日差しの強い時期に活躍する「サングラス」。サングラスにファッションアイテムとしてのイメージを持つ人も多いかもしれませんが、サングラスは目の健康や目の日焼け対策には重要なアイテムです。

そこで今回は、メガネブランド「Zoff」 広報の野澤さんに、紫外線対策としてのサングラスの有用性についてお話をうかがいました。

  • 紫外線対策としての「サングラスの選び方」をZoffに聞いた【フレーム品番 / 左: ZC241G02_14E1、右: ZC241G01_49A1(各5,500円)】

■目の日焼けは、疲労感や目の病気などを引き起こす要因になる可能性も

━━目の日焼けは、瞳や体にどのような影響があるのでしょうか。

野澤さん: 紫外線が目に入ると、「活性酸素(フリーラジカル)」が発生し、角膜上皮に炎症が起こると言われています。角膜の上皮の部分には神経の末端が存在していますが、炎症の刺激は、末梢神経の一つである「三叉(さんさ)神経」から脳の視床下部や下垂体系を伝わって行きます。すると、プロオピオメラコルチン系が活性化され、血中にメラニン細胞刺激ホルモンが放出、全身でメラニン形成を増強するという医学的な報告があります。

あと、日焼けをして具体的に体で感じるものは、「疲労感」です。暖かい日に公園で1日中遊んだりピクニックをしたり、または海に行ったりすると体が疲れますが、それは角膜組織の炎症に対応するため、体が防御反応を示しているからなんです。

さらに、紫外線で発症リスクが増加する目の病気も存在します。たとえば、白目に黄色いシミのようなものができる「瞼裂斑(けんれつはん)」という病気です。また、目の結膜の部分が角膜の方に三角状に入り込んでくる「翼状片(よくじょうへん)」という病気もありますし、水晶体自体が濁ったり、かすんだりする「白内障」という病気の発症リスクも増えるといわれています。

これらの病気は、紫外線が蓄積していくことが原因と思われますので、日ごろからサングラスや紫外線カットのメガネなどを着用した方がいいですね。

━━目の日焼けは、晴れた日だけ対策すればいいですか。それとも、曇りの日や雨の日も必要でしょうか。

野澤さん: 紫外線は、晴れた日だけでなく曇りの日なども降り注いでいると言われています。気象庁が出している「UVインデックス」は、紫外線が体に及ぼす度合いを指標化したものですが、晴れの日や快晴の日を10割とした時、薄曇りの日でも8〜9割くらいあるんです。

曇っていても紫外線の量はそこまで大きく変わらないので、対策はした方がいいですね。また、雨が降っている日でも晴れの日の3割ぐらいあるので、年中対策していても損はないです。

たとえば、紫外線カット効果のある黄色いレンズやピンク色のレンズのサングラスなら、曇り空で外が暗い時でも、周りを明るく見せてくれて同時に紫外線もカットしてくれますよ。

  • 曇天などで外が暗い日は、黄色やピンク色のレンズのサングラスを着用すると視界を明るくしてくれる【フレーム品番 / ZA201012-14E1(6,600円 ※セットレンズ代込)、レンズカラー: LEMON YELLOW40F(3,300円)】

━━大人と同様、子どもも目の日焼けには対策が必要ですよね。

野澤さん: はい、子どもの紫外線対策もとても大切です。WHOなどの公的機関からは、「生涯で受ける紫外線量の大半が、18歳までに浴びたものである」と指摘されているくらいですので。子どもは外で遊ぶ時間が多いですが、小さい頃からサングラスなどで紫外線対策をしておくと、目の病気のリスクを減らすことができます。

ちなみにZoffでは、子ども用メガネフレームにUVカットのカラーレンズなどを組み合わせる形で、子ども用サングラスを販売しています。

  • Zoffでは、子ども用のメガネフレームにカラーレンズを組み合わせて購入可能【フレーム品番 / 左: ZA242010_64F1、右: ZA242010_44E1(各8,800円 ※セットレンズ代込)】

野澤さん: 他には、帽子もおすすめです。つばがある程度広い帽子であれば、3〜5割くらいの紫外線が防げますので、外遊びをする時は帽子が有効ですね。

紫外線は、皮膚から浴びる分には骨の成長などに必要な部分もありますが、目から浴びる紫外線には特にメリットがないと言われています。そういった意味で、外遊びは子どもにとって必要ですが、「目から入る紫外線への対策」は、早いうちからしておいていいと思います。

■紫外線を防ぐには、大きめで顔のカーブにフィットしたサングラスが適切

━━サングラスを着用することで、どのくらい紫外線をカットできるのでしょうか。

野澤さん: たとえば、レンズのUVカット率が99.999%や100%のものなら、正面からの紫外線はほぼ防げます。

あとは、紫外線はサングラスの隙間からも入ってきますので、しっかり目を覆う大きいサングラスならより紫外線を防げますね。

  • 紫外線を防ぐなら、しっかりと目を覆うサイズのサングラスがおすすめ【フレーム品番 / ZC241G02_14E1(5,500円)】

また、レンズの裏側を反射して紫外線が目に入る場合もあるんです。それに対しては、「裏面UV反射防止コート」というコートが付いているレンズもあるので、そういったものであればより目に紫外線を浴びるのを防げます。

