2020年9月5日から東京ドームシティ Gallery AaMo(東京都文京区)にて、展覧会「特撮のDNA-ウルトラマン Genealogy」が開催されている。

「特撮のDNA」とは日本の「特撮」映像作品をテーマにした展覧会で、これまで『ゴジラ』と東宝特撮映画、そして『ガメラ』と大映(現:角川)特撮映画をテーマに開催され、累計13万人以上を動員した。

今回の「特撮のDNA―ウルトラマン Genealogy」は、円谷プロが作り出した国産特撮ヒーローの人気シリーズ「ウルトラマン」シリーズの"系譜(ジニオロジー)"をテーマとし、昭和、平成、令和と三つの時代にまたがって子どもから大人まで幅広い年齢層の心をつかみ続ける「ウルトラマン」シリーズ、そして円谷プロがこれまでに生み出してきた特撮テレビ作品にまつわる貴重な資料――撮影に使用されたヒーローのマスクや現存するミニチュアモデル、デザイン画、精密に再現されたレプリカなど――が展示された。

「特撮のDNA-ウルトラマン Genealogy」入口を抜けると、歴代ウルトラヒーローたちがズラリと並んだパネルがお出迎え。開催を記念して、シリーズ各作品にゆかりの深いゲストによるサインが記されている。

2021年公開予定の注目作『シン・ウルトラマン』のスタチュー(石像)。企画・脚本を手がける庵野秀明氏が、初代ウルトラマンをデザインした成田亨氏の思いを尊重し、"シンプルなウルトラマン像"を突き詰めた意匠が示されている。

会場内は、歴代ウルトラヒーローの立像が居並ぶ円形のステージを中心に置き、円谷プロの第1回製作作品『ウルトラQ』から始まる特撮テレビ作品の歴史を、ショーケース展示でめぐるようになっている。撮影用小道具、ヒーローのマスクなどを前、横、後ろなどさまざまな方向から見られるような配慮がうれしい。

中央ステージでは、初代『ウルトラマン』から最新ヒーローの『ウルトラマンZ』まで50年以上にわたって活躍し続ける歴代ウルトラヒーローが観客を見守っている。一定の時間が過ぎるとステージ奥からスモークが発生し、音(ウルトラマン戦闘BGM)と光のエフェクトが観客を魅了する。

54年以上の歳月を経てなお新たな輝きを放ち続ける国産特撮テレビドラマの金字塔『ウルトラQ』(1966年)からは、「ペギラが来た!」の雪上車、「五郎とゴロー」のミルク缶、「宇宙からの贈りもの」のナメゴンの目玉、「2020年の挑戦」の遊園地コーヒーカップ、「SOS富士山」の青年タケル、「あけてくれ!」のロマンスカーといった、超貴重なミニチュアが展示された。

空想特撮シリーズ『ウルトラマン』(1966年)より。当時のミニチュアモデルの型を使って精密再現したジェットビートルや、現存するウルトラマンのブーツなどが目をひく。壁面にはAタイプ、Bタイプ、Cタイプといったウルトラマンの"顔"の変遷がわかるマスク展示が行われた。

科学特捜隊の隊員服と、装備一式。隊員服はハヤタ隊員、ヘルメットはフジ隊員が劇中で使用していたもの。専用銃スーパーガンも当時の小道具だという。流星バッジ(通信機)、スパイダーショット、ベータカプセルは当時の小道具を忠実に再現した精密なレプリカである。

手前にあるのは「さらばウルトラマン」でゼットン星人が乗ってきた円盤(母船)。そして「怪獣墓場」で使用されたウルトラマン・ロケット(上部のみ)。奥は「遊星から来た兄弟」でザラブ星人が化けたニセ・ウルトラマンのレプリカ。悪らつそうな顔つきがすばらしい。

ウルトラマンの活動時間を示すカラータイマーのギミックは「機電」の第一人者・倉方茂雄氏によるもの。表面のドームは透明アクリルで作られ、中に青や赤のセロハンを入れかえることで色の変化を表現したという。

第1話「ウルトラ作戦第一号」の竜ヶ森湖セットで行われた第3回マスコミ撮影会の模様をアメリカのメディア「STARS AND STRIPES(星条旗新聞)」が取材した写真が公開された。ウルトラマンを愛する者ならひと目見ておきたい珠玉のレアスチール写真群。ぜひお見逃しなく!

