――それでは各章の見どころを具体的にうかがっていきましょう。まずは第1章(Episode1~3)「動き出す陰謀 -The Biginning-」から。「ギャラクシーレスキューフォース」の精鋭で、ウルトラマンタロウからも絶大なる信頼を得ているウルトラマンリブットが、前作に引き続き活躍するとのことですが、今回はリブットの"過去"が描かれるそうですね。
第1章は、リブットがギャラクシーレスキューフォースに入る前のお話です。文明監視員だったリブットが、どうしてギャラクシーレスキューフォースに入ることになったのか、その経緯が描かれます。ここでは、リブットとはどんなウルトラマンなのかが詳しく語られ、日本のファンのみなさんにリブットのことをさらに深く知ってもらえるようなストーリーになっています。僕たちの夢として、ウルトラマンリブットをこれから、『ウルトラギャラクシーファイト』の看板を背負って世界で勝負できるような、大きなキャラクターになってほしいという願いがあります。現在放送中の『ウルトラマンZ』(2020年)に代表されるテレビシリーズのラインとは別に位置する『ウルトラギャラクシーファイト』の"顔"になってもらいたくて、大事に育てていこうと考えています。
――歴代ウルトラヒーローが大結集して怪獣軍団に立ち向かうアクション展開や、ウルトラマン同士で繰り広げられるドラマ、そしてテレビでは見られないウルトラマンが活躍する部分などは、70~80年代に子どもたちの人気を集めた内山まもる先生のコミック『ザ・ウルトラマン』(小学館)が時を経て豪華な「映像作品」となって甦ったような思いを抱いてしまいます。
僕は内山先生の『ザ・ウルトラマン』を少年時代に読んで育ったので、あのような「大勢のウルトラマンが活躍するスペースオペラ」といった内容の作品をずっと作りたいと思っていました。2009年に『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』でその夢が実現し、さらに『ウルトラギャラクシーファイト』という形でさらにスケールを広げることができたのは、とてもうれしいです。
――リブットと共に怪獣と戦うウルトラヒーローには、ウルトラマンマックス、ウルトラマンG(グレート)、ウルトラマン80(エイティ)といった、比較的めずらしい顔ぶれがいるようです。こちらのキャスティングについては、どのような意図があるのでしょう。
『ウルトラマン80』(1980年)は今年で40周年、『ウルトラマンマックス』(2005年)は15周年、『ウルトラマンG』(1990年)は30周年と、第1章ではメモリアルイヤーを迎えたウルトラヒーローを"祝う"という狙いもあるんです。初登場したのが1995年(パイロット版製作)のウルトラマンネオスとウルトラセブン21(ツーワン)も誕生25周年ですね。数多くいるウルトラマンひとりひとりに再びスポットを当て、じっくり出番を作るというのは、よほどのきっかけがないと実現しえないことです。しかし『ウルトラギャラクシーファイト』というコンテンツならそれが可能ではないか、ということで、かつて作品タイトルを背負って活躍していた歴代ウルトラマンたちの魅力を再発見してもらって、ふたたび人気を高めてほしいという思いを込めてキャスティングしました。ウルトラマンコスモスやウルトラマンジャスティスにも、ちゃんと見せ場を設けていますので、みなさんの"推し"ウルトラマンの活躍を楽しみにしてほしいです。
――オーストラリア製作のグレート、アメリカ製作のパワードは、他の国産ウルトラマンとファイトスタイルが異なっているのが特徴ですが、そういった部分も踏襲されているのでしょうか?
グレートには空手の有段者がスーツアクターを務めていたこともあって、空手が動きの基本となっていますね。パワードでは、アメリカのスタッフが"東洋の神秘"を意識してか、相撲の"押し出し"などを組み入れた独特な動きをつけていました。『ウルトラマンパワード』(1993年)の撮影が行われていた同じころ、僕はアメリカで『Guyver: Dark Hero』(1994年日本公開)のアクション監督を務めていて、撮影場所がすぐ近くだったんです。たまたま日本人スタッフが僕の現場へ遊びに来ていて、「いま、あそこでウルトラマンの撮影やってますよ」と教えてもらって驚いたことがあります(笑)。後にビデオで『パワード』を観たら「ああ、アメリカのスタッフはウルトラマンのアクションをこういう風に解釈するんだな」と思いましたね。グレートもパワードも独自のスタイルを持っていますから、彼らの特徴的な雰囲気や動きはキープしつつ、現代風にアレンジしたアクションを、殺陣の岡野弘之さんと相談しながら演出しています。