睡眠は心身の疲労を回復し、翌日を活発に過ごすために重要です。睡眠の質によって日々の生活や仕事のパフォーマンスが左右されます。

大人になってから昼寝はあまりしないという方も多いかもしれませんが、昼寝をうまく利用することで午後の時間をより有意義に過ごすことができます。実際、仕事の効率アップのために昼寝を導入している企業もあるほどです。

この記事では、昼寝の効果と正しい昼寝の方法をご紹介します。

昼寝の効果とは

昼寝には、仕事や学業に役立つさまざまな効果があります。

NASAによる昼寝(仮眠)の研究では認知能力や注意力が上がったという結果もあるほか、世界でトップクラスの企業でも仮眠スペースを設けたり昼寝の時間をつくったりと仮眠を推奨しています。

判断力・集中力・理解力の向上

夜遅い時間に、眠気と闘いながら作業をして普段しないようなミスをしてしまった経験はないでしょうか? 実は、夜中と同様、日中の午後2~4時の時間帯もミスが増えやすい時間帯だと言われています。

睡眠不足や眠気が強い状態では、判断力や集中力、記憶力、理解力などが低下してしまいます。最近では、学習効率アップを期待して、昼寝を導入した小学校や中学校、高校も増えて生きています。

作業効率の向上

昼寝によって、外部からの情報をいったんシャットアウトすることで脳がリフレッシュされ、その後の作業効率が上がることが期待できます。日頃の疲れによって、午前から作業効率が悪いと感じたときは、一度昼寝を挟んで心身をリフレッシュさせるとよいでしょう。

創造的思考力の向上

仕事では斬新なアイデアや自由な発想といった創造的思考力も求められることがあります。創造的思考力を発揮するには、脳がリフレッシュした状態でしっかり集中できることが重要です。昼寝によって働き過ぎた脳の状態をいったんリセットすることで、創造的思考力をアップさせられます。

適切な昼寝の方法とは

適切な昼寝をとることで昼寝の効果を最大限発揮させることができます。反対に、長時間眠るといった良くない昼寝をしてしまうと、心身のパフォーマンスが落ちてしまうことも。適切な昼寝の方法を知って日々の生活や仕事、学業に活かしましょう。

昼寝に適した時間は15分から30分前後まで

昼寝の時間は15分から30分程度がよいといわれています。

昼寝の質には、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という2つの睡眠状態が大きくかかわっています。レム睡眠では脳が働いている状態に、ノンレム睡眠は脳が休んでいる状態になります。

寝始めはノンレム睡眠の状態になります。ノンレム睡眠の最初の5分ほどは、浅い眠りが続きます。その後、眠りが深まっていきます。このタイミングで目覚めると、眠気や倦怠感が残り、昼寝をした効果が感じにくくなります。そこで、深い眠りに入り切る前の、しかし脳はある程度休息できた「15分程度」で起きるのがよいのです。

人によって、寝つくまでの時間や眠りが深まる速さは異なるため、15~30分程度の昼寝をとってみて、自分に最適な昼寝時間を確かめましょう。

14時以降の昼寝は極力避ける

昼寝するときは、長さだけでなくタイミングにも気をつけましょう。

14時を過ぎてからの昼寝をすると、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、夜の寝つきが悪くなってしまうことがあります。通常は夕方ごろに、リラックスモードの副交感神経が優位に働くことで、徐々に眠る準備ができていきますが、14時過ぎに眠ってしまうと、眠りによって普段よりも早く副交感神経が働くようになり、リズムが崩れてしまうのです。

そのため、14時以降は多少の眠気であれば昼寝をしないようにしましょう。

昼寝の効果を高めるパワーナップとは

昼寝の効果が注目を浴びるとともに「パワーナップ」という言葉も耳にするようになりました。パワーナップとは、短時間で効果が出る日中の睡眠のことです。

カフェインの力を借りて寝起きを良くする

パワーナップでは、カフェインの脳を覚醒させる効果を昼寝に活用することが多いです。 カフェインが体内に吸収されるのは摂取してから約30分後だとされています。

そこで、15分間の昼寝をする場合は寝る15分前くらいにコーヒーや紅茶、緑茶といったカフェインを含む飲み物を飲みましょう。そうすると、ちょうど起きるころにカフェインの覚醒効果が出てすっきり目覚めることができます。

こちらも注目 : 午後の眠気を吹き飛ばし、作業効率を上げるコーヒーナップって?

長時間寝ないようにアラームをかける

長時間の睡眠は体の負担になります。昼寝も同様で、長時間昼寝をすると心身に悪影響を及ぼすことがあります。たとえば、90分以上の昼寝をする習慣があると脳卒中を起こす可能性が高まるという研究結果もあるようです(※)。

これまで解説してきたように、昼寝は適切に行うことで良い効果が得られます。そこで、長時間昼寝してしまわないように、パワーナップの前にアラームをかけておくのがおすすめです。15~30分程度の時間でアラームが鳴るようにセットしておけば、寝過ぎを心配せずに安心して眠れますね。

座った状態で眠る

夜眠るときのように横になって昼寝をすると、完全な睡眠状態に入ってしまい、30分以内に起きられなかったり起きた後に頭がぼんやりしてしまったりします。パワーナップを行う際は、自分のデスクや休憩スペースなどで座った状態でうつ伏せになって寝るようにしましょう。座った状態で眠りづらい場合は座って眠る用のクッションなどを活用するのもおすすめです。

眠りの前後にストレッチを取り入れる

午前中の仕事などで、知らず知らずのうちに体が緊張し、硬くなっていることがあります。眠る前に軽くストレッチをしておくと心身がリラックスし、パワーナップの質が高まります。職場で本格的なストレッチをするのが難しければ、座ったまま腕を上に気持ちよく伸ばすだけでも違います。

目覚めた後に頭がぼんやりしていたら、パワーナップ後もストレッチをしましょう。血行がよくなって脳に酸素が行き渡り、頭がスッキリしてくるはずです。

眠りやすい環境を整える

夜の睡眠ほど気にする必要はありませんが、光は音が気になってパワーナップができない場合はアイマスクをしたり耳栓をしたりして落ち着く環境をつくりましょう。

また、体を拘束するようなものがあると眠りの質を下げるので、腕時計やネクタイ、アクセサリーを外したり、可能であればベルトを緩めたり靴を脱いだりするのがおすすめです。

パフォーマンスを上げるために正しい方法で昼寝をしましょう

昼寝は、正しい方法で行うことで良い効果が得られます。しかし、長時間眠るなどの間違った昼寝の方法を続けると、心身に悪い影響を及ぼす可能性もあります。

また、どんなに質の高い昼寝がとれていたとしても、夜更かしして睡眠不足だったりするとあまり意味がありません。夜の就寝時間、朝の起床時間をなるべくそろえるようにし、十分な睡眠時間を確保してください。

正しい昼寝の方法を実践し、仕事や生活のパフォーマンスを上げましょう。

参照 : (※)HealthDay : Sleeping Too Long Might Raise Stroke Risk