「夜中に目が覚める」「眠りが浅い」「目覚めがスッキリしない」「日中眠くなる」など、十分な時間寝たつもりでも眠りが浅く、寝た気がしなかったことはないでしょうか?

質の高い睡眠は、健康で元気に過ごすために不可欠です。この記事では「ぐっすり眠れない」という悩みがある方のために、眠りが浅い原因と対処方法をご紹介します。

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「眠りが浅い状態」ではすぐ起きてしまう

そもそも「眠りが浅い」とは、どのような状態なのでしょうか。

実は、眠りが深い/浅いことと睡眠時間はあまり関係がありません。睡眠時間が長くても眠りが浅い場合もあれば、睡眠時間が短くても眠りが深くスッキリと目覚められる場合もあります。実際、いつもより長く寝たのに疲労感が抜けなかった経験、短時間の睡眠だったのに頭と体がスッキリした経験がある方も多いのではないでしょうか?

眠りの深い/浅いに関係しているのは、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」です。ヒトは、眠っている間にレム睡眠とノンレム睡眠の2つの睡眠状態を繰り返しています。簡単に言うと「脳は働いているけど、体は眠っている状態」がレム睡眠、「脳も体も休んでいる状態」がノンレム睡眠です。

眠りが浅いとノンレム睡眠の時間が短くなり脳と体がしっかり休めないため、十分な時間寝ていたとしても「眠りが浅い」と感じることがあります。

レム睡眠とノンレム睡眠とは

ノンレム睡眠とレム睡眠は、通常、一晩で4~5回ほど繰り返されます。

特に深い眠りとなるのが、1周目のノンレム睡眠です。1周目のノンレム睡眠では、脳から「成長ホルモン」が分泌されます。成長ホルモンは、子どもだけでなく大人にも重要なホルモンで、疲労回復やホルモンバランスの調整に役立ちます。深い眠りをとることで、この成長ホルモンが正常に分泌されると、寝ている間に脳や体の疲れが解消されます。

しかし、寝始めたころの睡眠の質が悪いと1周目のノンレム睡眠の効果が減少してしまいます。

ノンレム睡眠とレム睡眠は、一般的に90~120分ごとに繰り返されます。2つの睡眠状態のサイクルを一晩で4~5回、バランスよく繰り返すには、6~8時間程度の睡眠時間が必要です(ただし、後ほど紹介するように、必要な睡眠時間には個人差があります)。

睡眠時間が短かったり、次に解説する中途覚醒があったりすると、ノンレム睡眠とレム睡眠のリズムが乱れ、浅い眠りになってしまいます。

眠りが浅くなっているサイン

眠りが浅くなっている代表的なサインには以下のようなものがあります。

  • 熟睡できず、夜中に中途覚醒してしまう
  • 朝起きたときに「ぐっすり感」がない

熟睡できず、夜中に中途覚醒してしまう

中途覚醒とは、寝ている間に何度も目が覚めたり夜中に目が覚めてから寝つけなくなったりする状態のことです。中途覚醒があるとノンレム睡眠とレム睡眠のバランスが崩れ、浅い眠りにつながります。

中途覚醒の原因として多いのが加齢です。また、過度なストレスも中途覚醒の原因となります。不安や心配ごとなどのネガティブな心理的ストレスだけでなく「翌日楽しみなことがある」といったポジティブなものも、夜中に目が覚める要因になることがあります。

朝起きたときに「ぐっすり感」がない

ノンレム睡眠だけでなくレム睡眠も重要です。レム睡眠の時間が少ないと浅い眠りになり、朝早い時間に目覚めてしまったり、朝起きても疲労感があって寝た気がしなかったりします。

睡眠の質が悪くなり、眠りが浅くなる原因

眠りが浅くなる原因はいくつかありますが、ここでは代表的な3つをご紹介します。

レム睡眠の時間が長く、ノンレム睡眠の時間が短い

レム睡眠の時間が長く、ノンレム睡眠の時間が短いと、眠りが浅くなります。眠りの質を良くするには、2つの睡眠状態をバランスよく繰り返すことが重要ですが、不安や心配ごとといった心理的なストレスなどにより、レム睡眠の時間が長くなることがあります。

