俳優の片岡鶴太郎が、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00~)に室町幕府の執務を取り仕切る幕府政所頭人・摂津晴門役で出演。18日放送の第28回「新しき幕府」で初登場し、悪役ぶりが早くも話題に。サブタイトルに摂津の名前を用いた25日放送の第29回「摂津晴門の計略」を前に、“室町幕府のラスボス”に片岡を起用した理由や現場でのやりとりについてチーフ演出の大原拓氏に聞いた。

  • 『麒麟がくる』摂津晴門役の片岡鶴太郎

片岡が演じるのは、室町幕府の執務を取り仕切る幕府政所頭人・摂津晴門。幕府の存続を第一に考える保守的な人物で、織田信長(染谷将太)とともに上洛した明智光秀(長谷川博己)と幕府のありようをめぐって、ことあるごとに対立する。

初登場した第28回では、信長が岐阜城に戻っている間に、三好の軍勢が義昭の御座所である本国寺を襲撃する事件が発生。駆け付けた信長は、すぐに連絡してこなかった幕府政所頭人・摂津晴門に激怒した。摂津は動揺しながら弁明し、「お許しくださりませ」と謝罪。だが、裏で「織田信長め! 成り上がりの分際で、満座でわしに恥をかかせおった。今に見ておれ、一泡吹かせて見せようぞ」と信長への怒りをあらわにする場面があった。

SNS上では「摂津晴門役の片岡鶴太郎さん、ド安定の悪そうな演技」「摂津晴門…悪そう、怖そうだね」「摂津晴門の悪そうな顔。来週も楽しみです」などと、早くも悪役ぶりに反響があった。

大原氏は、片岡の起用理由について「鶴太郎さんとは10年近くご一緒して演出させていただいているんですけど、その都度変えてくれる。コメディの部分とシリアスな部分を巧に使い分けることができるというのが鶴太郎さんに演じてもらいたかったところ」と説明。「基本的にはシリアスな部分、そこに常に何か裏があるという風に見せていきたいと、鶴太郎さんと話しました」と語った。

続けて、「鶴太郎さんは『軍師官兵衛』でもご一緒し、そのときは変わり身の早いどっちつかずな優柔不断な要素を演じていただきましたが、今回は優柔不断さは一切必要なく、『とにかく悪いんです、あなたは』という一言だけ」と、2014年に放送された大河ドラマ『軍師官兵衛』での小寺政職役と比較しつつ、摂津のキャラクターを解説。

とはいえ、「悪いというのをストレートにやりすぎると単調になってしまう」と大原氏。「悪いというのを前面に出しつつ、小芝居を含めていろんな表情・表現をしていただきたいというのがあった」と言い、「それが特に28回は、じとっとした感じがありつつ、怯えたり、ぎらついたり、表現が実は3~4個ある。そういった要素を積み重ねていくというのをお願いしている」と明かした。

そして、「これからもそうですが、とにかく悪いですから。『この人悪いよね』、『全部この人だよね』という感じが出てくる。古き幕府。信長や光秀は、壊して改革していく。その“壊されてたまるか”という古き摂津晴門を楽しんでいただけたら。守ろうとするとする人々は絶対いるわけで、摂津や旧幕府がそういった要素になっていく。それがしばらくずっと続きます」と語った。

片岡自身は「光秀をどういじめていくか、どのような策略の中で光秀を動揺させるか、そして視聴者のみなさんにも『嫌なヤツだな』と思っていただけるか。官僚的な頭の良さと、エリートのプライドで、光秀をこれからどんどん追い込んでいきます。やはり悪役がいないと、ヒーローは輝きませんからね。憎たらしいキャラクターを演じたいと思います。晴門の、さげすんだ眼つきや顔つきにも是非注目してご覧ください」とコメントしている。

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