定より増えたり、親を引き取ったりして部屋数が少なくなる場合はよくあります。また昨今はコロナ禍により在宅ワークになったことにより、住まいが使いにくいと実感した方も多いと思います。他に問題がなければ、リフォームや家具の工夫で解決できないとも限りません。

このケースは町中のリフォーム業者よりは、実績のある建築士に相談してみましょう。リフォームなどで解決するのが難しそうなのに依頼することに気がさすのであれば、相談料だけを支払って可能性を判断してもらっても良いでしょう。餅は餅屋です。よい案が示されないとも限りません。

対策は即座に着手が被害を少なくする最良の方法

住まいの購入が失敗だったと感じたら、即座に対策のための行動を起こすことが最善の方法です。時間がたてばたつほど、ダメージを大きくするばかりです。対策と言っても選択肢はいくつもありません。判断する上で、売却や賃貸の際の諸費用と税金をまとめておきます。

住まいの売却の際に必要な費用

住まいを譲渡する際にも意外に多くの費用が掛かります。特に仲介手数料は下記の表のとおり計算すると、売却価格3,000万円に対して105万6,000円にもなります。

また、売却にリフォームが必要な場合もありますが、仲介業者の言いなりにリフォームするのは避けたいものです。仲介業者はリフォームも扱っている場合も多く、その分も利益になります。少なくともリフォーム業者への斡旋料は上乗せされます。売値も高くなるので、その分仲介手数料も高くなるので、必ずリフォームを勧められます。どうしてもリフォームする際は自分で業者を探して行う方が安く済みます。ただしリフォーム分高く売れるとは限りません。

不動産を譲渡する際に生じる譲渡益には不動産譲渡所得税がかかります。ただし、マイホームの譲渡の際はいろいろな特例があります。売却の際に買換えるのか否か、売却の際に損失があるか否かで適用特例が異なります。譲渡益がある場合は(1)または(2)を選択します。譲渡損が発生する場合は(3)を利用します。買換えない場合は(1)を買換えの場合は(1)と(2)の有利な方を選択します。

  • 住まいの売却諸費用

貸し出す場合の検討事項

まず、近所の不動産会社で家賃の相場を確認します。その12カ月分が収入となります。ただし、駅前等の条件の良い立地であっても、入居者が急に退去して、次の入居が年度替わりの3月というケースもあり、実際の収支予測をする際には、立地条件に応じて、80~90%程度の収入で算定します。主な支出は下記の費用のとおりですが、所得税や住宅ローンの返済額は経費として認められません。

  • 住まいを貸し出す場合の諸費用・税金

住宅ローンの月々の返済額のうち、経費として認められるのは利子相当分のみです。その代わり、減価償却費が経費として組み込めます。実際の収入は意外と少ない上に、所得税は給与に加えて相当な額になります。また所得が増えれば所得税だけでなく、住民税や健康保険料の額にも影響します。さらに家賃保証を利用する場合は、12カ月分の収入はフルに見込めますが、保証料は家賃の10%~15%程かかります。

本来はここに挙げた対処方法は、住まいという高額の出費に際して事前に検討しておくべき内容なのです。マイホームを買うときは、事前に同程度条件の物件がいくらで貸し出せるかの調査などは是非行ってください。立地が良いということは、資産が目減りせず、有利に貸したり売却したりできます。またそうした物件は近くにスーパーもレストランも多く、高齢になっても住みやすい環境です。

もちろん他の環境や要素もありますが、個々に天秤にかけて判断するしかありません。事前の調査がリスクを少なくし、また問題発生と感じた後の即座の対処行動が被害を少なくする最良の方法です。