ちなみに、通常のメガネでもある程度の紫外線をカットしてくれるものもありますので、その場合は、メガネをかけることで一定の紫外線を防止する対策にはなると思います。Zoffの場合、通常のメガネでも94%以上紫外線をカットするレンズになっています。

━━紫外線対策を目的とする時、サングラスのレンズカラー、レンズ機能、形状などはどのようなものを選べばいいですか。

野澤さん: 先ほど、「しっかり目を覆うものがいい」という話があったように、サングラスの形状は、レンズの面積が広くて、かつ顔のカーブの形にフィットしているフレームが紫外線対策には適しています。また、レンズ機能としては、これも先ほど出てきた「裏面UV反射防止コート」が付いているレンズが最適です。

つまり、レンズの裏表どちらからもUVを防いでくれて、かつ顔のカーブに沿っていてレンズの大きいものが最も紫外線を予防してくれます。

レンズカラーは、濃い色のレンズですと目に光が届きにくくなりますので、まぶしさという点では濃いレンズのほうが軽減されます。が、色が濃いと、どうしても瞳孔が開いてしまい、結果的に紫外線が目に入りやすい状態になってしまうんです。

それでも、両面で紫外線をカットしてくれるレンズや、顔の形に沿ったサングラスであれば、レンズの色が濃くても薄くても紫外線に対応してくれるので、そういったものを選ぶのが適切と言えますね。

━━古いサングラスでもUVカット効果は得られますか。

野澤さん: サングラスやメガネは、壊れなければずっと使い続けてしまいがちですよね。でも、数年前に買ったものですと、UVカットのコーティングが剥がれてしまい、購入時と同じ紫外線カット効果が得られないこともありますので、定期的な買い替えが必要です。

管理方法や使い方、素材によっても変わりますが、普通のメガネもサングラスも、フレーム、レンズともに2〜3年くらいが寿命の目安と言われています。

■「レンズの色の濃さ」と「紫外線カット率」はイコールではない

━━クリアレンズと色付きレンズで、紫外線カット効果に差はありますか。

野澤さん: 「レンズの色の濃さ」と「紫外線のカット率」というのは、実は全く関係がないんです。どれだけ紫外線を透過するかを表した数値を「紫外線透過率」と言いますが、色の濃さに関係なく、それぞれのレンズの紫外線透過率で、紫外線のカット効果は変わります。

ですので、クリアレンズで透明だけど「紫外線カット率100%」というものもあるんです。

  • クリアレンズで紫外線カット率100%のUVクリアサングラス【フレーム品番 / ZF232G01_14E1(1万1,000円)】

  • 本商品は裏面UV反射防止コートが施されているので、反射した紫外線も防ぐことが可能

ただ一方で、レンズに色が付いていないとまぶしさを防ぐことはできません。紫外線対策はレンズの「紫外線透過率」、まぶしさ対策はレンズの「色」がポイントということですね。

まぶしさをカットしたいのに、「まぶしさ=紫外線」と勘違いして、紫外線カット率だけ見てレンズカラーを気にせず買ってしまうと、まぶしさはカットされず期待外れ…となってしまうこともあります。まぶしさを防ぐ「防眩(ぼうげん)効果」と「UVカット」は違いますので、そこは注意したい点ですね。

━━「サングラス」と「UVカットメガネ」の違いについて教えてください。

野澤さん: サングラスというのは、一般的には「まぶしさを軽減する、濃い色付きのレンズのもの」を指しています。一方、UVカットメガネは「紫外線をカットするメガネ」という意味合いがあります。

実際は言い方の違いでほとんど用途の差はありませんが、光のまぶしさを軽減したいのであればサングラス、紫外線をカットしたいのであればUVカットメガネを選ぶといいと思います。

ただ、サングラスの中にはUVカット効果のないものも稀にありますので、UV対策でサングラスを買う場合は、UVカット効果があるのかきちんと確認しましょう。

━━UVカット効果が同じだとした時、サングラスとUVカットメガネは、どのように使い分けるのがおすすめですか。

野澤さん: サングラスを「色付きでUVカットするもの」、UVカットメガネを「色付きではなくUVカットするメガネ」だとした場合、外を歩く時は、色付きでまぶしさもUVも防いでくれるサングラスがおすすめです。

一方、部屋の中に入るなどして、サングラスとしての用途が必要なくなった時は、UVカットメガネで充分だと思います。室内でも、ガラスを通して紫外線は入ってきますし、蛍光灯からも微量の紫外線は出ているんです。それらも敏感に予防したいなら、UVカットメガネを室内でかけるのがいいですね。あとは、車の中もUVカットメガネがおすすめです。