『快獣ブースカ』(1966年)は『ウルトラマン』と同時期に円谷プロが製作した特撮コメディドラマの傑作。会場にはブースカと並んで写真を撮ることのできる絶好のフォトスポットが設置されているほか、ブー冠、巨大ラーメンどんぶり、ブースカのしっぽ、地底戦車など、劇中で使用された貴重な小道具を展示。

『ウルトラセブン』(1967年)からは、Aタイプマスクレプリカ、ウルトラ警備隊隊員服一式(アンヌ隊員用)、カプセル怪獣ウインダム頭部レプリカのほか、最終タイプマスク、ウルトラセブン飛行シーン用3尺モデル、ウルトラホーク1号ミニチュア(3尺モデル)レプリカ、ウルトラアイなどが展示されている。

『帰ってきたウルトラマン』(1971年)ではウルトラマンのマスク(撮影用オリジナル)、飛行シーン用モデル、MAT隊員服(丘隊員用)、MATヘルメット(南隊員用)、ウルトラブレスレット、マットシュートなどの小道具類が展示。

『ウルトラマンA(エース)』(1972年)ではウルトラマンエースやウルトラの父のマスク、タックアローミニチュア、TAC隊員服(北斗隊員用)、TACガンなどを展示。ウルトラの父のマスクのツノの巨大さに改めて驚かされる。

『ウルトラマンタロウ』(1973年)では、ウルトラマンタロウのマスクと、登場シーンに使用された巨大な手のモデルがインパクト大。ZATのメカ、コンドル1号やラビットパンダのミニチュア(撮影用オリジナル)、そしてウルトラの父、ウルトラの母のマスクなどが展示された。『タロウ』と『A』では、ウルトラの父のマスクの形状が異なることに気づかされる。会場ではぜひ両者を見比べてほしいところだ。ウルトラの母は史上初の女性ウルトラマン(ウルトラウーマン)であるため、いかにもあたたかい母性を感じさせる穏やかな表情のマスクが作られていることがわかる。父と母に挟まれている幼少時代のタロウは、1984年の映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』のために作られたマスクのレプリカである。

『ウルトラマンレオ』(1974年)ではウルトラマンレオのマスク(撮影用オリジナル)、レオの弟アストラ、伝説の超人ウルトラマンキングのマスクのほか、MAC隊員服やヘルメット(撮影用オリジナル)や、現存するレオスーツを保存するためマネキンを芯にスーツを補強した「胸像」が展示された。

『ウルトラマンレオ』第34話「ウルトラ兄弟永遠の誓い」に登場した、ボール怪獣セブンガーのデザイン画(デザイン:大澤哲三)。初公開となる激レア案件を、ぜひ肉眼で確かめてもらいたい。『ウルトラマンZ』での活躍でセブンガーのファンになった方たちにもおすすめといえる。

『ウルトラマン80(エイティ)』(1980年)ではウルトラマン80(撮影用オリジナル)とユリアン(レプリカ)のマスクや、UGM隊員服、ヘルメット、ライザーガンに加え、UGM戦闘機スカイハイヤー、シルバーガルのミニチュアも展示。

第47話「魔のグローブ 落し物にご用心!!」でウルトラマン80が怪獣グロブスクに行った攻撃法「ダイナマイトボール」のために、発砲スチロールで作られた80のモデル。約40年前のものでありながら、保存状態の良さに驚かされる。

『ウルトラマンG(グレート)』(1990年)はオーストラリアのスタッフで製作されたウルトラマンシリーズ。ウルトラマングレートのマスクに加えて、変身アイテムのデルタプラズマー、UMAガン、UMA隊員服、戦闘機ハマーのミニチュア、そしてウルトラマングレートの操演用ミニチュアモデルなどを展示。当初、怪獣と同じくウルトラマンもパペット(人形操り)で表現されようとしていたが、力強いヒーロー性を打ち出すべく、従来のスーツアクションの分量が大幅に増えたそうだ。

