『恋あた』では、主人公・井上樹木役の森七菜の演技に刺激を受けているという。「七菜ちゃんは樹木と似ている部分がたくさんあり、本当に自由で、七菜ちゃん自身も天井がなくて、アドリブを続けるとなったらいつまでもいろんな種類のアドリブが役のテンションのままできる。最初はびっくりしましたが、その自由さに刺激をもらって、私も自然と七菜ちゃんのアクションに応えられるようになってきました」

森とのシーンで特に印象に残っているのは、「樹木が浅羽社長の写真を消すシーン」とのこと。「あのときの七菜ちゃんのお芝居が素晴らしくて、本当に親友としてどうにかしてあげたい、何とか苦しい気持ちを救ってあげたいという気持ちになったので、すごく印象に残っています。役に入り込めたし、七菜ちゃんのお芝居が好きだなと改めて思いました」

樹木の話を聞くだけでなく、背中を押す言葉をかけたり、「こんな親友がいてくれたら」と思う理想の親友像であるスー。古川は「まさに自分がほしい友達を演じているので、そう思っていただけたらすごくうれしいです」とにっこり。

浅羽社長役の中村倫也との共演では、本番とそれ以外のスイッチの切り替えに驚いたそう。「演じているときはかっこいい浅羽社長ですが、演じていないときは不思議な空気感。芝居をしているときの浅羽のクールな感じとのギャップが素敵だなと思いますし、『本番』という声がかかるまで素の自分でいらっしゃるので、スイッチの切り替えがはっきりしている方なんだなと思いました」と語った。

自粛期間中に磨いた技術をすべて注ぎ込んで挑んだ『エール』と『恋あた』でまた、それぞれに女優として学ぶべきものがあったという。

『エール』では窪田と二階堂の姿がお手本に。「窪田さんとふみさんのお芝居や、スタッフさんと関係を間近で見られたことはとても勉強になりました。お二人とも役への愛情や責任感が強く、スタッフの方との連携がしっかりとれていて、自分の役に対する思いをみなさんと共有できているなと感じました。私も、役に対してもっと責任を持たなければいけないと気が引き締まりました」

そして、『恋あた』ではやはり、主演の森からの刺激が大きいようで、「七菜ちゃんの自由なお芝居に刺激を受けて、私も自由に演じることができるようになりました」と話し、「七菜ちゃんは本当にのびのびと演技をされるので一緒に撮影していてずっと楽しいです」と演じる楽しさも改めて実感しているようだ。

古川の女優人生において大きな節目になるであろう2020年。自身としても「すごくいい年になった。注目していただけるようになったこともそうですが、やっと地に足がついたというか、いろんな準備ができた年だと思っています」と捉えている。

将来的には「海外作品にも出られたら」との思いも。学生時代に英語劇のサークルに入っていたように海外への意識が強いようで、「30歳までにきっかけがあればいいなと思いまっています」とチャンスを狙っている。「語学はまだまだ勉強しないといけない」とのことだが、英語劇の経験や、『恋あた』での中国語の猛特訓も生かされそうだ。

■古川琴音
1996年10月25日生まれ、神奈川県出身。2018年、沖縄市のPR動画の主演オーディションに合格してデビュー。その後、ドラマ『義母と娘のブルース』(TBS)、『部活、好きじゃなきゃダメですか?』(日本テレビ)、『凪のお暇』(TBS)、『いとしのニーナ』(フジテレビ)、映画『春』、『チワワちゃん』、『十二人の死にたい子どもたち』などに出演。JTのCM「想うた」シリーズも話題に。NHK連続テレビ小説『エール』で主人公の娘・華役、TBS系ドラマ『この恋あたためますか』で主人公の親友である中国人の“スー”こと李思涵役を演じ、話題を呼んでいる。

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