不安などの心理的なストレス

自律神経には交感神経と副交感神経があり、この2つがバランスよく機能することで心身を整えています。

通常、日中の活動中には交感神経が、夜や就寝時には副交感神経が優位に働きます。しかし、不安やイライラ、人間関係の悩みなどによる心理的なストレスが多いと、夜でも交感神経が活性化し寝つきを悪くしたり眠りを浅くしたりする原因となります。

アルコールやカフェインなどの過剰摂取

コーヒーなどに含まれるカフェインは、脳を覚醒させる作用を持っています。そのため、カフェインを摂取し過ぎると、脳の覚醒によって、深い眠りであるノンレム睡眠がしっかりとれず、眠りが浅くなります。日中の眠気には活用できますが、カフェインの過剰摂取は避け、なるべく夕方以降には摂らないようにしましょう。

また、アルコールの過剰摂取も浅い眠りにつながってしまいます。寝つきをよくする働きを期待して寝酒をした経験のある方もいるのではないでしょうか。確かにアルコールは寝つきを良くすることもありますが、効果は短い間しか続かいないうえ中途覚醒を促す働きも持っています。お酒は適量を保つようにしましょう。

浅い眠りを改善するための対処法

上述したリスクの排除が対処法となります。すなわち「入眠前に入浴やヨガ、読書などでリラックスした状態にし、就寝直前にアルコールやカフェインの摂取を避ける」という行動を続けていけば、浅い眠りを改善していけるかもしれません。

睡眠における病気の可能性

睡眠障害が原因で、眠りが浅くなっている場合もあります。生活習慣や睡眠環境を改善しても睡眠の質が良くならなかったり、睡眠に関して気になる症状があったりする場合は、なるべく早めに専門科を受診しましょう。

睡眠障害

睡眠障害とは「睡眠に何らかの問題がある状態」のことです。不眠だけでなく、睡眠のリズムが乱れや日中の眠気が強い状態、睡眠中に生じる病的な運動や行動など、多くの病気が含まれます。不眠や過眠などの自覚症状のほか、人から指摘されることのある無呼吸やいびきなども睡眠障害の症状の一種です。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠障害のひとつに「睡眠時無呼吸症候群」があります。 睡眠時無呼吸症候群では睡眠中に呼吸が止まってしまうために、浅い眠りが増え深い眠りが減ってしまいます。

睡眠の質に関する身近な疑問

毎日行う睡眠ですが、意外と知らないことや疑問も多いのではないでしょうか? ここでは睡眠の身近な疑問にお答えします。

例えば、この時間帯に寝るとよい、という睡眠のゴールデンタイムが22時~2時というのは万人に共通しているものではありません。

正しい睡眠時間は千差万別

先ほど、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルを一晩で4~5回、バランスよく繰り返すために6~8時間程度の睡眠時間が必要だと解説しました。

しかし、適正な睡眠時間は誰もが6~8時間とは限りません。もともと睡眠は個性的なもので、必要な睡眠時間は人それぞれ異なります。さらに、年齢を重ねるにつれて、睡眠時間は短くなる傾向がありますし、性別や状況によっても適正な睡眠時間は変化します。

朝の目覚めが良く日中眠くならないようなら、自分に合った睡眠時間をとれている可能性が高いです。

長時間の二度寝は体に良くない

二度寝は気持ちがいいので、ついやってしまう方も多いのではないでしょうか。体に良いのかどうかも気になりますね。 短時間の二度寝であれば睡眠不足解消につながります。しかし、長時間二度寝していると浅い睡眠が必要以上に長く続き体がだるくなってしまうことがあります。二度寝は短時間に留めるようにしましょう。

睡眠障害の可能性も視野に入れ通院も検討しましょう

眠りが浅い場合、さまざまな原因が複雑に絡み合っている可能性があります。

病気が原因でなければ、生活習慣や睡眠環境を改善することで、深い眠りをとることができるようになります。

しかし、眠りが浅い原因に睡眠障害などの病気がある場合、通院して病気を治療することが必要です。睡眠に悩みがある場合は自己判断せず、睡眠障害などの可能性も視野に入れて、専門科を受診しましょう。