――続いて第2章(Episode4~6)「交錯する物語 -The Divergence-」の見どころをお尋ねします。ベリアルが"闇"の力で邪悪な存在になる以前の時代を描くストーリーとのことですが、昔からのウルトラマンファンにとっては『ウルトラマンタロウ』(1973年)の第25話「燃えろ!ウルトラ6兄弟」の劇中でゾフィーから語られたという「エンペラ星人率いる怪獣軍団と戦った、若き日のウルトラの父」の物語を想起してしまいます。

ウルトラマンベリアルが『ウルトラ銀河伝説』で初登場したとき、ウルトラの父、ウルトラの母との関係が一部語られました。あれから10年、いまだに人気の高いキャラクターとなったウルトラマンベリアルの魅力をさらに高めていくにはどうしたらいいか……と考えて、ベリアルがレイブラッドと同化した状態ではなく、若きウルトラの父(ケン)や母(マリー)と共に怪獣軍団と戦っていた"過去"の姿を描こうという話になったんです。アーリーベリアルが『ウルトラ銀河伝説』や『ウルトラマンジード』以来、ひさびさに活躍します。現在のベリアルを思わせるような描写もあったりして、ベリアルのルーツとは何か?を探るようなお話を期待していてください。

――もうひとりの"闇のウルトラマン"トレギアの過去の姿も描かれるそうですね。

僕は『ウルトラマンタイガ』(2019年)には参加していなかったので、トレギアを演出するのは『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』が初めてでしたが、彼もまたいろいろと描いていきたい部分があるように思えました。ベリアルとトレギアは同じ"悪"のウルトラマンといっても、性格が両極端と言っていいと思います。両者の違いをはっきり打ち出して、それぞれ今と異なる一面を見せていくことで、今後どうなっていくかの可能性が見いだせるのではないかと思っています。

――第3章(Episode7~10)「明かされし野望 -The Appearance-」は、もっとも現代に近い時系列でのストーリーになりそうですね。こちらの見どころを教えてください。

時系列的には『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(2020年)と『ウルトラマンZ』テレビシリーズ(2020年)の中間に位置するエピソードです。トライスクワッド(タイガ、タイタス、フーマ)とウルトラマンゼロが新しい戦いに向けて新チームを結成するのですが、映画やテレビシリーズにつながるような要素をいくつか入れ込んでいます。コアなウルトラマンファンであればあるほど楽しめるような作品を目指しました。ゼロやタイガのことを詳しく知らない方でも「彼らのことをもっと知りたい」と思って映画やテレビシリーズを観たくなってくれたら、最高にうれしいですね。

――アニメーション作品の『ザ☆ウルトラマン』(1979年)で活躍したウルトラマンジョーニアスが、アニメのイメージそのままのたたずまいでアクションをしているPV映像には衝撃を受けました。また、ウルトラマンシリーズの「外伝」というべき雑誌企画『ウルトラ超伝説』(小学館てれびくん)で初登場し、1983年にはテレビシリーズも作られた『アンドロメロス』の登場にも驚かされましたね。

ジョーニアスは足木さんが大好きなキャラクターでして、どうしても出したい!と熱をこめていらっしゃいました。「ウルトラマンフェスティバル2019」のウルトラライブステージでもジョーニアスが活躍して話題を集めましたから、今回もかっこいいアクションをいろいろ用意しています。せっかく登場させるのですから、"見せ場"がちゃんと用意されていますので、こちらも期待していてください。

アンドロメロスについては、まずメロスの「敵」から入りましたね。僕が『ウルトラファイトビクトリー』(新ウルトラマン列伝/2015年)を手がけた際、メロスの敵「ジュダ」が登場し、続く『ウルトラマンX』(2015年)では「ギナ」「モルド」が出てきました。このとき、プロデューサー(製作統括)の岡崎聖さんから『アンドロメロス』についての"教育"を受けまして(笑)、メロスとはどういう存在なのかをはっきりと認識しました。「ウルトラマンフェスティバル2017」のライブステージでメロスが出てきたのを見たとき、いつか自分の作品にも出してみたいと思っていました。

――実写特撮映像としてアンドロメロスが登場するのは、それこそ1983年のテレビシリーズ以来かと思われます。

『アンドロメロス』のアクション全般は、『仮面ライダー』(1号~ZX)シリーズで知られる大野剣友会のみなさんが担当されています。今回もそのアクションのイメージを大事にしていて、メロスだけはどこか「昭和」のヒーロー作品独特の"見栄"を感じさせる演出を施しています。内山まもる先生の『ザ・ウルトラマン』と同じく、居村眞二先生の描かれたコミック『ウルトラ超伝説』『アンドロ超戦士』(小学館てれびくん)を愛するファンの方もたくさんいらっしゃいますから、みなさんに喜んでいただけるようなメロスの活躍をお見せしたいですね。

――『ウルトラマン』(1966年)で初代ウルトラマンを倒した宇宙恐竜ゼットンは、後に映画やゲーム、ライブステージなどでハイパーゼットン、EXゼットン、ゼットンバルタン星人といった多くのバリエーションを生み出しましたが、今回はそれらが「ゼットン軍団」として一斉に襲ってくるそうですね。このゼットン軍団というアイデアはどういうところから出てきたのでしょうか。

ウルトラマンがたくさん出てくる作品ですから、敵もよほど強い奴でなければ、お話を盛り上げることができません。今度の敵をどうしようかと考えているとき、数あるゼットンのバリエーションが一気に集まったらどうなるか?という発想から、ゼットン軍団のアイデアが誕生したんです。ゼットンは最強、というイメージが強いですから、出現しただけでウルトラマンが危ない!という気持ちになります。それが軍団となって襲ってくるのですから、ウルトラマンが束になってかかってもどうなるかわからない……作品のクライマックスにふさわしい強敵ですよね。