『ウルトラマンパワード』(1993年)は、アメリカ・ハリウッドのスタッフが製作するウルトラマンとして話題を集めた。日本からは三池敏夫氏、樋口真嗣氏が応援に向かい、小道具やミニチュアセットのクオリティアップに貢献している。パワードの胸像には三池氏によるサインが入っている。他にはWINR隊員服、ストライクビートルのミニチュア、変身アイテム・フラッシュプリズム、カラータイマーなど、珍しい小道具・アイテムを展示した。

『ウルトラマンティガ』(1996年)に始まる「平成ウルトラマン」シリーズの展示も充実。『ティガ』ではGUTSのライドメカ・ガッツウイング1号、2号のミニチュア(撮影用オリジナル)をはじめ、ウルトラマンティガの変身用(パース付)モデル、変身アイテム・スパークレンスを展示。このほか『ウルトラマンダイナ』(1997年)、『ウルトラマンガイア』(1998年)、『ウルトラマンマックス』(2005年)『ウルトラマンゼロ』(2009年初登場)関連の小道具展示も行われた。

『マイティジャック』(1968年)『戦え!マイティジャック』(1968年)で活躍した万能戦艦MJ号(マイティ号)をはじめとするメカニック群。すべて撮影用オリジナルモデルを修復したものを展示。

『アンドロメロス』(1983年)は『ウルトラマン80』終了直後の1981年から小学館の雑誌で展開した「ウルトラマン外伝」というべきユニークな企画で、1983年には待望のテレビ化を果たした。アンドロメロス、アンドロウルフ、アンドロフロルのマスク(撮影用オリジナル)に加え、アンドロマルスの飛行シーン人形が展示された。

ウルトラマンシリーズ以外の特撮ヒーロー作品の展示も目をひく。『ミラーマン』(1971年)からはミラーマンマスク(レプリカ)をはじめ、アトラクション用マスク、SGM専用銃ソルガン、インベーダーの銃などを展示。

子ども向けバラエティ番組『おはよう!こどもショー』の1コーナーとして製作された『レッドマン』(1972年)から、レッドマンのマスク(撮影用オリジナル)。

等身大アクションの面白さを追求した『トリプルファイター』(1972年)からは、グリーンファイター、レッドファイター、オレンジファイター、3人が合体して誕生するトリプルファイターのマスクを展示。いずれも撮影用オリジナルマスクだが、オレンジファイターのみオリジナルの型から複製したレプリカマスクとなった。

円谷プロ創立10周年記念作品『ファイヤーマン』(1973年)ではファイヤーマンの通常版マスクとアトラクション用マスクの2種、そしてSAF専用銃、ファイヤーブレスレットを展示。撮影用オリジナルの小道具類はいくら見ても飽きない魅力に満ちている。

『ジャンボーグA(エース)』(1973年)より、ジャンボーグAのマスク(撮影用オリジナル)とジャンボーグ9(ナイン)のマスク(アップショット用)。ジャンボーグ9に変身する乗用車ジャンカーZのミニチュアモデル、そしてPAT専用銃や通信機といった小道具が展示された。

他にも『電光超人グリッドマン』(1993年)関連のミニチュア展示や、挿絵画家・梶田達二氏が遺した数々のウルトラ怪獣・ヒーローたちのダイナミックなイラスト画稿や、『SFドラマ 猿の軍団』(1974年)やビデオ版「平成ウルトラセブン」をはじめとする円谷プロ作品の宣伝ポスターが壁面に並んでおり、見ごたえは抜群。ここで紹介していない展示物にも目を見張るものが多数あり、その全容は会場で直接確かめるしかない。

各所に設置されたフォトスポットでは、円谷ヒーローと一緒に記念写真を撮ることができる。また、物販コーナーでは資料性の高い「図録」「パンフレット」や、ここでしか手に入らない限定オフィシャルグッズを取り揃えているという。

「特撮のDNA―ウルトラマン Genealogy」は9月5日から10月18日まで、東京ドームシティGallery AaMoにて開催。

(C)円谷プロ
(C)円谷プロ (C)ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京
(C)円谷プロ (C)2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
(C)円谷プロ (C)Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi (C)ULTRAMAN製作委員会