普通預金よりも金利が高く、お得感のある定期預金。しかし、定期預金にはお金の引き出しができない「預入期間」が設定されていることで、利用に二の足を踏んでいる人もいるかもしれません。たとえば、預入期間の途中で、金利が有利な他の定期預金を見つけ、そちらに預け替えたいと思った時はどうすればいいのでしょうか。本稿では、定期預金を見直すタイミングや、新規で申し込む際に抑えたいチェックポイントなどを解説します。

  • 定期預金の見直しはいつするべき?

定期預金の解約方法

定期預金とは、預け入れてからの一定期間、お金を引き出せない預金のことです。預入期間には、1年や3年、5年などがあり、その他にも3カ月や6カ月など1年未満の短い期間に設定されているものもあります。お金を引き出せない期間がある分、一般的に、定期預金金利は普通預金金利より高いものが多いです。生活費のように出し入れの多いお金を預けるのには不向きですが、すぐに使わないお金を預けるのには向いている預金の種類と言えます。

このように、預入期間の決まっている定期預金ですが、解約してお金を引き出すにはどうすればいいのでしょうか。定期預金の解約には、以下のような方法があります。

<満期で解約する時>

・満期解約(自動解約型)
満期解約は、定期預金が満期を迎えて解約となることです。定期預金を契約する時、「自動解約型」で申し込んだ場合に適用されます。自動解約型で満期日になると、定期預金の元本と利息分が指定された普通預金に入金される仕組みとなっています。

・解約予約(自動継続型)
定期預金が満期を迎えても、同じ条件で継続するのが「自動継続型」です。定期預金を自動継続型で申し込んでいる場合、定期預金の満期を過ぎてもそのままにしていると、契約時と同じ条件で新たな定期預金が開始されます。

自動継続型では、満期日の前に手続きを完了させて「自動解約型」に変更すれば、解約が可能となります。

<途中で解約する時>

預入期間の決まっている定期預金ですが、途中で解約することも可能です(一部の銀行では、途中解約不可のところもある)。途中解約の手続きは、銀行の窓口やインターネットバンキング、ATM(一部の銀行)から行います。

しかし、設定されている金利は、預入期間が終わるまで預け入れていた場合に適用されるものです。途中で解約はできますが、その代わり、受け取る金利は当初記載されていたものより少なくなるか、もしくはほぼゼロになることもある点を頭に入れておきましょう。

定期預金を見直すタイミングは

このような途中解約のデメリットを踏まえても、定期預金を契約する前には預入期間を把握し、満期日を迎えるまでは極力解約しないことが基本的な利用方法となります。

もし契約している定期預金が満期日となる前に、「金利が高い他の定期預金に預け替えたい」と思った時は、途中解約のデメリットと新しく預け替えるメリットを比較し、よく考えてみることです。他にも、「急にお金が必要になり、定期預金を解約したい」という事態もあるかもしれませんが、その場合も受け取れるはずだった利息が当初より少なくなることを覚悟しておきましょう。

定期預金を見直すなら無理に途中解約のリスクを負うのではなく、満期日を迎えた後、その時最も有利な条件で預けられる定期預金に新たに申し込むのが賢明でしょう。

定期預金の上手な預け方

定期預金を利用するなら途中解約はできる限り避け、満期日までお金を預け入れて高い金利を受け取りたいものですよね。しかし、人生には急にお金が必要になるような局面も少なからずあります。このような時、定期預金を解約して損することがないよう、お金の預け方はあらかじめ工夫しておきましょう。

まず、繰り返しになりますが、生活費のように出し入れが多いお金を預けるには、定期預金は向きません。定期預金を利用するなら「当面使う予定のないお金」を預け、生活費や、いざという時に対応するお金は別途、普通預金に置いておくようにします。

また、「定期預金を利用したいけれど、途中解約するかもしれない」という場合は、全額を1つの預金に入れるのではなく、いくつかに分けるという手もおすすめです。たとえば、全部で300万円預け入れるなら、100万円、100万円、50万円、50万円に分けるといった具合です。これなら、仮に預入期間の途中で1つ解約することになっても、他の預金は当初の金利を受け取ることができます。

定期預金を新たに契約する時のチェックポイント

最後に、定期預金を新しく契約する時のチェックポイントをご紹介します。1つ目は、定期預金の最大の魅力ともいえる「金利」です。おおむね定期預金は普通預金と比べて金利が高いものですが、中でもネット銀行の定期預金は、メガバンクや店舗型銀行と比べて金利が非常に高く設定されています。たとえばメガバンク3行の定期預金金利は、2020年8月現在0.002%ですが、ネット銀行には定期預金金利がこれの100倍の0.2%となっている銀行もあります。

2つ目は、自身のお金の使い方やマネープランと定期預金の利用の仕方が合っているかどうかを確認することが大切です。先述の通り、出し入れの多いお金やいざという時に使うお金を定期預金に預けてしまうと、途中解約のリスクも高くなります。また、「本当に定期預金に預けておいていいお金なのか」も再考したい点でしょう。定期預金、特にネット銀行の定期預金は高金利が魅力ですが、高い金利を受け取ることだけを目的とせず、他の方法も含めて最適な手段で運用していきたいものです。

定期預金だけにこだわらず最適な資産運用を

定期預金は途中解約できますが、契約時には、満期日まで預け入れることを前提とした預入を基本としましょう。また定期預金だけにこだわらず、お金の目的に合わせた資産運用を行うことも大切です。